いきなり【最強】の魔力を持つ魔王に転生したら、俺が強すぎて異世界のヤツらがまるで相手にならない件。 作:大月秋野
メタモルファを倒して九つめの宝玉を手にした魔王一行は、次なる目的地を目指して旅を続ける。魔瘴の森を抜けると開けた平原が広がっており、そこを進んでいく事となる。
何もない平地を西に向かって歩き続けると、ポツンと一軒家が建っているのが見えた。
それは一家が暮らすには少し大きめな、三階建ての木造家屋だ。どちらかというと屋敷かマンションと呼ぶに相応しい。今も使われ続けているらしく、
入口らしき扉の横に『
「こんな
魔族の策略ではないかと疑いレジーナが右往左往する。いつ敵に襲われても不思議じゃない場所に一軒家が建っているのを不自然ではないかと
「いや……むしろ逆だ。魔族の侵入を許さない不可視の結界が、建物を取り
ザガートが王女の言葉を否定する。魔族の侵入を
「それなら今日はここに泊まっていきましょう」
ルシルが提案の言葉を発して、皆がそれに同意する。
扉を開けて中へ入ると、店のカウンターにいた一人の男性が駆け寄ってくる。この宿の主人と思われた。
「おお、貴方がたは……例の魔王様御一行でございますね? お
五十代半ばに見える小太りの男性が頭を下げて
「主人、いきなりで何だが一つ質問したい。こんな何もない場所に宿屋が建っているのは何故なんだ?」
ザガートが胸の内に湧き上がった疑問をぶつける。王女ほどではないが彼もまた辺境の地に一軒家が建っている事を不思議がっており、
魔王が疑問を抱くのも
「この辺り一帯には町が存在せず、旅人が休める場所がありません。東のアマンダの村から西の港町へ向かおうとすると、長旅を
宿屋が建てられた
「フム……事情は分かった。
主人の説明を聞いてザガートが納得し、宿に泊まりたい意思を伝える。
「では二階に部屋を三つ用意しましょう。案内します」
主人が魔王の頼みを承諾して、ギシギシと階段を上がる。四人の女が彼の後に続いてぞろぞろと歩き出す。
列の最後尾にいた不死騎王が階段を上がろうとした時、魔王が呼び止める。
「ブレイズ……お前には一つやってもらいたい事がある」
そう言うと、ごにょごにょと小さな声で耳打ちする。他人には聞かれたくない話のようだ。
『……承知した』
ブレイズは魔王の頼みを聞き入れると、宿の入口に向かって足早に駆け出す。
『主人……それがしは大事な用があって出かける。明日の朝には戻る。それがしは
急用が出来た事を告げると、ドアを開けて建物の外に出る。そのまま忍者のように駆けて行って、何処かへと姿を消した。
◇ ◇ ◇
すっかり日が落ちた真夜中……時計の針が十二時を指した頃。
ルシルと相部屋で寝ていたレジーナが目を覚ます。
次に壁に耳を当てて、なずみと鬼姫が寝ている部屋の様子を
「よし……みんな寝ているようだな」
王女がそう口にしてニヤリと笑う。良からぬ
(みんなには悪いが、抜けがけさせてもらう……今日は私がザガートとお楽しみする番だ!! 何しろここ最近ずっとご無沙汰だったからな……ムフフッ)
何としても魔王と性交に及ぶのだと息巻く。
シーーンと静まり返った宿の中を、物音を立てないよう慎重に歩く。魔王が寝ている部屋の前まで来て足を止める。
「ザガートッ! 今夜は私と一緒に寝てもらうぞ!!」
大声で叫びながら部屋の扉を開けた瞬間……。
「ああっ!!」
視界に映り込んだ光景に思わず声を
彼女が目にしたもの……それは服を着たままベッドに寝るザガートの上に全裸の鬼姫が四つん
「貴様ッ! 私を差し置いて魔王を押し倒そうとするとは、なんて
王女が慌ててベッドに駆け寄り、女を力ずくで引き
「何じゃお主、いきなりしゃしゃり出おって! 我は今日魔王とまぐわうと約束しておったのじゃぞ!!」
