…はい、そんな理由も込みで今日はリクエスト企画です。ごめんね、遅くなった気がします。
「というわけであなたのことを助けてもらえる人を用意したの!今日は悪夢はないから安心していいよ!」
「2日間はテュフォンか…」
しっかしこの悪夢とはなぜこうも運営するクラスがころっころ変わるのだろうか。アヴェンジャーとかブリテンダーとか…
…いや、逆に考えるんだ。変わるからこそヤンデレの行動を避けやすくなっているんだと。
テュフォンとかいう新しいキャラを入手できてないのは当然のことだから。
「うん!じゃあ早速相談役のところに送るから頑張ってね!」
「他人事みたいな言い方しやがって…」
しかし実際に他人事であるから何ともいえない。ここで妄想されても困るし別にいいのだが。
来た場所はピノコニー。なんだ、またピノコニーか。
「…ふむ、マスター。まずは紅茶でも飲むとするか」
「相談役にエミヤか…まあ、他に比べたらましかな」
エミヤはあくまで女難の相と言われているけど精々がヤンデレだったりなんだったりに狙われてる程度だし大して問題はないな。
満面の笑みで紅茶を飲みつつ、俺はエミヤを見やる。
「全く、正義の味方をなんだと思っているんだ。しかし手伝うともなればやぶさかではないし…覚えていることを話してくれ」
「もちろんさ」
ただ、どれから話していいもんか。直近であったことを彼にポツポツと伝え始めた。
「まずはさ、ロボが辛いんだ」
「ロボ…人間のような形をしているとかいないとかは関係ないか?」
「まあ、そうだな。別にどっちだとしてもかわいいものはかわいいしかっこいいものはかっこいい」
当然ながら俺も男であるし、ロマンというものはとことん追求したいんだ。しかしそうも言っていられないのがヤンデレ・シャトー。
「まださ、ダヴィンチちゃんみたいにメカが大きくても避けやすい形ならいいんだよ」
「あぁ…ということはトラロック神か─他にも名前はあるだろうけれど、ひとまずそう呼ぶとしよう。彼女の何が問題なんだ?」
「あぁ、そうだな…というか、今から話すやつは全般的に最後の記憶だけないんだよ」
悪夢から逃げ出せたとかそういうのよりも、毎回そのタイミングに限って体が重すぎるんだよな。
「ふむ…とりあえず夢を見させてもらおうか。ピノコニーなら夢の泡があるからな」
「やはり雨の日は風呂に入るに限ります、ね」
「風呂に入ったあとに来るのは反則じゃない?」
家の中で風呂に入ろうとすると壁からトラロックが出てきた。マイホームだからって抜け道を作るのは設計者としてどうかと思います。
そんな家の神はやはりこちらのことが好きであることをアピールするかのように近くでしっとりとした肌を見せつけてくる。
「トラマカスキなら触ってもいいんです、よ?」
「そもそも裸になろうとするな…男子高校生には目の毒なんだよ…」
しかもちゃんとタオルで大切なところを隠すところとかドストライクだ。やめろ、これ以上俺の性癖を壊すな。
そんなことを確実に知っているトラロックはとことん体を近づけて髪の毛をワシャワシャと撫でてくれる。
「もうこれは私のものです。お家の中で寛いで、堕落して、ドッキングして、木組みして、増築して…ふふ、今から楽しみです、ね」
「とりあえず姉みたいに接してこないてほしいな。あと自分で洗えるからリビングで飲み物を用意して待っててほしいな」
とりあえずしっしっと追い出せた(と思う)ので木にせずに洗いを続行する。
「ん、では一緒に寝ましょう。あなたのためにこの部屋は暖めておきました、よ」
「…風呂上がりに寝るのもまた乙なもんだな」
変なことして眠気が冴えないように牽制しておく。エッチなのはダメだと思うけどこういう雰囲気だけならまだましだ。
