あれは嘘だ
何も見えない
何も聞こえない
どんな状況なのかもよく分からない
でもなにやら冷たい感触だけは感じた。
そのおかげか私の沈みかけていた意識は覚醒した。
「う……っここは…?」
そうして立ち上がろうとしたその瞬間、落下の痛みが遅れて伝わった。
「〜〜〜っ!受身とれなかった…」
目覚めた場所は真っ暗闇で、目を凝らしても辺りを見回してもなにも分からなかった。
「……確か…そうだ、ハジメを掴んで…一緒に落ちたんだった」
もう一度辺りを見回してみるが、ハジメどころか魔物の気配すら感じない。
「足は……よし、折れてない。……とりあえず上に戻らなきゃ」
私は暗闇の中を歩き始めた。
「しっかし……困った。どこがどこだかさっぱりわからん」
私は完全に迷っていた。
歩いても、どこにも魔物の気配すら感じない。本当に迷宮なのかも怪しくなってきた。
「まさか……もうここは死後の世界とかないよね…」
そう思っていた時
「……あれ?あそこだけやたら光ってる…?」
遠くに今までにないほど明るい金色の光が見えた。
「……行ってみよう」
私はその光に向かって歩いていった。
「……なんじゃこりゃ」
私はその光の光源の目の前で呟いた。
それは巨大な琥珀のような形をしており、中心のダイヤの形の部分以外はまるで印象派の絵画の模様に酷似した金色の模様が浮かんでいた。そして中心の琥珀色のダイヤには中にやけに露出の高い、その琥珀と同じ模様が描かれたドレスを着ている、私と同じくらいの年齢に見える女性が眠っているのが見えていた。
「……人…かな?これ人なのか…?」
そう思っていたその時、急にその琥珀に縦にヒビが入り始め……硝子の割れるような音をしながら真っ二つに割れた。
そして中にいた女性が現れた。
「〜〜っ!っかー!やっと来たか!待ちくたびれたよ!」
その女性は伸びをしながら嬉しそうに言った。
「アタシは幸運の魔法少女!よろしくな!」
「よし!早速だがえ〜っと……お前の名前は?」
「あっ、コガネと申します」
「うん、コガネか!良い名前じゃないか!」
「あ、ありがとうございます?」
「よし!早速だがコガネ!アタシの後継者になってくれ!」
「……すみません、今なんと?」
「後継者になってくれ!」
「……理由をお聞きしても…?」
「む?……ふむ、なるほど」
そう言うとその女性は私の身体を触り始めた。
「えっ!?ちょ、ちょっと〜!?」
「ふむふむ、なるほど。そういうことか」
「何がですか!?」
「よし!まずはアタシの事について話さなきゃいけないようだ!」
そう言うとその幸運の魔法少女という人は自身について話し始めた。
曰く、この世界の戦争は悪ガキのような
そしてそれを知った「解放者」と呼ばれる七人がそいつに戦いを挑んだこと。そして幸運の魔法少女と三人の魔法少女は解放者と共に戦ったこと。神によって操られた人々によって「解放者」は「人類の敵」と認識され、「反逆者」と呼ばれ、蔑まれるようになったこと。四人の魔法少女はそれを知り、神を倒すという目的を
それを聞いた私は、実はその神によって別のところから連れてこられたと幸運の魔法少女さんに話した。
「……ちっ、あのクソッタレめ。お前も大変だったろう」
「……まあ、そうですね」
「………そんなお前に無理を承知で頼みたい」
「後継者に、ですか?」
「アタシたちの戦いにお前を巻き込んでしまうこと、それは本当に申し訳ないと思っている。だが、コガネ。お前にしか頼めないんだ」
「…なるほど」
「それに……コガネならアタシの力も簡単に扱えるだろうからな」
「…買い被りすぎですよ」
「何を言う!その身体、そして強さ。アタシには分かる!それに……お前の
「あ…え…えへへ…そうですかね…?」
「そうだ!……しかし、お前の
「へ…?ひゃっ//いきなり揉まないでください!」
「……
「ちょっと!?」
「あ、すまんすまん」
「……それで、後継者になるって言ってもどうすれば?」
「おお!なってくれるのか!それについてはアタシに任せておけ!」
そういうとその人は右腕にガントレットのようなものを装着した。
「……それは?」
「ん?これはアタシの得物さ!"黄金狂"って名付けたんだ!良い名前だろ?」
