いきなり【最強】の魔力を持つ魔王に転生したら、俺が強すぎて異世界のヤツらがまるで相手にならない件。   作:大月秋野

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第32話 ポイズン・ジャイアント

 魔王の一撃によって倒壊した塔は(またた)く間に瓦礫(がれき)の山と化し、もくもくと砂煙を立ち(のぼ)らせた。全ての魔物が死に絶えたのか、いつまで()っても敵が襲ってくる気配は無く、場がシーーンと静まり返る。そのまま時間にして一分半ほど経過する。

 

 流石(さすが)に塔の倒壊に巻き込まれては、生存者は一人もいないか……誰もがそう思った時。

 

「コラーーーーーッ!!」

 

 瓦礫の一角から突如何者かの叫び声が放たれた。ザガートは一瞬アスタロトの声かと思ったが、そうではない。それは明らかに魔界大公爵とは異なる、野太いオッサンの声だ。

 

 次の瞬間声が聞こえた場所の瓦礫が物凄い力で吹き飛ばされて、そこから三つの人影が出てくる。人影はザガート達のいる方角を向くと、彼らの方へとまっすぐ走ってくる。かなり体重が重いのか、ドドドッと大きな足音が鳴り、大地が激しく揺れた。

 

「やいテメエ、この野郎ッ! よくもやってくれたなッ! 許さん! 絶対に許さんぞ、べらんめえ! コンチクショウ!!」

「殺すッ! 百万回殺すッ! 二度とふざけた気を起こさせぬようじわじわと痛め付けて、なぶり殺しにして、はらわたを食い尽くしてくれるわぁっ!!」

「お前の母ちゃん、でーーべーーそっ!!」

 

 三人は走りながら、聞くに()えない罵詈雑言を(わめ)き散らす。塔を壊されたのがよほど腹に()え兼ねたようだ。(ひたい)にはビキビキと血管が浮き出ている。

 

 その者達は六メートルほどの背丈をした、全裸の男性だった。筋骨隆々とした全身は毒々しい紫色に染まっており、人間でないと一目で分かる。服装は茶色いボロボロの布切れを腰に巻いて股間を隠しているだけだ。頭髪は禿()げ上がっており、耳は悪魔のように(とんが)っている。

 紫のマッチョな全裸のハゲのオッサン……それが三人いる異様な光景だ。

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

 彼らはザガート達の前まで来ると、一旦立ち止まる。全速力で走って体力を消耗したのか、ひとまず呼吸をして落ち着こうとする。

 

「念の(ため)に聞いておく……塔にいた魔族の中で、生き延びたのはお前達だけか?」

 

 まず間違いなく魔王軍の手先であろうと思われる三人に、ザガートが問いかけた。

 

「おうよッ! たぶんアスタロト様は生きておられるだろうが、他のヤツらは塔の瓦礫に押し(つぶ)されて全員死んだッ! 生き延びたのは俺達だけだ! だからこうして仲間の仇を取りに来たってえワケよ!!」

 

 先頭にいたリーダー格と思しき一人が威勢良く答える。声の大きさや口調から察するに、かなりノリの良い性格のようだ。

 

「我らはアスタロト様の忠実な(しもべ)ッ! その名も」

「ドム!」

「ゴム!」

「ボム!」

「人呼んでポイズン・ジャイアント三兄弟とは、俺達の事よッ!!」

 

 三人は誇らしげに名乗りを上げると、それぞれ異なるマッチョポーズをドヤ顔で決める。今にも「デデーーンッ」と効果音が鳴り、マンガ的な集中線が寄りそうな迫力を漂わせた。あまりの暑苦しさに頭上を飛んでいたカラスが慌てて逃げ出す。

 

「異世界の魔王ザガート、テメエよくもやってくれたなッ! 俺達は貴様が憎くてしょうがねえ! 何しろ塔をブッ壊すなんてふざけたマネしてくれたんだからなッ! 仲間も大勢死んだッ! ぜってえ許さねえ!!」