「そもそもこの家にはトラマカスキの妹も住んでいるので妙な真似はしにくいですし。トラマカスキが望むなら防音にします、ね」
「間違いなく自分の体の中をぐちゃぐちゃにしてるやつだろ。そんな危険なことしちゃいけません」
「ボーリング調査はもう済ませているのでお気になさらず。どうせこの後もう一度書かなければなりませんし、ね?」
「…もう寝る」
ベッドにふて寝をするのが先決だ。そう考えて潜ると後ろからトラロックは抱きついてくる。
「無防備だとしてもこれくらいは警戒してください、ね?」
「いや、あのさ…家である自覚よりも前に自分の体がどうなってるかもっと考えてくれない?」
「私はトラマカスキにとって家なのでしょう?」
後ろから更に強く抱きしめられる。まるで子供が安眠するために抱きしめる枕のように。
あるいは、獲物を逃がさない獰猛な肉食動物のように。
「なら大丈夫です。恋人という一線を越えようとは考えてないのですし、今ここにいるのは単なる友人だと考えていればいいのです、よ」
こちらからは彼女の顔はわからないけど、きっと俺のことをからかってるつもりはない。というより、絶対に誘うために密着しているに違いない。
「ヤンデレ相手にそんな余裕はないけど…まあ、トラロックがそういうなら」
「じゃあこれくらいは許してくれるのですね。相変わらず家族には甘い人です、ね」
ゆっくりと睡魔が襲ってくる。優しい手つきと柔らかな匂いに包まれながら、俺は目つきの怪しいトラロックがこちらを見つめるのを─
泡が弾けたのに合わせて、エミヤが納得した表情でため息をつく。
「…はあ。ということはキミの体がダルいのも納得だ。体に残る倦怠感は相当のものになるんじゃないか?」
「ん、そうだな。記憶がなくなってるときは大体朝が動けないな」
やれやれと頭を振るアーチャーの横でふわふわと金魚が泳いでいる。ピノコニーにあんなのはいたのだろうか。
「ダヴィンチちゃんのときも朝ごはんを用意されるところまでは覚えているけどそっから先は知らないんだよな」
夢の泡がもう一度湧いてくる。俺が触れても何も起きなかったが、またエミヤのほうへとぷかぷか向かって割れていく。
「おや、マスター。もう少し身だしなみに気を使ったほうがいいんじゃないか?」
「えー…眠いからいいよ…」
目の前にいる人が誰なのかはわからないけど部屋に中にいるからきっと安全だろう。
妹が手入れするように俺の髪は整えられ、後ろから手が回される。
「ほら、眠いなら動かないでいいから耳だけ貸してくれ」
「わかったぁ…ありがとぉ…」
なんか凄い変なものを飲まされている感覚はあるけど、きっと気のせいだろう。こんな雑に扱っている以上は男のソレに近いし。
「ほら、朝ごはんだ。食べれないなら私が食べさせてあげよう」
口を開けられて熱いどろっとしたものを流し込まれる。なんか凄く気持ちよくさせてもらっているけど眠くてわからない。
「おや、まだ起きれないのかい?ならしょうがないな、これで…っと」
腕に鋭い痛みが走ったけれど眠くて動けなかった体が覚醒してきたような気もする。
「改めておはよう、マスター」
「…おはよう、ダヴィンチちゃん。ちょっと目を逸らしたい景色があるんだけど」
目の前にいるのはダヴィンチちゃん。普段通りのキャスターとしての、一部の頃のダヴィンチの再臨である。
じゃあ目を逸らしたい景色というのは写真だ。普通の写真ならまだ微笑ましいで済むけれど、俺のことを明らかに隠し撮りした写真が大量に貼られている。
(しかも現実まで見られるし。この前ガラちゃんが食べてたのってドローンとかの撮影器具か?)
