リクエスト企画?並行進捗だからこれくらいしか進んでないよ!
モルガン編
「おはようございます。ふふ…寝ている顔もかわいいものですね…」
ベッドの上で起きたときにはもう手遅れの状況にしか見えなかった。
ウェディングドレスを着たモルガンに、白いスーツ姿で水鏡に映っている俺。
…なんでこの状況で眠ってるとかシワがついていないとかは一旦あとで考えよう。
「どうしたのですか、我が夫?今さらとまどっても結婚式は進みますよ?」
「そうだよな…」
とはいえ。
俺はそもそも一介の高校生のはずだし、モルガンだって女王様だし単なるキャラクターだから結婚なんてありえないはずなんだけど…
「ほら、ネクタイが曲がってますよ。直してあげますから動かないでくださいね?」
「あ、あぁ…」
そっと優しい手つきでこちらの衣服の乱れを直してくれた。そのまま白い手でこちらをぎゅっと握ってくる。
「バーヴァンシーも私たちのことを祝福してくれましたし…マシュも私のことを認めてくださいました。私としては何もやらずともよかったのですけど…」
「皆で大団円を迎えたかったから、だよな」
「ええ。今でこそいい思い出ですけれど、あなたが殺されかけたときは本当に恐ろしかった。私のように妖精でないのですからもう少し自分のことを気にかけてください」
喋っているけど、俺の記憶にないことを言われても困る。怒られても誰とどんなことをしたのかなんてさっぱりわからない。
「ねぇ、さ」
「どうしましたか?式の段取りは礼装を起動すれば得られますよ。もし身だしなみが不安なら私の手を繋げば整えてあげますから」
いちいち凝り過ぎじゃない?どうなってんだミスクレーンwithハベトロット。
お陰で他の人の場所に逃げられないじゃないか。
「もちろん、結婚する前に決めた約束も覚えていますよね…?」
「いや、まったく覚えてない。ごめん」
「ちゃんと申告してくれるのならいいのですよ。妖精の愚かさに比べたら
ぽん、と軽い音を立てて出てきたのはギアスロール。魂にまで関わってくる恐ろしい代物だ。
…こんなのを結んだ記憶はないんだけどなぁ…
「とうせ夢なのですから、安心して結婚してください」
夢の中での経験としてなら結婚してもいいのかね。
「どこからどこまでが夢なのか…気にしないでいいですからね」
トラロック編
朝起きたときに隣にいたのはトラロックだった。俺が好きな姿たからなのか、第二再臨の状態で隣に寝ている。
「起きましたか、トラマカスキ。こんなふうに一緒に寝るなんて夫婦みたいです、ね?」
「夫婦でもこんなことはしないだろ」
寝起きの体にひっついてくる彼女を剥がし、リビングまで降りる。今日は久しぶりに家族と会う日だからな。
「ついていってもいいです、よね?」
「…大人しくしてくれよ?」
明らかに何かやらかしそうな雰囲気だけど、目に見える範囲でならギリギリ手綱を握れるだろう。
「あなたの恋人として振る舞います、ね」
「せめて友達として話してほしいなぁ…トラロックのこと知ってたら余計めんどうだからできるだけ変なことを言わないように。妹と話したときにバレるとやばいからな…」
妹はなぜか俺に女がいるのを病的にまで嫌うからな…
妹に大嫌いなんて言われたくないと思って何が悪い。
「まあいいでしょう。しかしこの家、雨漏りも防音もできてませんね。それに心の洗濯ともいえるお風呂もついてないです。私のほうが優れてます、ね?」
「それはそうだろ。ワンルームの間借りと最高級の家を比べることがおかしいんだから」
自立式の家に勝つなんて無理だろ…機動兵器シリーズぐらいじゃないか?
