【RE】ヤンデレ・シャトーを攻略せよ   作:白井あおい

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注意:ヤンデレ要素ないです
・ついでに最後まで読んでいただけるとありがたいです



異界(オルタ)を攻略せよ【3/3】

 

塩こと神宮寺是清は普通に話してる分には問題ない優等生の人物である。しかし、こいつは塩をもって人を殺し塩をもって成仏した異常者でもある。

 

「それで、オルタとしてカルデアの人物が襲いかかる…この認識であってるヨネ?」

 

「あってるよ塩」

 

つまり頭のいい塩。

 

「僕には塩というのか…まぁいい、人の呼び方なんて多種多様。どんな言葉を使おうとわかるならいいサ」

 

助っ人として呼ばれた以上、きっと協力くらいはしてくれるんだろうけど…ヤンデレシャトーって女しかいないからな…

 

「勘違いされてるから伝えておくケド…僕は一応サーヴァントとして呼ばれているんだ。君のために推理をするつもりではあるヨ?」

 

「まあ、他のサーヴァントに比べるとましか…」

 

「そもそも僕は上のキャスターを触媒にして呼ばれたんだ。その時点で一人はわかるさ」

 

「キャスター?お前と関連している奴なんていそうにないが…?」

 

当然のことだけど神宮寺がやってきたところで状況は変わらないので美鈴がやってきた。

 

確実に逃がさないと強い意思を持ってこちらを睨んでくる。

 

「もうおしまいですよ、マスター…おや?新しいサーヴァントですか」

 

「まあそうだネ。僕も超高校級の端くれとして名は連ねていたり…くくっ、彼女の本名を当てれば信じてくれるかい?」

 

「…わかるのならお願いしたい」

 

というかわからないと俺は詰みに等しい。美鈴の能力だけじゃオルタ化したのが誰かまで特定できてないし。

神宮寺はマスクの上からでもわかるくらいに笑い、美鈴へと向き直った。

 

「宝具解放─【禁じられた遊戯(転校生・オブ・ザ・デッド)】」

 

 

 

 

 

 

「それじゃ解説をしながら特定していこうか。最初の時点で中華系のサーヴァントであることは容易に特定できるヨネ?」

 

美鈴を放ったらかしにして始まるが、攻撃されるようなことは起こらなかった。

 

「なんで攻撃できないんです!?」

 

「僕の宝具さ。別に言わなくともこれくらいはわかるんじゃないかい?」

 

 

原作でこいつが死んだ裁判の再現。逸話を宝具にするサーヴァントとしては珍しくないな。

 

「わかるけどさ…そこの情報から特定できることは少なくない?」

 

「今の行動も含めて特定するのが本職さ。最原くんには劣るけれど…とはいえ、今回についてはこれのみで殆ど特定に等しいと思うヨ」

 

…中華系…哪吒とかパイセンとかその辺りか?

 

「いや、でもその推理じゃ火が使われてないから違うか…アサシンの呼延灼は?」

 

「面白い線ではあるネ…まあ、僕は門番にアサシンを起用するほど酔狂ではないサ。彼女のことは眠りの門番として知られていることをあるし、そこに帰着するのなら李書文氏が最低ラインだろうね」

 

「…で、話的には李書文も違いそうな感じだが」

 

「そうだヨ。宝具を使えば君と戦うことなく仕留められているはずだしネ…ほら、オルタだとしても僕のようにある程度は使えるはずサ。制御するなんてものは彼女自身の能力を使えば問題ない」

 

…頭はかなりキレている塩はこうなると頼りになる。性格はちょっと残念だし行動はもっとだめだったけれど。

 

「とはいえこれだけでは流石に誰とまでは結びつかないヨ。だから大切なのは彼女の言動。さっきの勧誘の仕方から異常なことがでてこないかい?」

 

勧誘の仕方からおかしい?確か二次創作で見たときと違う点は…

 

「仕事を早く辞めたいことと、結婚願望…」

 