「アスタロト様は貴様との勝負を楽しみにしていたようだが、あのお方が出るまでもねえ! 俺達の手で、貴様を血祭りに上げてやる!!」

 

 名乗りが終わると、次男と三男と思しき二人が立て続けに(たん)()を切る。魔王のやらかした蛮行を責め立てて、命を奪う事を声高に宣言した。

 

「ほーーっ。それで毒巨人の三兄弟サマが、どうやって俺の命を奪うつもりだ?」

 

 ザガートが腕組みしてふんぞり返りながら、相手を見下すような視線を向ける。フフンッと小馬鹿にするように鼻で笑う。

 敵の怒りを全く意に(かい)さない。彼らに自分を殺す方法などありはしないとタカを(くく)る。

 

「どうやって殺すかだと? それは……こうするのよォッ!!」

 

 そう叫ぶや(いな)や、三人は縦一列に並んで、腰を落とし込んだガニ(また)になると、一人ずつタイミングをずらしながら上半身を反時計回りに回転させ始めた。

 

 ……それはエ○○イルという、ザガートが元いた世界のミュージシャンがやっている踊りによく似ていた。

 

「……何をしている?」

 

 唐突に奇妙な踊りを始めた敵を前にして、魔王が棒立ちになる。とても攻撃手段とは思えない謎の行動に困惑したあまり、声に出して問わずにいられない。

 

「フッフッフッ……知らんのか?」

 

 魔王の問いに、先頭の長男がニヤリとほくそ笑む。相手にとって未知の技を出せた事で、勝利の可能性が高まったと考えて、胸を(おど)らせた。

 

「ならば教えてやろう……これは『不思議な踊り』と言って、相手の魔力を奪い去る闇の秘術ッ! 間近でこの踊りを見せられた者は魔力を吸い尽くされて、一切魔法が使えなくなる悪魔の技ッ! これで貴様の魔力を吸い尽くすって寸法よッ!!」

 

 自分達がやっている踊りの正体を包み隠さず教える。

 彼らは別に頭がおかしくなったり、相手をからかおうとした訳ではない。一見何の効果も無いように見えるこの奇妙な踊りこそ、敵の魔力を()(かつ)させる恐ろしい技だというのだ。

 

「我らの狡猾(こうかつ)な戦術に(おび)えて、泣き叫んで絶望するがいい! そして貴様はあの世へ行くのだッ! ワァーーーッハッハッハァッ!!」

 

 次男が自らの勝利を確信して(あご)が割れんばかりに高笑いする。自分達の技によって魔王の魔力が尽きる事を信じて疑わない。高まったテンションのままグルグル激しく回る。

 

(本当にこのおかしな踊りが、ザガートを仕留める手段になるのか!? 私にはただ遊んでいるだけにしか見えないが……)

 

 レジーナは思わず声に出して言いかけた疑問を慌ててグッと飲み込む。何となく彼らにツッコミを入れてはいけない空気があり、胸の内にしまっておく。

 

 王女の疑問をよそに、ハゲのマッチョ達は勢いに任せるように回り続けるのだった。

 

  ◇    ◇    ◇

 

 ――――ポイズン・ジャイアントが踊り始めて二時間が経過。

 

 

 時計の針は(すで)に四時を回っており、太陽が落ちて周囲が暗くなり始める。遠くの空でカラスの群れがカァカァ鳴いて、(セミ)がミンミン鳴く声がこだまする。辺りはすっかり夕暮れの景色になる。

 

 三人の少女は地べたに寝そべってうたた寝したり、雑談して遊ぶ。完全に緊張感が消し飛んで、戦いに飽きたムードが漂っていた時……。

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

 毒巨人達が激しく息を切らす。全身びっしょり汗まみれになり、表情に疲労の色が浮かんで、下を向いたままグッタリとうなだれる。完全にスタミナが底を尽きたらしく、二時間続けていた踊りが止まる。

