理由は案内有り+休み無しの全速前進なので
現在の階層:99階層
とうとう最下層1歩手前までやってきた。
そしてここまで来て感じたことがある。それはノスフェラトゥさんがかなり頼りになることだ。血液を使用した遠距離攻撃は近接攻撃のみの私にとってかなり相性が良くて、さらに生み出した目その物のような紅い蝙蝠による巧みな人海戦術も私達一人では出来ないところまでカバーしてくれて
大助かりである。その代わりに私の血を吸わせてあげているけど別に問題ない。強いて言うなら痕が少し残ってしまうのがなぁ……ってことかな
そんなことがありながら、遂に私達は最下層への入り口までやってきた。
『ここが最下層の入り口さ。ここを降りれば遂に長かった迷宮攻略からおさらば出来る!』
「……長かった、長かったなぁ」
「我はいつでも行ける。血の心配も無い」
「……よし、じゃあ行こう!」
私達は最下層へと足を踏み入れた。そこは今までの階層とは全く違っていた。規則正しく並んだ無数の巨大な柱に支えられた広い空間に多分30メートル以上はあるであろう高さの天井。地面には荒れたところ一つなく、平らで綺麗だった。そしてどこか荘厳さを感じられた。そして、200メートルほど進んだ先で意外なものを見つけた。それは全長10メートルはある巨大な両開きの扉。表面には七角形の頂点に描かれた文様が特徴的な彫刻が彫られている。
「進むごとに柱が光ってる…」
「全部の柱が光ったら……どうなるのか。楽しくなってきたじゃないか」
『……そろそろ最後の柱だ。覚悟しておけよ?コガネ』
そして私達は最後の柱を超えた。
その瞬間、扉と私達の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。
「……へぇ、面白くなってきたじゃない」
そして魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。光が収まった時……体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。所謂ヒュドラがそこに現れた。
「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」
ヒュドラは不気味な鳴き声をあげると同時に赤い紋様をした頭の口から火炎放射が放たれた。
「それじゃあいつも通りに闘ろう!」
「ふふ、我に任せておけ」
火炎放射を避けると私はヒュドラの懐へと走っていった。
まずは火炎放射を放ってきた頭を狙う。ヒュドラと柱を利用してその頭の真上に移動すると、脳天に向かって拳を振り抜いた。
その頭は勢いよく地面に叩きつけられ、動かなくなった。
「まずは一つ!」
そう叫んだその瞬間、突如他の頭が使い物にならなくなった頭を引きちぎったと思うと、白い紋様の入った頭がその引きちぎった痕から再び新品の頭を再生させた。
「なるほど、再生役か!となると早めに潰さなきゃまずいな!」
私は白い紋様の頭に向かって突進した。すると黄色の紋様の頭が割り込んで私の突進を受け止めた。
「そいつは壁役ってわけね……!」
すかさず黄色の紋様の頭を白い紋様の頭が治す。
キリがない、そう思っていると……
「クルゥァア!」
「五月蝿い蜥蜴だ、もう少し静かに鳴くといい。鮮紅色の糧」
ノスフェラトゥさんが遠距離攻撃で白の頭と黄色の頭を2つ同時に潰した。
「さあ、呆けている時間はないぞ?」
「ッ!!えぇ、勿論!」
すかさず私は赤の頭を再び潰すと、ヒュドラと再び向き合った。
そして黒い紋様の頭と目が合った
○
『欲望を満たせ』
なにやら声が聞こえる
『全てを喰らえ』
『貪欲を満たせ』
『喰らえ』
『喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえ喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰喰』
……お腹、空いたなぁ
○
「ふふっ…くふふっ…」
「あはははは!!!」
私は黒の頭に向かって飛びついた。
そしてその頭の脳天にかぶりつき……頭蓋ごと脳を噛み砕いた。すぐさま頭から離れて血だらけの口を乱暴に拭う。
そして次は青い紋様の頭に狙いを定めると、残りの頭の攻撃をかわしつつ、その青の頭の首に思いっきりかぶりついた。
そして首から頭を引きちぎる。筋繊維のちぎれる音が顎に伝わり、それが気分を高揚させる。
そして残った緑の紋様の頭を喰らわんとして……
パァァン!!
突如子気味良い音が頬に響いた。
「やんちゃが過ぎる。落ち着くが良い」
「あ…れ?…私…」
『……貪欲の暴走…まだ制御の仕方を教えてなかったんだ……すまない、コガネ』
「あいつは我がやろう。渇き」
スパンッ
緑の頭はどこかへと吹き飛んで行った。
「とりあえず一段落ついた、と言うところか。…立てるか?」
「あ…え……私…私…」
「焦るでない。深呼吸しろ」
そう言われたその時、私は
「あ、危な…」
その瞬間、極光がその頭の口から放たれ、私は目をつぶった。
「やれやれ、礼儀のなっていない蜥蜴だ」
だがそれが私に届くことは無かった。
血液のような紅い壁が放たれた極光を完全に防いでいた。
「さあ、先程の礼だ」
そういうと彼はヒュドラに向き合い、右腕をかざした。そして…
「血の宴」
……ヒュドラは銀の頭ごと全身を切り刻まれた。
「さあ、終わったぞ」
「あ……わ、私…」
呂律が上手く回らない。
「……どうやら疲れているようだな。ゆっくりお休み」
私は抱きしめられながら、瞼をゆっくりと閉じた。
貪欲をまだ制御不能にしたかったのとノスフェラトゥさんをかっこよくしたかったので満足です。
悔いは無い