いきなり【最強】の魔力を持つ魔王に転生したら、俺が強すぎて異世界のヤツらがまるで相手にならない件。   作:大月秋野

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第83話 海の魔物を統べる王……その名はクラーケンっ!

 ザガート達が港町を訪れた日から数日後の朝……まだ太陽が昇り切っていない時間。

 

 港に一隻の船が停泊する。船と桟橋(さんばし)を行き来する板が()けられて、船員が荷物の積み込み作業を行う。木造の船は軍艦並みの大きさがあり、嵐に()っても簡単には沈みそうにない。

 単に一行を送り届けるだけでなく、西大陸に着けたら商売しようと思い立ったのか、積み荷はかなり多い。水と食料以外にも多くの物を載せる。絶対に沈まないという魔王の言葉を信頼したがゆえの事か。

 

 ザガート達が港に立ちながら積み込み作業を見守っていると、背後から一人の男がやってくる。

 

「予定より出発が遅れちまってすまねえな……船が出るのにあと三十分は掛からぁ」

 

 そう声を掛けたのは船乗りギルドの長ボルツだ。黒くて横に長い帽子を被り、長(そで)(たけ)の長い上着を羽織(はお)る。中世ヨーロッパの海軍の提督のような格好をしていた。

 

「アンタが船長をやるのか?」

 

 ザガートが心配そうに問いかけた。いくら船が沈まない事を約束したとはいえ、リスクのある仕事を引き受けてくれた事に申し訳なさを感じずにはいられない。

 

「へへっ……こんな大役、他のモンには任せられねえからな」

 

 ボルツが照れるように指で鼻(こす)りしながら笑って答える。万が一何かあった時、危険な目に()うのは自分の役目だ……そう言いたげなのが伝わる。

 男の言葉を聞いてザガートがニッコリ微笑む。何としても彼の決意に応えねばなるまいと思いを強くする。

 

  ◇    ◇    ◇

 

 積み込み作業を終えた船が港を離れる。()が柱高くまで張られると、風を受けて動き出す。百人ほどの男達がオールを動かして船を進行方向に進ませる。

 船には()ぎ要員の他にも多数の作業員が乗っており、かなりの乗員数だ。西の海は魔物の妨害が無ければ一週間で渡れる距離だが、不測の事態を見越して水と食料は二週間分用意してある。

 

 船が動き出してから数分、甲板に立っていたザガートがしばし海を眺める。

 これからどうすべきか思い悩んだように黙り込んだ後、両手で(いん)を結んで呪文の詠唱を口ずさむ。

 

「風の精霊よ……我が力となりて、船を守りたまえ! 領域結界(フィールド・バリア)ッ!!」

 

 魔法名らしき言葉を叫ぶと、青い光が球状に放たれて船全体を覆う。数秒が経過すると光はうっすらと薄れていき、目に見えなくなる。

 

「船全体を不可視のバリアで覆った……今後、この船は百匹のドラゴンに体当たりされようと、巨大な隕石をぶつけられたとしても沈まないだろう」

 

 魔法の効果について説明を行う。船がいかなる攻撃を受けても沈まない事を、(たと)え話によって表現する。

 

「よっしゃあ! 聞いたか、お前らッ! この船は絶対に沈まねえ! 俺達生きて帰れるんだ! だから安心して船を漕ぎやがれ!!」

 

 魔王の話を聞いたボルツが船全体に届くように大きな声で叫ぶ。船が無敵の守りを得られた事を伝えて、船員に安心感を与えようとする。

 

「オオーーーーーーッ!!」

 

 ボルツの呼びかけに、船員達が歓喜の言葉で応える。生きて帰れるお(すみ)付きを与えられた事に皆が喜ぶ。いかに荒くれ(ども)と言えど、好き好んで死ぬような危険は冒したくない。安全な航海が出来るのであれば、そっちの方が良いに決まっている。

