第六特異点のキャメロット。恐らく殆どが来ないであろう砂漠地帯だが、ここにいることは一種の利点だった。
なぜか一対増えた腕を伸ばしつつ、大きなアクビをする。
(まさかダメージがここまで深刻とはな…そりゃまあリリスのグランドでもあったからそんなところだろうとは思ってたよ)
前回使ったリリスの魔法陣は明らかに体に異常をきたしていた。具体的には魔性と竜の特攻対象になってる。
「どうしたのですか、同盟者よ。こんなところで呆けていては干からびてしまいますよ」
「ニトクリスか…スフィンクスくらいなら潰せるし相手になるぞ?」
今回俺が持っている太刀ならマミーやらなんやらは斬れるからニトクリスを斬って逃走しても構わない。
そんな意志を持ってはいるけど、正直戦闘するにしては相手が強すぎるからなんともいえない。
(こりゃミスったな…さて、どうしたもんか)
「いえ、ここでは熱中症の危険性があるのでまずは神殿へと移動しましょう。彼女の目に見つからないためにもそうですし、偉大なるファラオへの尊敬をより強固にしたいですからね」
「彼女って誰のことだよ?」
そもそもキャメロット勢でそんな強いやつはいたっけ?
「ええ、あの恥知らずにも程があるキャスターのあの女です。御仏の加護よりもファラオを崇拝するケメディズムのほうが優れているのです!」
「三蔵ちゃんかい…」
しかも神殿くらいならなんとかなるがそれを上回る質量だとカウンターし辛い。神殿はカウンター以前に構造さえ知っておけば罠も魔獣も問題ないし。
「冥界程ではないにしろ、涼しい場所なのでぴったりです。今は水筒しかないですけど飲みますか?」
「隣に添えられている花が冥界のだから却下」
またヨモツヘグイやらせようとしているし。砂漠の中なら少し効果的だがリリスの影響がまだ残ってる体じゃそこまで問題ない。
(本当に気持ち悪いなこれ…リリスに混ぜ込まれている部分が大半だけど戻るのかね?)
無駄な願いだとしりつつも祈らずにはいられないものである。
とはいえ、きっと無駄な祈りだろう。目の前に神がいるのだから。
「だいぶ静かなもんだな」
「ええ、ファラオと同盟者以外は死者と魔獣しかいませんから。死の世界こそが人々の眠りを救うのです」
久々にファラオっぽいことを言ってドヤってるニトクリスには悪いけど、明らかに都市の地形が水害を意識しているのはどういうことだろうか。
(エジプトって確かそんなことないはずじゃ…聞いてみるのもやぶ蛇になるかもしれないからな…)
今のところはとりあえずスルーでいいだろう。
「っと、見惚れるのはいいですがこの都市では同盟者が異端であることを忘れないように。私の近くにいる分には問題はありませんがそうでなければ死者の仲間入りを果たすでしょうから」
頬を赤く染めながらこちらにそっと手を伸ばすニトクリスのやりたいことはわかった。
ならこちらはそれをやった上で相手のその他を封じさせてもらうか。
「あの早口になるんだったら手を繋ぎたいって端的に言ったらどうです?」
そう言ってぎゅっと手を握る。恋人繋ぎもありでちょっとロマンティックなのかもしれないけど、残念ながらドキドキするような事態には陥らなかった。
(竜に近くなったから愛する対象も変わったってことかな…それはありがたいことだけど気づかれたら最悪だな)
ただでさえそんなことがバレたら実力行使が早くなるのだから最低限は言葉で問題なくしないといけない。
「それくらいならまあいいでしょう…同盟者よ、警戒は怠らないように」
「了解、っと」
正直そんなに心配するようなキャラがいるとは思えないんだけどなあ。
そしてたどり着いた先にはマグマ溜まりがあった。なんだこれ地獄かなにか?