「流石にわかってもらえて助かるヨ。要点さえわかっていれば残りは理詰めさ」

 

「オルタというからには反転しているだろう。僕はもう片方の意識と共存しているケド…元となった霊基では片割れに異常な敵意を抱いているように」

 

「美鈴の元になった霊基…まあ、呼びにくいから以降はカルデア霊基と呼ぼう。反転したとなった際、大切なのはマスターの言った前者だ。後者に関してはヤンデレ化するシャトーの一環で片づく問題」

 

「仕事を早く辞めたい、言い換えれば『主人に対して反抗をしている』ということ。例えば逸話の多い呂布であればオルタにはならないでもあてはまる特徴サ…」

 

「そして武則天や始皇帝などの主君に該当する彼ら彼女らは誰かに仕えることはないとされている。もちろん部下に反抗しないということもネ」

 

「中華系のサーヴァント、そして女性の武人ともなれば可能性はたった一つしかない」

 

 

《サーヴァントを選択してください》

 

 

 

 

 

美鈴のカルデア霊基を指摘すると、普段から見慣れた光の粒に包まれていく。

 

「…おや、ダンガンロンパの完全再現とまではいかなかったネ」

 

「カルデアのサーヴァントにシロもクロもないだろ…」

 

逸話的に全員殺人は経験しているから当てはまるだろうけど…オシオキを見るのは気分が悪くなるに決まってるからな。

 

「まあ、ひとまずの窮地は脱出したようだネ…ククッ、話しながら上がろうか。ここにいて迎撃するのも一つの手だけれど…あいにく僕の宝具は同じ場所で使えないのサ」

 

塩の言葉的に離れなきゃだいぶ辛そうだな。

 

「信用がおけるならいい。悪いけどこのシャトーじゃあんたも変わらないくらいには危険だからな…」

 

「それくらい慎重なら別に何も言わなくてよさそうだネ…」

 

別の人格を持つ、コロシアイのような禁じられた遊戯を再現する宝具を持つサーヴァント。

 

名前が出てこないなんてことはなく、一人のアサシンが思い浮かんだ。

 

「…名前を呼ばないでくれヨ?僕のことは神宮寺として思わないと死んでしまうからネ」

 

「そこらへんは元と変わらないんだな…」

 

どこまでがカルデア霊基で、どこまでがオルタ化しているのか。

そこを見極められないと自力で越えるのは難しそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、動きながらでいいから整理していこうか」

 

階段を登りつつ、神宮寺はそう話しかけてきた。

 

「…俺の体験なんか役に立つもんじゃないだろう」

 

「僕の知ってる情報とどこまで差異があるのか確かめたいのサ。マスターの口から彼女らの所見を聞いておきたい」

 

「まるで医者だな…」

 

「民俗学者だヨ」

 

ともかく、助っ人の言葉を素直に聞いて損はない。俺は今日の悪夢を詳細に話した。

 

「ふむ…とりあえずレミリア嬢もフラン嬢もエリザベート嬢からは除外してよさそうだネ」

 

「…その心は?」

 

「簡単な話サ。レミリア嬢の話を伺う限り、彼女の行動は『領主』として一貫していた。カーミラ嬢のオルタとして出てくるとしたらあり得るが、エリザベート・パートリーには振る舞えない…なんでかわかるかい?」

 

「…経験していないから、だろう」

 

カーミラのリリィと呼んでもいいエリザには領主のやり方を知っていてもできない。

仮にまだ経験していないことをやったら…かりちゅまにでもなっていたのか?