 生還を約束された今、船員の士気は最高潮に高まる。(おく)して逃げたくなる者はいない。

 

「本当に船は安全になったのか?」

 

 レジーナが魔王の発言を疑う。彼の力を信じない訳ではないが、青い光で覆われただけでは実感が湧かず、直接目で見て確かめずにはいられない。

 船から落ちないよう慎重に身を乗り出しながら下を見てみる。

 

「おおっ!?」

 

 視界に映り込んだ光景に王女は思わず変な声が出た。

 彼女が目にしたもの……それは船に近付こうとした魚が、見えない壁にぶつかってビシビシと弾かれる姿だった。だが全ての魚が弾かれた訳ではなく、普通に船に触ったり、(わき)を通り過ぎる魚もいる。

 

「おい! 結界に弾かれた魚と、そうでない魚がいるぞッ! これはどういう事だ!?」

 

 胸の内に湧き上がった疑問を声に出して問いかけた。

 

「この結界は意思を持っている……船に害を与える者かどうかを自分の意思で判断し、害を与える者だけを弾く。特に接近した者が魔族だった場合、絶対に弾くようになっている」

 

 魔王が結界の原理について説明する。船に対する危険度を結界自身が判断し、危険でないと判定した者だけを通すのだという。

 

「凄いなこの結界……というか、ザガートが常時この魔法を使っていれば、私達は旅の道中一度も魔物に襲われずに済んだのでは!?」

 

 魔王の説明に目を輝かせた王女だったが、すぐに別の疑問が湧き上がる。魔王が常にこの結界を張っていれば安全に旅が出来たのに、何故そうしなかったのかと問いかける。

 

「全く敵に()わずに旅をしたら、お前達に戦闘の経験を積ませられないからな……それに一匹でも多く魔物を片付ければ、それだけ罪なき人々が魔物に襲われる可能性が低くなる」

 

 ザガートがあえて魔物を避けて進まなかった理由を()く。仲間に戦闘経験を積ませたかった事、可能な限り魔物の数を減らしておきたかった事……それらの思惑を明かす。

 

「む……むう。そうか……確かにそうだな。お前の言う通りだ。すまない、私が間違っていた」

 

 男の考えを読み切れなかった事を王女が深く()びる。魔王の主張はとても納得させられるものがあり、反論の余地は無い。てっきり男が敵と戦いたくてわざとそうしていたと思っていたが、そうではない。深謀遠慮に考えが及ばなかった事を心から()じ入る。

 

(もっとも俺が敵と戦いたくて、わざとそうした面もあるが……それは言わないでおこう)

 

 魔王は心の中に湧き上がった言葉を、あえて口に出さないでおく。王女の読みもあながち間違っていなかった事になる。

 

  ◇    ◇    ◇

 

 船が出航してから二時間……何事もなく航海は進む。

 (さいわ)いにも気候は晴天に恵まれており、波は穏やかだ。風は船を押してくれていたが、嵐になる気配は全くない。風の精霊が味方したようにすら思えた。

 

 海の魔物が結界に(はば)まれて近付けないせいで、船には一切危険が及ばない。クラーケンが出没する危険な海である事を忘れてしまいそうなほど、のほほんと航海は進む。時折(ときおり)イルカが水面から顔を出す姿を見かけて、乗組員を(なご)ませる。レジーナと鬼姫はすっかり緊張感をなくして、「ふぁーーあっ」と退屈そうにあくびをする。

 

 このまま何も起こらず西大陸にたどり着けるのではないか……そんな空気が漂い始めた時。

 

「……ムッ!?」

 

 何らかの異変を察知したザガートが慌てて船の真横を見る。次の瞬間、視界の彼方にある海でザバァーーーンッと水しぶきが上がる。水しぶきの中に『何か』がいるのが見えた。

 

「あ、アイツだ……半年前に船を沈めたバケモンだ。間違いねえ!!」

 