「いえ、冥界です。というよりなぜこのような状況か説明を願えますか?」
ニトクリスから鋭い言葉が飛んできて一瞬自分のことかと勘違いしそうになったが、向けてきた杖の方向的にマグマの奥にいる誰かに対して話しかけている。
「折角ですからマグマのシャワーで洗い流そうかな、と。やはりそれくらいしないと匂いがとれませんから、ね」
「トラロック神ですかい…」
なんだ、今回は本当に神系のサーヴァントが選ばれたのかよ。神聖円卓領域だからって強いやつばっか使っていいとはならないだろ。
「同盟者を捕まえるのにはやはり未熟な私一人では力不足になってしまうと想いまして。この前にであったトラロック神にも協力を仰いだ次第です」
「エジプトの土地も悪くありませんけど、一番はトラマカスキの確保ですから、ね。今回は移動式住居としてお迎えにあがりました、よ」
「想像よりも怖いことしてきたな?」
前回と同様、翼を広げることはできる。しかしトラロックに上をとられていては機械でぺしゃんこになるか上から魚を落とされて死ぬのがオチだろう。
「動かないでください、儀式は終わってません」
「そもそも何の儀式かすら教えてもらってないんだけど?」
段々と周囲が暗くなっていることから冥界に引き座り込むとかそんな感じだろう。雨やらで曇っていれば尚更儀式としては見立てがしやすい。
(こうなってくると祭壇を壊すなり術者を殺すなりしないといけないんだよな…っと!?)
後ろから現れた殺気に太刀を抜いて受け止める。薙刀としては細く、女にしては明らかにガンギマリな目でこちらを見る。
「悪いわね、今の私はトラロックに貸し出された哀れなジャガー…つまりパートで働く従業員よ!」
「ナニ言ってんの?」
意味不明な言葉はともかく、相手が近接の護衛を兼ね備えているのはかなり厄介だ。トラロックのスキルと合わせるとダメカやらなんやらで間違いなく時間を取られる。
(となれば逃走一択…!)
目の前の太刀をそのまま投げ捨て、後ろの腕でガンランスを引いて一定の高度を確保する。
「いかせません、よ?」
「儀式の最中にそんなことができるわけないじゃん?」
どうせ詠唱にかかりきりになっているからなのか、予想通り妨害も拘束されることもなさそうだ。ゆっくりとワールドツアーをするとしようか。
「はいそこ、速度違反だよ。止まらないとパンパンしてそのまま正妻としての自覚をつけさせるために襲っちゃうよー」
「…くそったれ」
通せんぼしてきたのはルーラーのメタジャン、しかも怠惰。大体怠惰ヌが絡んでくるとろくでもないことがおきる。
今は流石に抵抗とかより従ったほうが良いので大人しく降りる。メタジャンからそっと毛布をかけられると凄い眠くなったが無視だ無視。
「おっ、私の布団にオチないってことは神性まで付与されてるね。ちゃんと成長してて偉い偉い」
「順調に人の道を外れてる気がするんだけどな…」
「てことは人の心とかはもうない?私達と一緒に歩むってことは決まった?」
なんか凄いろくでもない方向に勧誘が進んでいる気がするな。頼むからどんどんヤンデレから遠ざかってくれ。
「全然そんなつもりはないよ。このまま人の心も人の体も保ってたいし」
「じゃあ神様含めて私も欲しいから全部まるまる貰うね。ほら、抵抗しないで受け入れな?エッチなことしたくない男なんておかしいじゃん?」
すっごい魅力的に見えてくる怠惰ヌだけど俺としてはちょっとロリコンという絵面のよろしくなさがあるので断固として拒否する。
「ダメだよ、私以外のことも私以外の名前も私以外の必要なことも考えちゃ。お人形さんみたいに私のことだけで全部満ちて?」
「可愛らしくおねだりされても怖すぎるので逃げますね」
「こら敬語にならない、どんどん肌を隠そうとしない、怠惰にならないようにしない!私のものなんだもん、主人に従うように徹底的に調教しないと!」
容赦がない触り方である。なまじ攻撃してこないだけあって振り払うのに力がこもらないのだ。
「ちょっとジャンヌお姉ちゃんの魅力にゴリゴリ理性が削られないの?」
「う〜ん…俺は妹がいるだけなんで詳しいことはわかんないですね。ってかどちらかというと妹が背伸びして姉呼びをされたいだけにしか見えない」
あいにくお姉ちゃんなんて姉ビームでも喰らわない限りできっこないのだ。やはりそういうもの、で捉えなきゃいけないのが残念である。
(つーか敬語になってるのはなんで?)