 

 彼らの技を受けたはずの当のザガートは特に変わった様子が無い。男達の方をやる気無さげな表情でボーーッと見ながら、耳の穴を指でほじくったり、退屈そうにあくびをしたりする。魔力を吸い取られたようにはとても見えない。

 

「ハァ……ハァ……フッ……フハハハハッ! ど、どうだザガートおおおっ! 俺達の踊りで、魔力が()(かつ)しただろうッ!!」

 

 先頭にいた毒巨人の長男が顔を上げて大きな声で笑う。すっかり体力を使い果たしたはずだが、表情は(ひと)仕事を終えた満足感に(あふ)れる。

 とても嬉しそうにニッコリ笑ういかついおっさんの笑顔が、(ひたい)から流れる汗でキラキラ輝いており、かえって不気味だ。

 

「そうだザガートッ! もうこれで貴様は魔法を使えなくなった! オシマイだッ! 観念しろ、クソ野郎!!」

(いさぎよ)く負けを認めて死ね! すっとこどっこい!!」

 

 次男と三男が後に続くように(わめ)き散らす。自分達の踊りが魔王の魔力を奪い去ったと確信して、ここぞとばかりに挑発的な言葉を浴びせる。技が効かなかったかもしれない考えは頭の片隅(かたすみ)にも浮かばない。

 

「………」

 

 ザガートは彼らの罵詈雑言に一切口を挟まない。()えて一言も発しないまま、毒巨人の言葉にただ聞き入る。彼らのやりとりに付き合うのが馬鹿らしくなって、反論は無駄だと諦めたようにも見える。

 しばらく連中の言いたい放題に言わせていたが……。

 

「風の精霊よ、盟約に(もと)づき敵を狙い撃て……追尾魔法(マジックミサイル)ッ!!」

 

 やがて悪口を聞き飽きたのか、正面に手のひらをかざして魔法の言葉を唱える。魔王の手のひらから、空気を圧縮した(かたまり)のようなものが三つ立て続けに放たれて、巨人めがけて飛んでいく。

 それらは側面から回り込むように()を描いて、巨人の(しり)へと襲いかかる。

 魔法が尻に激突すると、バァンッ! と空気が破裂した音が鳴り、軽い爆発のような衝撃が巻き起こる。

 

「ギャアッ!」

「グワーーッ!」

「いてえっ!」

 

 空気の弾丸を尻にぶつけられて、巨人達が三人仲良く吹っ飛ぶ。前のめりに地面に倒れて派手にゴロゴロ転がった挙句、真っ赤に()れ上がった尻を両手で(さす)ったまま涙目になる。かなりの屈辱を与えたと思われるが、致命傷にはなっていない。

 

 巨人達が打たれ強かった訳ではない。魔王が相手をからかうためにわざと手加減した事は誰の目にも明らかだ。

 

「ちっ……チクショウ!! 何でだッ! 何故なんだッ! 俺達の踊りによって魔力が底を尽きたはず! それなのに、何故魔法が使える!? 何でだッ!!」

 

 兄弟の長男が慌てて起き上がりながら、胸の内に湧き上がった疑問を口にする。男が魔法を使えた事にどうしても納得が行かず、声に出して問わずにいられない。

 

「そうだそうだ! 何でだ!!」

「インチキしやがって、この野郎!!」

 

 次男と三男が一斉に野次(やじ)を飛ばす。子供の(くち)喧嘩(げんか)レベルの不満をブーブー()れる。何か卑怯な手を使ったに違いないと考えて、必死に猛抗議する。

 

「フゥーーッ……」

 

 ザガートが心底(あき)れたようにため息を漏らす。目を閉じて下を向いたまま、ブンブンと首を左右に振る。見るからにめんどくさそうな表情になる。

 