 

「…どうやら思考が別のことを考えられるようになったのなら余裕ができたようだネ」

 

「すまん。気が少し緩んでた」

 

「まあいい。加えて言うなら彼女の行動に歌や踊りに関する行動がない。いくらなんでもアイドルの要素がなくなるなんてことはエリザ嬢に限ってないだろう?」

 

「…そうか?最近のイベントじゃ後輩を振り回してたしな」

 

「…おやおや、しっかり覚えてるみたいじゃないか。ならば確実に違うと断言しよう」

 

「回りくどい。早く言え」

 

「オルタ化したのなら彼女は君に尽くしているんじゃないカ?」

 

「………」

 

口に出されて始めて感じる違和感。確かにオルタのヤンデレになるならレミリアは俺へと尽くしていないとおかしいのか。

自らをコイヌと表現することもなく、さりとてダンスも歌もしない。

その時点で違うと気付くべきだったと…

 

「いや、難しくない?そんなのわかるわけないじゃん」

 

「否定はしないサ。なにせ本来なら逸話的な行動とカルデアの性格のどちらかに対するアプローチしかないんだからネ…エリザ嬢を除外したのは逸話の側面がオルタ化したなら吸血鬼ではなくな…」

 

何かに気づいたようにわざとらしく声を止めた神宮寺。

 

「…なるほど、それなら確かにレミリア嬢とフラン嬢の行動にも結びつくのか…!」

 

「一人でわかるんじゃなくて俺に教えろ…」

 

「別にボクは君が苦しむところが見たいのサ。人間観察が趣味だと言っただろう?」

 

それにほら、と指で示した先にはほのかな光。もうそろそろ図書館に戻るようだ。

 

「パチュリー嬢についてはどのような人物か聞かなくていいのかい?」

「誰なのかなんてわかりきってるよ。民俗学者…これに関係するんだろ?」

 

「もしかして専門的に調べてくれているのかい?何かを知ろうとする気持ちは立派だケド…」

 

それからわかるのかと言いたげな視線を向けてくる神宮寺。

 

「まず民俗学ってのはしきたりとか掟…あるいは資料がどのような経緯で作られたのを調べる学問」

 

「クク…よく調べているじゃあないか…!」

 

「この学問で大切なのは伝えられた資料の形の変わり方を考える。で、その最も代表的なものは物語だ。世界中のことを調べていたお前が呼ばれたことを考えると紫式部のような作者じゃない…物語本体に関係するサーヴァントだろ?」

 

「よくわかっているじゃあないか。でも、物語に関係するのは他にもサーヴァントがいるだろう?」

 

「そこを踏まえた上で、だ。大切なのは咲夜の監禁から逃げる転機になったのはキャスターである奴からの奇襲」

 

しかし、考えてみればあそこは咲夜が改修を加えた上で作った監禁部屋。パチュリーが知っている筈がない。じゃあどこから…

 

そう考えれば答えは簡単だった。

 

「あそこに合ったものでキャスターが使えるものは本棚だけ。ドアを使うのなら俺が気づいていただろうし、ベッドとクローゼットは咲夜の視線の範囲にあった。つまり鎖を飛ばせたのはそこの位置だけだ」

 

「更に言うなら本に直接作用できるサーヴァントは限られる…例えば、本が体の存在」

 

「…言ってくれるじゃない。私のことをわかった風に喋るなんて」

 

パチュリーからの遠い弾幕を難なく避ける。

 

「やっぱり、本からしか攻撃できないんだな。ここに入ったことがわかってるなら罠を張るなりでかい弾を一つ置いておくだけでチェックメイトだ」

 

つまりそうしなかった時点で仮説は正しいということ。

疑念が確信に変わった俺はその真名を言い放った。

 

《サーヴァントを選択してください》

 

 

 

 

 

 

 

「本当にわかるとはね…ククッ、流石はマスターと言ったところかな?」

 

パチパチと小さな音が図書館に響き渡る。

 

「鉄球が落ちてこないしなぁ…」

 

塩の登場した作品では上から鉄球が落ちてきたからな。推理そのものから導き出されたとしても納得のできないものである。

 

「まあいいサ。ここの本という本を読破したいところだけど…そんな余裕ないからネ」

 

「俺がこのシャトーからでれなきゃどうするんだよ?」

 

「もちろん先ほどの行動をとらせてもらうサ」

 

悪く思う様子もなくしれっと神宮寺は言う。今の状態から逆転されないとの意味だと考えよう。

 

