いきなり【最強】の魔力を持つ魔王に転生したら、俺が強すぎて異世界のヤツらがまるで相手にならない件。 作:大月秋野
アスタロトが広場から立ち去ると、それまで
街の人々の反応は様々だ。もう一人の転生者だという彼の力に恐れを抱く者、彼に支配される事を心配する者、ザガートならば彼を打倒してくれる
ザガートはしばらく人々の
「仕事を中断してこの場に駆け付けた者も大勢いるだろう。ひとまず脅威は去った……
両手をパンパンッと大きな音で叩いて群衆を静まらせると、普段の生活に戻るように言う。魔界大公爵の討伐を約束して、彼らに不安を与えまいとした。
魔王がそう言うなら、と人々は彼の言葉に従い、立ち話をやめて帰路に
領主ハウザーは群衆を解散させて騒ぎを沈静化した魔王に深く頭を下げて礼を言い、レジーナは男の冷静な対応に「さすがだな」と感心する。
「魔王様……」
領主の娘ルカは一人不安そうになりながら、魔王のマントの
「何も心配する必要は無い……必ず無事に戻ってくる。それまで待っていてくれ」
ザガートは少女の心情を察して、優しく言葉を掛けながら頭を
◇ ◇ ◇
一行は街の外に出ると、ガルアードの塔を目指して歩く。城門から馬車が通るための道が
「……あれがヤツの言っていたガルアードの塔か」
ザガートが地平の彼方に見える、大地にそそり立つ巨大な塔を見ながら言う。
平原のド真ん中に建てられた『それ』はかなりの高層建築らしく、魔王が元いた世界の『東京スカイツリー』に匹敵する高さだ。上の
「うわああああああっ! ででで、デカいッス! とんでもなくデカい塔ッス! オイラ、こんなの見たの生まれて初めてッス!!」
なずみが上を見上げながら驚嘆の言葉を漏らす。この世界には二つと存在しないであろう超高層のタワーを前にして、興奮するあまり鼻息が荒くなる。
「一階層ずつ塔を上がって行ったら、かなり時間が掛かりそうですね」
ルシルが途方に
今一行の前に建っているのは、ただの観光名所ではない。魔王軍の拠点であり、魔族の巣窟なのだ。中に邪悪な魔物がウジャウジャいる事は想像に
単に塔を登るだけでも重労働なのに、その上
「……ガルアードの塔ッ! 今は亡き巨大帝国が、天界に到達するために建造したと、城の本棚にある書物に書かれてあった! 塔は神の
レジーナが塔の成り立ちについて早口で語る。
(フゥーーム……二百階か。とても徒歩で登っていける階数では無いな)
王女の話を聞いて、ザガートが気難しい顔になる。
二百階という具体的な数字を知らされて、内心塔を攻略するのは面倒だなと思い始めた。外側から飛んでいく方法も考えたが、塔の高さを
今後の方針について深く思い悩んだが……。
「塔の中に
やがて答えが決まったように行動を起こす。両手で
(フム……塔の中に
探知魔法によって内部の詳細を知ると、グワッと目を見開いてズカズカと数歩前へと進む。しばらく物思いに
「ゲヘナの火に焼かれて、消し
正面に右手のひらをかざして攻撃魔法を唱える。直後手のひらから
それから数秒が経過した後……。
突如塔の根元がドガァァァアアアアアーーーーーンッ! と大きな音を立てて爆発する。まるで積み上げた爆弾に火が
塔は強風に押し負けた大木のように根元からボッキリとへし折れて、斜めに傾いたまま重力に任せて落下していく。そのまま地面に叩き付けられて砂山のように
「ギャアアアアアアアアッ!!」
「ドグワァァァアアアアアーーーーーッ!」
「ZAPpppppp!!」
塔の倒壊に巻き込まれた魔物の絶叫がこだまする。中にいたのはオーク、ゴブリン、スライム……いずれも下級の魔族だ。彼らが
魔物の断末魔の悲鳴が
塔が完全に崩れ落ちて、魔物の悲鳴が
「………」
レジーナ達はポカンと口を開けたまま
三人は誰もが塔の中に入る事を考えていた。一階層ずつ順番に上がっていく事を想定していた。それ以外の方法は頭の
だが魔王は中に入ろうとせず、事もあろうに塔そのものを破壊してしまったのだ。それを理解するのに時間が掛かった。
しばらく
「ざっ……ザガートォォォォオオオオオオッ! おおお、お前というヤツは一体、なんて事をしてくれたんだぁぁぁぁぁぁああああああああーーーーーーーーっっ!!」
「そうキィキィ
王女の猛抗議に、ザガートが気だるそうに耳の穴を指でほじくりながら答える。教師に
「まあ……それはそうなんだが……」
魔王の言葉に反論できず、王女は一瞬納得しかけた。
「……いや、だとしても、これは無いッ! これは無いぞザガートッ! 私はこれまで世界を救った勇者の冒険の記録を、城の本棚にあった書物でたくさん読んできた! その中には困難な迷宮に挑んだ数々の戦いが
だがやはり納得行かず、物凄い剣幕で食ってかかる。過去の勇者のやり方を引き合いに出して、魔王が
「当然だ……俺は勇者ではなく、魔王なのだからな」
ザガートは腰に手を当ててふんぞり返りながら、誇らしげなドヤ顔になる。自分は魔王だから勇者と同じやり方をする必要は無いと、完全に開き直った態度を取る。
「全く……つくづくお前というヤツは」
レジーナもすっかり怒り疲れて気が
「
なずみは「ハハハッ」と
ルシルは彼女に同意するようにウンウン
季節外れの冷たい風が、