「……俺の魔力がどれだけあると思っている? そこいらの冒険者をコップの水に例えるなら、俺の魔力量は海に匹敵するほどだ。仮に貴様らがその珍妙な踊りを一ヶ月休まずに続けたとしても、十分の一たりとも(けず)れはせんぞ」

 

 顔を上げて目を大きく開けると、自分の魔力量が底無しである事を、分かりやすい(たと)え話によって伝える。毒巨人達がいくら踊り続けようと、魔王の魔力を枯渇させる事は不可能なのだと、残酷な事実をありのまま突き付けた。

 

 踊りそのものが効かなかった訳じゃない。魔力は確かに減ったかもしれない。

 だがそれは山よりも大きな竜に一匹の()が刺した程度で、致命傷には全く届かない。どれだけ必死に頑張ろうと、決して成果へと結び付かない無駄な努力でしかない。地球から月に石ころを百回投げても届きはしないのだ。

 

「う……海だと!? そそそ、そんな馬鹿な!!」

 

 毒巨人の長男がパニックに(おちい)って声を(うわ)()らせた。相手の魔力を枯渇できない事にショックを受けたあまり、ジリジリと後ずさる。額からは冷や汗が流れ出し、顔面蒼白(そうはく)になり、手足の震えが止まらなくなる。

 

「ドムの兄貴ィ!! どどど、どうするよ!?」

「このままじゃ俺達殺されちまうッ! もうオシマイだぁっ!!」

 

 次男と三男が、この世の終わりが訪れたかのように絶望する。自分達が殺されるしかない未来を想像して、天を仰いで絶叫したり、頭を抱え込んでうずくまったりする。

 

「ばばば、馬鹿野郎ッ! 諦めんじゃねえ! 俺達にはまだ奥の手が残っている! それを使ってヤツを殺すッ! 俺達は生き残るッ! 絶望する必要なんて、何処にもありゃしねえ!!」

 

 長男が声を上擦らせながらも、希望を失わないよう発破(はっぱ)を掛ける。切り札を温存していた事を口にして、それを根拠として元気を取り戻させようとした。

 兄の言葉で弟二人が「ハッ」と我に返る。そう言えばあれがあったんだ、と冷静に思い直して、取り乱すのをやめる。

 

「ザガート、我ら毒巨人族の最終奥義を見せてやるッ! とくと目に焼き付けて死ぬがいい!!」

 

 長男が死を宣告する台詞(セリフ)を発すると、三人が横一列に並んで大きく口を開ける。明らかに何らかの技を放とうとするかのように、スゥゥーーーッと大量の空気を吸い込んで、胸がパンパンッに(ふく)れ上がる。

 

三重猛毒息吹(トリプル・ポイズンブレス)ッ!!」

 

 技名を叫ぶや(いな)や、三人の口から毒々しい紫色をした煙のようなガスが一斉に放たれた。合流して一つの巨大な(かたまり)になったそれは、目にも止まらぬ速さで飛んでいき、ザガートを一瞬にして()み込む。

 避ける(ひま)すら無かったのか、それともわざと避けなかったのか、男は何もせずガスの()(じき)になる。

 

「ざっ……ザガートォォォォオオオオオオーーーーーーッッ!!」

 

 レジーナが悲痛な叫び声を上げる。魔王が毒ガスをまともに受けたのを見て、いくら彼が無敵だとしても、心配せずにいられない。

 もしや魔王は深手を負ったのではないか……そんな考えが頭をよぎり、胸が激しくざわついた。

 

「大丈夫ッスよ、(あね)さん……師匠はあのくらい何ともないッス」

 

 なずみが優しく言葉を掛けながら、仲間の背中をトンッと叩く。魔王が健在だと伝えて、王女を安心させようとした。

 師匠がやられたかもしれないなどとは少しも考えない。彼ならこのくらいは平気だろう、と打たれ強さに確信を抱く。

 