「ボクはどちらが勝ってもいいからネ。精々抗うといい…」

 

やっぱりムカつくけど。

 

 

 

 

 

 

「まあそりゃ廊下でエンカウントするよな…」

 

「あなたは私から逃げてはいけない…それを教えられなかったのが悔やみますね」

 

投げられたナイフを鎧で受け止める。ナイフが有限な以上はこれがきっと最適だろう。

 

問題は寧ろ自衛手段がなさそうな神宮寺だが…

 

「…なに、僕のことは気にしないで戦うといい。少なくともサーヴァントがマスターの戦いを邪魔するなんてことはしないヨ」

 

普通はサーヴァント同士で戦うんだけどなぁ…

 

即席で機能しているトラップを避け、死角を縫うように投げられたナイフが致命傷になることを防ぐ。

質より量の方針のようで、綺麗な銀色のナイフが鋭く刺さり続ける。

 

 

「紅魔館自慢の食器はお気に召したかしら?」

 

「これで食事を食べたかったなぁ…!」

 

一瞬手で掴み取って持ち帰りたくなったが、そんなことをやっている場合ではない。ポーチに入っていたギルド支給の投げナイフを手に持ち、はたき落としにかかる。

 

「まだまだたくさんあるから心配しないでいいわよ」

 

ところどころに混ぜられている黒いナイフは間違いなく毒が塗られているだろう。

 

「ふぅん…計画のカラクリとしては中々悪くないようだけど…」

 

「考えるなら速くしろ!」

 

「運の要素が強すぎる計画のせいで分からないのサ。緻密でないからこそ刺さったものも多いしね。でたらめ過ぎてわからないのサ」

 

でたらめ。

そんな感じのスキルを持っているサーヴァントでアサシン。

オルタ化したなら咲夜にぴったりの人選。

 

「ならこいつは…!」

 

《サーヴァントを選択してください》

 

 

 

 

 

 

 

「名前があってるのならよかったヨ。あんなヒントでわかるとはサ…君も殺人鬼側に来ないかい?」

 

「ぜっったいにやだ」

 

廊下がもとに戻る感覚。咲夜である彼女がいなくなったからだろう。

 

「…果たして彼女たちのことがわかるかね?」

 

「さあ。僕がわかるのは彼女たちは同一人物ということさ。エリザ嬢でもなく、カーミラ嬢でもない吸血の特性を持つ第三者」

 

吸血鬼ではなく、吸血…

 

…そういえば、もともと特性を持っていたのはドラゴンだと聞いたことがある。そしてドラゴンに関係した吸血といえば…!

 

「おかしいと感じた解答にたどり着いたのならそれで正解サ…ほら、ランサーとバーサーカーの二つがあるだろう?」

 

「…まあ、言いたい奴はわかったよ」

 

この夜を終わらせるための最後のサーヴァント。

ランサーとバーサーカーの二つを持つ。

吸血をする者として有名であり、また領主としての側面もある者。

 

「お前しか、いない…!」

 

《サーヴァントを選択してください》

 

 

 




とりあえずリクエストは来たら全部やります。

締め切りは4月1日午前0時まで。もしまだしていない人がいるならお早めに…
リクエストはこちらから
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=324114&uid=402242

一人目の方、グラビトンさんへ
「ハナっから無視してやるなんて…マスターさん、どれだけあんまんを渡されても許せませんね。でも最初にくれたのは嬉しいのでちゃんとやりますよ、オルトリアクター全開で。しっかりとイチャイチャシーンたっぷりの大人の振る舞いを見せてあげます。
…リクエスト、ありがとうございます」

二人目の方、強欲のマミーさんへ
「ふむ、あの二人がマスターを取り合うとのことですね…我が夫よ、私のことを忘れていたなんてことはありませんよね?どうやら解答も間違っていたようですし…去年のようにまたみっちりと勉強してあげましょう。
玉座の支度をして待っていてください。」
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