「おい、なんていきなり漁りだした?そこまで変なものがあるわけでもないのにさ…」
「でも印鑑はあります、ね?私の契約書に押してくださればいつでもいられますから」
「はぁ…令呪を持って命ずる、この俺の部屋の中心から半径6メートル以内に近づくな」
ちょうど家の扉くらいまででていくはずである。なぜこんなことに令呪を使わないといけないのか…
ともあれ、さっさと着替えてトラロックの待つ玄関へと急ぐ。
雨を降らされるのはごめんだからな。
「…トラマカスキの着替えを見れなかったのは残念ですけど、御母様方に挨拶できるのは充分です、ね」
このあとトラロックにマスターとか呼ばれて誤解されまくったけどそれはまた別の話。
妹から「だいっきらい!」と言われなかったことは念を押しておく。
岸波白野編
「やあ、マスター。後輩って呼んだほうがこっちだといいのかな?」
「そうですね…」
現実にいても違和感のない服装である先輩は今風のスマホまで持っていた。俺の持っている機種と同じでありペアルックになっている。
無駄にそこらへん丁寧なのは流石というべきなのかなぁ…
「それで後輩くん。一緒にロールケーキ食べに行かない?ほら、放課後の食べ歩きデートとか憧れだったんだよね」
「まぁ喫茶店にでもいきましょうか…俺なんかで本当に大丈夫ですか?」
「君のために現界したんだからそういうこと言わないでほしいな。…私のことをエスコートしてね?」
「やれる範囲でなら…」
現実では陰キャな俺は女の先輩と話したこともないし、全くもって女性が喜ぶこともできそうにないから自信がない。
「まあ 後輩くんの努力している姿が見れるなら私はそれで満足 たしね。早く行こう?」
「セリフは完全に裏ボスの先輩なんだよな…」
「私って殺生院さんみたいなのじゃないんだけどね?…って、何この生きもの。蛇?」
先輩が手に持っていたものはちょっとだけ大きくなったガラちゃんだった。ふしゃーと威嚇している姿はかわいいし、噛み付いたりしていないあたり良識が分かっているようで賢い。
つまりガラちゃんはさいかわ。
「語るとややこしくなるからとりあえずガラちゃんって名前で呼んであげて?」
「君がそういうのならいいんだけど…もしかしてこの子って別ゲームからの子?図鑑でもみたことないんだよね」
先輩の言う通りガラちゃんはモンハンからである。何でいるかって?藤村先生が呼んだからそうなってんでしょ。
「うーん…このゲームって2人でプレイできる?」
「もちろんできるけれど…なんでそんなことを聞くんですか?」
「せっかくのいい機会だし、この子のことを知るために一緒にやろうかなって。後輩くんはこういうのに詳しいんでしょ?」
「別にいいですけど、先輩はゲームできます?」
「大丈夫、ここに来る前に巴ちゃんに聞いてきたから。とりあえず操虫棍をぶん回せばいいんでしょ?」
…これは教えるの大変そうだな。
家に放置してあったゲーム機と充電器を引っ張り出し、コンセントに指す。
「食べ歩きはしなくていいんですか?」
「…ロールケーキはガラちゃんを倒してから!」
そのあと1日かけても先輩はソロでガラちゃんを倒せなかった。
手のかかる後輩をみている気分だな、これ。
徐福編
「いえーい!マスターさんの頼れる女友達、徐福ちゃんだー!」
「わー」
明らかにテンションの高い徐福ちゃんにパチパチと気の抜けた拍手をする。本当ならチェーンソーを置いてきてほしかったのが本音だけど、そうじゃないなら仕方ない。
というか部屋を壊さないでくれるならいいや。
「そんなこんなで今日はマスターさんの身の回りのお世話をしようと思ったんだよね!」
「そのそんなこんなを教えては…くれないよなぁ…」
多分髪の毛や爪とかを持ち帰りたいんだろうな。他の女ならともかく、徐福ちゃんみたいな道術使いには渡すと呪いの対象になりやすくなるから嫌なのだ。
「いいじゃん別に減るものだけなんだけどよー。すこーし試験中にひらめいたりとかドロドロの独占欲が漏れちゃうだけだぜ?」
「完全にアウトじゃない?デメリット以外ないよ?」
あと毎回さらっと人の思考を読むな。
「いいじゃん別にー!私のことを甘やかせよー耳かきぐらいはさせてくれよー」
「…駄々こねるなら帰らせるよ?」
「やめてー!…まぁいいや、おかくごー!」
てちてちと歩いてきたのは人形。たくさんあるのはかわいいけれど、完全に押さえつけにかかられてる。
「安心してね、マスターさん。ちょっと嫌かもしれないけど、耳かきして汚れ落としたげるから」
ふにふにとした触感が横に当たり、その反対をぬいぐるみの手で固定される。膝枕してくれるのはいいけど乱暴すぎない?
「私は前回の失敗から学んだんだ。マスターさんと話すより行動しておいたほうが責任を押し付けやすいってことをね!」
「最低なことを言っている自覚ある?」
「ほらほら、喋ると鼓膜を破るからじっとしててねー」
文句を言えない状況になってしまったので黙るしかない。
カリカリとした音が耳で響き、他の音がだんだん聞こえなくなる。
「マスターさん、おっきいのあるね。こんなにごっそり取れた」
「…見えないからわかんない」
「うん、見えなくていいよー。私の独り言だからねー」
ふと気になったけれど、すぐに忘れたならどうでもいいことなのだろう。
そのまま徐福ちゃんの仰せのままに右に左に体をよじった。
「…ダメだよ、マスター。これで私の声以外なんにも聞こえなくなっちゃったからね♡」
「それに徐福ちゃんの声を聞くと催眠状態になるようにもしたから完璧な廃人だね♡」
「一生お世話され続けるかわいいお人形…マスターさん、どんな気持ちかな?」
全ルート共通
マスターである彼が解放されたのは夜更けといっていい時間帯、当然翌日に学校が控えているためにすぐ眠りについた。
だからガラちゃんも眠っていたし、油断していたのだ。
「うわきはダメだよ?」
カチャカチャカチャ。
窓のサッシから弄る音が聞こえても二人は起きない。今日の悪夢の対象を乗り越えたあとだったから。他に来ていたと思考が回らなくてもしょうがなかった。
しかしその程度の事情は関係なく、やがて侵入者は彼の上に馬乗りになってナイフを持つ。何をしようとしているかが明白である。
「さよーなら、おかーさん」
特に力を込めていなかったのか、刺した音はしなかった。
小さな染みがじわじわと広がった。
そして彼は死んでしまった。
誰も気づけない犯行を見つけたのは一つの小さな子供だった。
─ねえ。起きてよ、お父さん。