 当の魔王はガスに呑まれたままだ。毒の煙は男を包み込んだまま滞留しており、いつまで()っても晴れようとしない。モクモクとその場に(とど)まり続ける。

 その状態のまま二十秒が経過し、一向に状況が変化しない。普通の生き物ならとっくに(もだ)え苦しんで死んでいる頃だ。

 

 やったか? ……その言葉が毒巨人の頭をよぎった時。

 

 

 

 突如男が立っていた場所を中心として、ブワァッと強風が吹き荒れる。それによって魔王を包んでいたガスが一気に吹き飛ばされて、視界が晴れやかになる。

 

 魔王はガスに呑まれる前と変わらぬ状態のまま、そこに立っていた。顔色一つ変えておらず、何事も無かったかのようにピンピンしている。ふぁーーっと退屈そうにあくびをしたり、耳の穴を指でほじったりする余裕すら見せている。

 常人ならば十秒足らずで死に至る猛毒を全身に浴びたにも関わらず……。

 

「なっ……何故だッ! 何故生きている!? 俺達の吐いた毒ガス、通称『臭い息』は、常人ならばニオイを()いだ瞬間肺が焼け(ただ)れて即死する威力ッ! 万が一耐えたとしても、目が焼けて、毒に(おか)されて、正気を失い、あらゆる状態異常に冒されてもがき苦しむシロモノだというのにッ!!」

 

 毒巨人達が驚くあまり騒然となる。自分達が吐いたガスの威力を(こと)(こま)かに伝えながらも、それに耐えてみせた魔王の頑丈さに心の底から恐怖を抱き、愕然(がくぜん)となる。

 

「何故だと? フンッ、笑わせる……俺は貴様らの(あるじ)たるアザトホースと互角に渡り合える力を持った、世界最強の魔王だぞ。それが今更(いまさら)毒だの即死だの状態異常だの、そんな次元(レベル)の低い技が通用すると、本気で考えたのか?」

 

 ザガートが腕組みして得意げなドヤ顔になりながら言う。相手を小馬鹿にするように鼻息を吹かせながら、自分が最強の魔王であると主張して、状態異常が効かない事を声高に説明してみせた。

 

「そろそろ貴様らの茶番に付き合うのも飽きた……これで終わりにさせてもらう!!」

 

 戦いを終わらせる事を宣言し、毒巨人達に手のひらを向ける。

 

「地より生まれし者腐れ落ち、大地に(かえ)らん……致死風(デッドリー・エア)ッ!!」

 

 魔法の言葉を唱えると、男の指先から黒い霧のような(もや)が放たれた。空気感染型バクテリアの集合体であるそれは、毒巨人達にまとわり付くと、彼らの体を目にも止まらぬ速さで分解する。

 

「ギャアアアアアアアアッ!!」

「ウギャァァァァアアアアアアーーーーーーッッ!!」

「アビャァァァアアアアアッ!!」

 

 体を溶かされる激痛に(もだ)えたあまり、毒巨人達が天にも届かんばかりの悲鳴を発する。彼らは腕や足をブンブン振って、自分達にまとわり付く黒い霧を必死に振り払おうとしたが、彼らがいくら暴れても霧は決して離れようとせず、相手を全力で捕食する。

 

 三人の体は強酸を浴びたようにドロドロに溶けていき、(またた)く間に肉も内蔵も腐れ落ちて、骨だけになる。彼らが物言わぬ白骨死体となるのに十秒と掛からなかった。

 

猛毒巨人族(ポイズン・ジャイアント)三兄弟……決して弱い魔物とは呼べなかった。戦ったのが並みの冒険者なら、命を落とすだけの強さは十分に持っていただろう)

 

 巨人の死体を眺めながら、ザガートが敵の強さに思いを()せる。これまでの戦いを回想して、魔物の中では高い実力を持っていたであろう彼らに一定の評価を与える。

 

「だがまぁ……今回ばかりは相手が悪かったな」

 

 その実力を上回る最強の魔王にブチ当たってしまった彼らの不幸を、ドヤ顔で(あわ)れむのだった。

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