「そりゃまあ見た目からして堕天しかかってる天使だからねー。ほら、上司には敬語を使わないとダメだからこんな風に口が勝手にそうなってるんじゃない?」
「天使まで入ってるわけないじゃないですかヤダー」
冗談めかしているけど堕天した見た目の翼を持つモンハンのモンスターなのは嫌すぎる。あれはもう厨二病とかなら大歓迎だからまだしも本当に堕天してそうだから困る。
「新人に手を出すのはダメだけど堕天した仲間をこっちに戻すだけだからセーフ」
「天使の境界ってどうなってんだよ…」
逃げ出したいけどなんか契約されたような気がする。許可なしでの契約は悪魔と同じことをやっていると思うんだけどどうなんだよそこらへんは。
「いや、まぁね。致し方のない犠牲だから。マスターの人権はないからね?」
「そりゃ今回ほぼないに等しいだろうけどさ?それでも少しくらいはあってくれよ!?」
人権をなくすことを前提にしてるのが天使なのが怖すぎる。そんな強いキャラいないんよ…?
「むむ、マスター殿の危機なれば!お助けいたしまするぞ!」
「あの君男なんだよねえ!?ありがと助けてくれて!」
ツッコミどころがいろいろとある言葉使いの小さい男に手を引っ張られ、メタトロンから一気に距離を取る。
「…くっ…ま、別に今から追いかけるのはめんどいからいいか。このあとの神様に嫌われるのも嫌だしね」
…そんな不穏な言葉が聞こえたのは気のせいだろう。
そして俺を連れてきた当の本人はツタンカーメンだろう。なぜか黄金の仮面を被っているしシャトーじゃあり得ない男だけど。
「よかったです、マスター殿。うぬとしては召喚されて間もないのにこんな状況であることには驚いておりまするが…」
発言から明らかにおかしいツタンを斬ろうとするがひらりと避けられる。まるで演目の中でのワンシーンのようだが、それはこの戦争において明らかに異質だった。
「…誰だお前」
「…どうしたのですか、マスター。それともうぬのことを忘れましたか?」
「嘘つけ、俺のツタンは最終再臨で止めてんだよ…!そんな子供の見た目の道化じゃねえ!」
アーチャーであるツタンを偽装できるようなブリテンダーはカルデアにいるわけがない。誰だよこんな意味不明なことをし始めたのは。
(しかもアーチャーにしては近接強いし。どうなってんだ今回…!?)
地面からの違和感を感じて空へとバク宙。瞬間的に生えてきた角から避けて向き直るとツタンはもういなくなっていた。
「一体誰なんだよ…?」
「随分余裕のありそうな呟きしてんじゃねぇの、マスター」
「ミコケルもか…そういや一応祭神の巫女だもんな…」
今回本当に神系のサーヴァントでの統一かよ、やりたくなさ過ぎた。
そんなことを言ったところでどうしようもないのでケルヌンノス玉と砲撃を雑に避ける。なまじ攻撃なんてしちゃいけないことくらいはわかるもん、流石にクラススキルを忘れるほど耄碌はしていない。
にしたって今回はエクストラクラスの大放出だな。…さて、問題は誰に会ってないかだ。
「私がマスターのことを狙ってるわけないじゃん。後ろでちょこまかしてるガキを殺したいんだよ!」
だからといっても怖いもんは怖い。多分クラスがフォーリナーの状態だけど自らの体で実践するのはちょっと…ね…?