 巨大な水しぶきを上げた魔物を見て、ボルツが目の色を変える。一連の騒動を引き起こした張本人だと確信を抱き、体の震えが止まらなくなる。

 空高くまで打ち上げられた水柱が海に落下して波が収まると、魔物の姿がはっきり見えるようになる。

 

 船から五十メートルほど離れた水面に浮上したのは、船に巻き付ける大きさの巨大なタコが、カタツムリの(から)を頭に被ったような化け物だった。それはどうやらアンモナイトと呼ばれる生物のようだ。足は八本ある。

 

(クラーケンと言えば、イカかタコなのがお約束だが……この世界においてはアンモナイトだったという訳か)

 

 魔物の姿を目にしてザガートが物思いに(ふけ)る。神話で聞いた姿と少し違っていた事に関心を抱く。

 

「我ハ、クラーケン……魔王軍十二将ノ一人ニシテ、海ノ魔族ヲ()ベル王ナリ……」

 

 巨大なアンモナイトが片言(かたこと)の喋りで自己紹介する。海における魔王軍を統括(とうかつ)するリーダーだと教える。

 彼の名乗りにより、一連の事件を引き起こした黒幕が、ザガートが探し求めた宝玉を持つ幹部である事が明白となった。

 

「オギョォォォォオオオオオオオオオオオオッッ!!」

 

 クラーケンが大声で叫びながら海を泳いで前進する。眼前にある船めがけて一直線に進み、そのまま勢いに任せて体当たりしようとする。

 

「オギョ!?」

 

 だがクラーケンの体が触れようとした瞬間、分厚いガラスのような壁に激突して、バチィーーーーンッと音を立てて弾かれた。見えない壁に激突した衝撃で後ろに吹き飛ばされて、アンモナイトの巨体がザバァーーーンッと海に沈む。

 

「うおおおおっ! すげえ! 実際目にするまで半信半疑だったが、ホントにクラーケンの攻撃を防ぎやがった!!」

 

 化け物の体当たりを跳ね返した結界の凄さにボルツが歓喜の言葉を漏らす。改めて船が無敵の守りを得られた事を確信して、胸のワクワクが止まらなくなる。

 他の船員も皆が「ウオオオオ」と歓声を上げる。自分達の身の安全が保証された事にテンションが上がりだす。魔王を無敵のヒーローだと(たた)える。

 

「よし、魔王よ! このままあやつに攻撃魔法をブチこんでやるがよい!!」

 

 鬼姫が海の彼方を指差しながらトドメを刺すよう命じる。敵がバランスを崩した(すき)に乗じて勝負を決めるべきだと鼻息を荒くする。

 

「残念だが……それは出来ない」

 

 ザガートが申し訳なさそうに顔をうつむかせたまま仲間の提案を却下する。船乗り達が意気揚々としているのとは真逆に表情は暗い。そうしたいのはやまやまだが、それをやれない事情がある……そう言いたげなのが伝わる。

 

「結界を維持し続けたまま、(さら)に別の魔法を唱える事は出来ないのだ。船を守っている間、俺は一切の戦闘行動が取れない」

 

 敵に追い討ちを掛けられない理由を明かす。結界の維持に膨大な力を(そそ)いでおり、他の魔法との併用は不可なのだという。

 

「な、何じゃと!? それならばどうやって、あの巨大なタコを倒すというのじゃ!!」

 

 魔王の思わぬ返答に女が声を(うわ)()らせた。男の力に頼れない以上、いかなる方法でクラーケンを倒すつもりなのかと問いかける。

 

「だからこそ頼みたい。ブレイズ……鬼姫……俺が戦えない代わりに、お前達二人にクラーケンを仕留めてもらいたい」

 

 ザガートが仲間の問いに神妙な(おも)()ちで答える。表情はかなり真剣で、声の調子は重い。自分一人の力ではどうにもならない切実な思いが伝わる。無敵の力を持つ王であるはずの男が、仲間に頼らねば解決できない事態に直面したのだ。