そういうと幸運の魔法少女は黄金狂をつけたその右腕の拳を目の前に突き出した。
「ここにコガネの右拳を合わせてくれ!」
私は言われた通りに右拳を合わせた。
「よし!ではいくぞ!」
そういうとその人からなにか流れ込んだと思うと私の全身が金色のなにかに覆われた。
そしてそれが縦に割れ、外が再び見えたと思うと……目の前に立っていた幸運の魔法少女さんはどこにもいなくなっており、私は幸運の魔法少女さんと同じ格好をしていた。
『あー、あー、聞こえるか?』
私が戸惑っていると不意に脳に声が聞こえてきた。
『よし、上手くいったみたいだな!』
「えっ…?どういう事ですか…!?」
『率直に言おう!アタシはコガネと同化した!』
「いや何してるんですか!?」
『まあまあ、とりあえずアタシの黄金狂で確認してみてくれ!』
私は右腕の黄金狂の手の甲の部分にあるあの琥珀色のダイヤで私の身体を見てみた。……すると
「……えっ?」
『……これは予想外』
映っていた私の身体は顔も含めて
「えっ…私ですよね…?」
『なるほど、アタシの力が強すぎたみたいだね。ちょっと調整しよう』
そういうとまた私はさっき程と同じように覆われ、そしてまた割れた。
『よし、これならどうだ?』
私はまた確認してみる。すると、映っていたのは先程とは少し違う服を着て、頭に金の王冠をつけている元の私の姿だった。
「おお……」
『これなら少し力は弱くなるけどコガネの姿になるぞ』
「……それなら、さっきの貴方と同じ格好の方が良いです」
『それは…どうしてだ?』
「私は死んだと思われてるだろうし……なによりさっきの方が好きなので…」
『ふむ、告白として受け取っておこう!じゃあ戻すぞ!』
『よし、とりあえずアタシの力を試してみよう!』
そう言うと迷宮を案内してくれた。
案内してくれた先には……
やけに爪の長いヒグマくらい大きい白い熊が焦げ茶色の1mくらいある芋虫にしては硬そうなやつ五匹と戦っているところだった。
『あいつらをぶっ倒してみてくれ!あ、倒し方はなんでもいいぞ!』
「……あれ本当に魔物ですか?」
『そうだぞ?あの熊は確か"爪熊"であの虫みたいなやつは確か…"琥珀の黎明"とかいうやつだ!』
「なんでそんなお洒落な名前なんだ…」
『アタシにもよく分からん!』
そんな会話をした後、私は黄金狂をグッと握り、開くを数回してから
突如現れた存在に一瞬困惑していた爪熊の懐に潜り込むと
「そらっ!」
空いていた胴体に右ストレートを打ち込んだ。
すると打ち込んだ右ストレートは爪熊の胴体を貫通し、そのまま仕留めた。そしてすぐさま右腕を引き抜いて
最後の1匹を仕留めると、私はその力にかなり驚いた。
「……すごい、あっという間に」
『元々のコガネの戦闘センスもあるだろうが、上手く使いこなせているようでなによりだ!』
そんな会話をしていると、不意に腹がなった。
「……お腹空いた」
『よし!ならこいつら食いな!』
「えっ」
『大丈夫だ!熊の方は毒があるがお前には効かない!この虫はかなり美味いし毒もない!それにアタシは貪欲の化身でもあるから大丈夫だ!』
「そう言う問題じゃ……」
その空気を読まないように私の腹がまた鳴った。
「……はぁ、じゃ、じゃあ頂きます」
そう言い、私は爪熊の腕をもぎ取り、肉を露出させた後思いっきりかぶりついた。
「……なんともいえない味がする。食えないわけじゃないけど…」
『まあ魔物ってそもそも食うもんじゃないし』
「うーん…そ、それじゃあ次はこの琥珀の黎明とやらを……」
私は牛のような見た目をしているそいつらの肉にかぶりついてみた。
「!?お、美味しい!!!」
『だろ?そいつらは美味いんだ』
私は「ウメーウメー」と言いながらそいつら五匹を平らげた。
『よし、それじゃあ行こうじゃないか!迷宮の外に!』
私達は迷宮の外へと向かい始めたのだった。
迷宮内のどこか
「……誰か来ないかな」
赤い眼をしたその青年はそう、呟いた。
はい、琥珀の黎明を出しました。
アブノマ、試練をもっと出していく予定です。
コガネさんが幸運の魔法少女さんに対して丁寧語だったのは、今まで見てきた女性の中で一番美人で妖艶だったからです。同性ですが、見た瞬間に一目惚れしました。