鬼姫がチュウを邪魔された事に憤慨する。事前に約束を取り付けていたと語り、自身が魔王とエッチする行為の正当性を主張する。
「何ッ! ザガート、そうなのか!?」
女の発言に王女が思わずたじろぐ。もし約束していたのが事実なら自分に割って入る権利は無い考えが頭にあり、魔王に聞いて確かめようとした。
「いや、約束などしていない。鬼姫の言っている事は
ザガートが女の言葉をあっさり否定する。彼女がその場
魔王に嘘をバラされたため、鬼姫が一瞬気まずそうな顔をして舌打ちした後、すっとぼけた表情して天井を眺めながらピューピュー口笛を吹く。
「貴様ッ! 抜けがけするだけでは
事実を知らされた王女が烈火の
「ええい、やかましい! 愛する男とヤるために嘘をついて、何がいけないのじゃ! 欲しいものを手に入れるために手段を選ばぬのは女の特権じゃ!!」
鬼姫が図星を突かれて逆ギレする。嘘がバレた事を完全に開き直っており、自分は悪くないと言いたげに早口で
「なんだと! この性悪女め!!」
「だまらぬか! ポンコツ白人王女!!」
「さっきから一体何ですか……あっ!」
「ルシル姉さんっ! 鬼の
宿中に響かんばかりの声を聞いて目が覚めたらしく、ルシルとなずみが部屋に駆け付ける。ネグリジェ姿の王女と裸の女が言い争う光景を見て、即座に状況を理解する。
「ザガート様はみんなのモノですッ! 抜けがけは許しません!!」
「師匠の
後から来た二人も加わって、四人でケンカを始めてしまう。互いに相手の悪口を言って、ギャーギャーとヒステリックに
「ええいお前達、ケンカをやめないかッ! 俺の意向を無視して、お前達だけで言い争うのはよせ!!」
このままでは収拾が付かないと考えて、魔王が慌ててベッドから起き上がる。自分の
彼の言う事も
「誰が俺とヤるかが、ケンカの原因になったのだろう? なら答えは簡単だ……俺がこの場にいる全員とヤればいい!!」
魔王が自分の意見を率直に伝える。獲物の取り合いにならなければケンカしなくて済むと、そう結論付けた。
「お前達四人とも、服を脱いでベッドに横になれッ! 俺がじっくりたっぷり、ねぶるように愛して、お前達を嫌というほど気持ちよくさせてやる!!」
女達に服を脱ぐよう命じると、自らも服を脱ぎ捨てて裸になる。
一匹の狼と四匹の
その晩、ザガートは四人の女と激しく愛し合った!!!!
――――数時間後。
チュンチュンと小鳥が鳴く朝……太陽が昇り始め、カーテンの隙間から光が
四人の女が裸のままベッドに寝転がる。
ゴミ箱には使用済みのティッシュが山のように積まれており、たっぷり楽しんだ事が分かる。彼女達もさぞや満足しただろう。
当のザガートは裸のまま、腰に手を当てて誇らしげに立つ。くたくたになった女達を眺めて、彼女達を満足させられた達成感に胸を
(さすがに四人の女を相手にするのは疲れた……俺の○○○○も、ただの○○○になってしまった)
自分の股間に目をやり、性的に疲れた事を規制されたピー音によって表現する。
魔王が行為の余韻に
『……ゆうべはお楽しみになられたようで』
何処かで聞いた
「からかいはよせ……それより例の件はどうだった」
ザガートが後ろを振り返らないままククッと笑う。部下のジョークを
『はっ……ここら一帯にいる魔族を片っ端から締め上げて尋問したものの、
不死騎王が魔王の問いに答える。宿の周囲にいる魔物から情報を集めた事、その内容を伝える。
「そうか……」
ザガートがやはり、と言いたげに
「三つの宝玉のうち一つは海上に……残りの二つは海を挟んだ西の大陸にある」
宝玉のありかが
『……船が必要になりますな』
ブレイズがボソッと小声で
「宿の主人が、ここから西に向かえば港町があると言っていた。そこを目指そう」
ザガートが
かくして会談を終えた男二人は晴れやかな朝を迎えるのだった。