 

「我らが……あの化け物と戦うじゃと!?」

 

 魔王の頼みに鬼姫が困惑した表情になる。まさかそういう話の流れになるとは思わなかった心情があり、すぐには首を縦に振れない。

 

『どうした、女……それがしはやる気まんまんだぞ。貴殿が行かぬというなら、拙者一人で行っても構わんのだが、どうする?』

 

 ブレイズが女の背後から声をかけた。腕組みしたままふんぞり返るように立っており、タコとの勝負に乗り気なのが(うかが)える。あえて(あお)るような言葉を吐いて女の覚悟を試す。

 

「ふ……ふんっ! 聞くまでもなかろう! お主一人だけ行かせて、(わらわ)が何もせず見ている道理などあるまい! (われ)が魔王の片腕として有能な所を、お主に見せてやるわい!!」

 

 まんまと黒騎士の挑発に乗せられた鬼姫が激しく息巻く。相手へのライバル心を燃やしたあまり、何としても負けてられないと興奮気味に鼻息を荒くさせた。顔を真っ赤にした猛牛のようになる。

 予想外の展開に一度は尻込みしたものの、その恐れは完全に吹き飛ぶ。

 

『……決まりだな』

 

 不死騎王がニヤリとほくそ笑む。女が期待通りの反応を示した事に心の中でククッと笑う。

 

 今後の方針が決まると、女と黒騎士が船の(はし)に立つ。女は異空間から刀を取り出し、黒騎士は腰に()してあった(さや)から引き抜いて、それぞれ構える。

 魔王は結界を維持するため船に(とど)まり、三人の女達は自力で空が飛べないため待機する。

 

 一行が話している間に、海に沈んだクラーケンが体制を立て直して水面に浮上する。船の端に立つ二人の戦士を憎々しげな表情で眺める。瞳は相手への憎悪を(みなぎ)らせており、何としても彼らを殺すのだという敵意を(あふ)れさせた。

 

「風の力よ、我が体を浮かせるがよい!」

『……浮遊(フロート)ッ!!』

 

 二人がそれぞれ異なる呪文を唱えると、鬼姫は水色の、ブレイズは紫の光に包まれる。二人の体がフワリと宙に浮いて、自在に飛行が行える状態となる。

 浮遊魔法を唱え終わると、鬼姫が真っ先にクラーケンめがけてビューーーンッと飛んでいく。黒騎士に先んじて手柄を立てようという魂胆だ。

 

「オギョオオオオ!!」

 

 クラーケンが大声で叫びながら、一本の触手を女めがけてブゥンッと振る。

 

「まずは足の一本もらうぞ! ぬぅぅぅぅぉぉぉぉおおおおおおおおおおっっ!!」

 

 鬼姫は腹の底から絞り出したような雄叫びを発すると、両手で握った一振りの刀を横()ぎに振る。自分に向かって振り下ろされた触手を、豆腐を切るようにたやすく斬る。切り落とされた足の先端が海に落下して水しぶきが上がる。

 

「どうじゃ! (われ)の力、思い知ったであろう!」

 

 鬼姫が得意げに胸を張る。アンモナイトの足が大した強度ではなかった事に、あっさり勝てるのではないかという気になり、誇らしげなドヤ顔になる。

 だが斬られた足の断面がグニョグニョと不気味に(うごめ)いたかと思うと、そこから新たな足が生えてきた。

 

「なっ……!?」

 

 敵の足がすぐに再生した光景に、女が顔をこわばらせた。渾身の一撃を無かった事にされた事実が(にわ)かに受け入れられず、茫然(ぼうぜん)自失となる。

 タコの化け物が回復呪文を唱えた形跡は全く無い。にも関わらず、まるでそうしたかのように傷が治癒(ちゆ)されたのだ。どういう原理で傷を治したかが分からず、胸が激しくざわついた。

 