「いや、あれのことは気にしないほうがいいんじゃないか?位置的に狙ったところでわかりにくいし恐らく黒幕なら次の夜にもでてくるだろうから」
悪夢もいよいよあと一日だけなのだ。ここで逃がしてしまってもどうということはない。
「ならいいんだけどよ…ちっ、もう不味いか。守るぞマスター!」
いきなりヌンノスの口に放り込まれるとミコケルが思いっきり抱きしめてくる。魔力をそうやって吸い取るのは効率が悪かったけれど、ミコケルの感じは間違いなく俺を守る行動なんだよな。
(今回はエクストラが大量にいるからもとの好感度と素の性格がわりと反映されてるのか)
柔らかいもふもふに囲まれていても、ピンチなことには変わりなかった。恐らくこの中に咄嗟にしまったことからかなり強い宝具。
「オルタの火力なら納得だな…」
体に光の粒子に変わる瞬間、最後に見たのは白い光の奔流だった。
「…ったく、どうなってんだか」
明らかに今回の悪夢ではおかしなことが起きたな。持ってない
よりにもよってそういうことなら辻褄が合うけど…どうせ明日ですべてわかることか。
ふと外を見ると、朝っぱらにも関わらず屋台の骨組みをしている多くの人達がいた。
祭りは、もうすぐそこだ。
今回被り過ぎじゃないか?
セイバー→セイバー
もはやアヴァロンセイバーとかまことしやかに囁かれてるからワンチャンあったりなかったりと考えている周年鯖予想。
個人的には悩んだけど最後のオチにエクスカリバーは気持ちいいと思う(偏見)
アーチャー→??
ツタンカーメンを持ってるのに男の娘枠ではなくまさかの誰だよお前枠。ちなみにこいつの正体はわりと黒幕がわかったら大体察する。そもそも仮面だったりなんだったりでヒントそのものは結構出てたりする。そもそもアーチャーではなくサンデーのほうが近い。
答え、見つけられる?
キャスター→三蔵、ニトクリス
三蔵ちゃんはそもそもそんな手に入れたあと育ててないので今回のシャトーでは見送らせていただきました。そもそも三蔵とは相性が悪すぎるッピ…
ニトクリスは同盟者とか冥界とかイヌビス先輩とか悩んだけど最終的には祀られてる神なら一緒だよねでこの判断。ヤンデレというより神官を独占したいだけな気もしてた。
ルーラー→メタトロン・ジャンヌ
下手したらこいつ一人だけで全てを終わらせる女。というか最悪性癖にそって書くと一人勝ちの構図が余りにも多すぎたため中継ぎとしてやってもらった。
ちなみに宝具ぶっぱして飛んでいるところを落とせば一発だったという事実からは目を逸らした。結局エッチな雰囲気にするだけならメタトロンが一番なんだよなあ()
個人的には壱与もありだがルーラー二人は流石に無法地帯だから自重した。明らかに片方のクラスもやばいから今更感凄いけど。
ブリテンダー→トラロック、ミコケル
普段より湿度の高い&湿度のうんぬんよりかわいそうという作者の推しのダブルパンチ。水着のほうはもちろん持ってたらテノチって書いてますよこんちくしょう。
ちなみに神様関連ってなるとサンタアビーも該当するけど流石にややこしいので却下。
既にこれ以上つっこみどころを増やしてどうすんねん問題。
次回→一応周年前のラスト。未だに出せてない
弊カルデア最初のガチャ星5
ファーストサーヴァント
アルキャス
復讐の聖女
お世話になったあの人
を出す予定。十周年までに終わらせるので一緒に楽しみましょう。