 女が呆気(あっけ)に取られた(すき)を狙うようにタコが一本の触手を伸ばす。触手は目にも止まらぬ速さで女へと迫る。

 

「しまっ……」

 

 考え事に没頭していたために鬼姫の反応が遅れた。慌てて迎撃しようとしたものの、(すで)に触手は眼前まで迫っており、攻撃が間に合わない。

 

 このまま触手に巻き付かれてしまうのか――――そんな考えが頭をよぎった時。

 

 

 

『ムゥンッ!!』

 

 女の背後から飛び出してきたブレイズが(かつ)を入れるように一声発しながら刀を振る。彼の放った一撃は女に襲いかかろうとした触手を一刀の下に斬り捨てる。

 

『今は戦闘中なれば、考え事は禁物ッ!!』

 

 黒騎士が敵に付け入る隙を与えた女を厳しく叱咤(しった)する。今後このような事が起きないようにと(くぎ)を刺す。

 

「すまぬッ! 恩に着るのじゃ!!」

 

 鬼姫が仲間に(かば)われた失態を素直に謝る。手柄を競うライバルと言えど、命を救われた事に感謝の念を抱く。

 

 二人が敵の方を振り返ると、斬られたクラーケンの触手がまたも再生する。やはり呪文を唱えた形跡は無い。

 

(ちまちまと(けず)っていては殺しきれん……ここは必殺の一撃をぶつけるのが勝利への近道か)

 

 敵の再生能力を目にしてブレイズが思い悩む。このまま続けていても(らち)が明かないと感じて、極大威力の技で勝負を決めようと思い立つ。

 考えが固まると右手に握った刀を天高く掲げる。刃の()(さき)は彼の頭上にある空を指す。

 

『冥王剣……(ツルギ)(アメ)ッ!!』

 

 技名らしき言葉を叫ぶと、クラーケンの真上にある空に魔力と思しき青い光が集まっていき、一つの大きな(かたまり)になる。そこから無数の青い光を放つ剣が、真下にいるクラーケンめがけて降り注いだ。

 

「ギェェェェェエエエエエエエエッッ!!」

 

 化け物の口からこの世の終わりと思えるほどの絶叫が放たれた。体のあちこちに百を超える数の剣が突き刺さり、傷口から白い体液のようなものが流れ出す。全身を駆け回る痛みに体を激しくよじらせた。

 

 やがてタコの頭上にある光が次第に小さくなっていき、剣の落下が止む。技の効果が切れたように光の剣がスゥーーッと薄れていき、タコは全身傷だらけのままぐったりする。致命傷には至らなかったものの、かなりの深手を負わせた事は明白だ。

 

「ギヨヨッ!」

 

 クラーケンは一声発すると、左右二本の触手を水面に叩き付けて、大きな水しぶきを上げる。自分の姿を覆い隠すほどの水柱が上がると、すかさず海に潜って何処かに逃げようとする。

 このままでは()が悪いと判断して、撤退する事に決めたようだ。海中を泳ぐスピードはとても速く、船で追い付ける速さではない。

 

「おい魔王サマ! どうすんだい!? このままだとアイツに逃げられちまう!!」

 

 アンモナイトに逃げられそうな流れにボルツが慌てる。せっかく敵を追い詰めたのに、まんまと取り逃がしてはもったいない焦りが(つの)りだす。

 

「案ずるな。(すで)にヤツの魔力は補足してある……このままヤツを追えば、巣まで辿(たど)り着けるだろう。俺が指示した方角に船を進めてくれ」

 

 ザガートが何も心配ないと言いたげに言葉を返す。クラーケンの魔力は完全に把握してあり、たとえ追い付けなくとも彼の居場所まで行けるのだという。

 男の言葉にボルツがコクンと(うなず)く。彼の指示に従い、(かじ)を回す。

 

 船は魔王が指差す方角に進路を取る。アンモナイトの住処(すみか)を目指して真っ直ぐ進んでいく。

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