本当にガラちゃんって優秀過ぎて飼い主として助かることが多い。最近の電気代が高いのはエアコン代としての必要経費である。
「いいや、私のドローンの充電さ。多角的に取れるようにしたり迷彩にするのに結構かかったんだよ?」
「おいやめろ、というか平然と思考を読むな。つーかいろいろと何やってんだよ」
今いるのはダヴィンチちゃんのマイルーム。シャトーではどのような時空でここに来ているのかはわからないけど、タイマンというのは大抵碌なことが起きない。
「えー、君をここに閉じ込めるための準備?ほら、ちゃんと食事を取らないとダメだよ?」
「なんか怪しいけど…わかったわかった、食べるから至近距離で火炎放射を狙おうとしないでくれ」
これだと避けられないし、正妻戦争のような状況だとしても燃えるのは辛いから嫌だ。
「よかった。万能の天才たる私の手料理だ、存分に食べてくれたまえ!」
そんなことを言ってきたダヴィンチちゃんが出してくれている手料理に問題があった。
出汁が入っている卵焼き、定番の味噌汁や鮭の塩焼き。
米なんかも今じゃ珍しいブランド米だ。
しかし…
「箸、無いんだが」
「そりゃあそうだろう。私は用意してないんだからね」
言葉に反応する前に彼女は一つだけ用意してあった箸で俺のものを口に含み、咀嚼してからこちらへとキスをしてくる。
咄嗟の出来事だが口は閉じたままであり、ただキスをしたくらいに留まった。
「っ!?」
どこかはわからないけど、鋭いもので啄まれる。痛みのあまり反射的に口を開いてしまい、口から口で食べ物を流し込まれる。
唾液まみれの食事の気持ち悪さに吐き出そうとしても、ダヴィンチちゃんが許さない。そうはさせじと体を乗り出して俺を押し倒した。
しばらくその状態で吐き気のするそれを拒否していたが、諦めて飲むと満足げに彼女は口を放す。ドロドロに溶けた唾液が気持ち悪さを倍増させた。
「キミの食事はこれが一番いいんだ。ほら、私の唾液が病みつきだろう?」
「んなわけ、ない、だろ…」
クソほど不味いが確かにもう一度を渇望してしまう。よく考えるとなぜコレを食べずに生きていたのだろうという疑問が脳裏に掠ってくる。
「ふふ、君のためならどんなことも万能の天才として手を抜くつもりはないさ。もちろん勢いにまかせて手でヌくことくらいは大差ない…」
なんと言っているのかすら耳に入ってこない。
「─さて、どれくらい耐えれるのかな?」
…アーチャーは夢の泡を弾いたあとに頭を振った。そこまで酷い夢なのだろうか。
「…ああ、とりあえず君は寝起きの悪さをなんとかするといい。外から見ればわかるが酷さについては折り紙付きだ」
後ろからぴょこぴょこ跳ねている金魚を目で追って捕まえたくなる衝動をこらえ、紅茶を飲む。
「他のエピソードは何かね?」
「う〜ん…あ、エレシュキガルかな。最近持ってないのに悪夢を見た気がするんだ」
エレちゃんに冥界の勧誘をされたところくらいで記憶が止まってるんだよな。冥界の檻とかに閉じ込められたのだろう。
思い出していくとまた夢の泡が出てくる。便利だな、これ。
「起きるのだわマスター!?このまま冥界に寝たままでいるのは勿体ないわ!?」
「…はいはい、ちょっと起きるから待ってくれ」
朝起きたらこの前見たことがあった気がしなくもない冥界だった。エレちゃんいるのはなんでだろうか…まあ、ニトクリスとトラロックが共同してやったからその縁でたまたま来たのかな。
「とりあえずマスターに冥界を案内するのだわ!」
「ぱちぱちぱち〜」
おだてるために茶化しながら手を叩くと、他のガルラ霊も同じようにしてくる。なんか勘違いされてるような気もするんだけど…ま、いいか。
エレシュキガルのことだしそんなどうこうしようなんてことはないはず。
「こほん。冥界の雰囲気とかはもう説明したわよね?」
「もちろん。静かであって死者の眠りを妨げないようにすること。それと死後の安寧のためにちゃんとした場所で休ませていること」
「その通りだわ!よく覚えていたわねマスター。ソレがなければ誰も休めなくなっちゃうわ」
冥界の観光案内の前に講座を受けることになったが、エレちゃんの教え方はちゃんとうまい。あと表情がコロッコロ変わるから見ていて飽きない。
「それで、今から統治する私たちが見に行くのは冥界ね。かなり下の方にベッドがあるからそこでエッチしましょう」
「あのちょっと待ちな?今までの話から想像できないくらい全部すっ飛ばしてない?」
確かエレちゃんの原本にもそういう描写はあったけどここでやるのは聞いてない。ヤンデレだからといってこっちの心臓にも体にも負担をかけないでください。
「え、でもここに来たってことはそういうことをしたいのだわよね?」
平然と返されたように聞こえるけど耳まで真っ赤だ。据え膳食わぬは男の恥とも言うけど、果たしてどうなのだろうか。
(個人的にはめちゃくちゃ大好きだけどやめてください誰も持ってないんです)
スペエレは持ってない、エレちゃんも持ってない。でも可愛いからオッケーです。そんなノリでも今は冥界から出ることを優先しないと。
「あら、何処へいこうと言うのかしら?マスターの居場所はここよ?」
隣に一気に引っ張られ、そのまま下へと落ちる。
明らかにそういう雰囲気とか全てをすっ飛ばして死体を作る気だ。
「マスターが私のものになるのなら手段は選ばないのだわ」
その言葉を最後に俺は─
「…マスター、オベロンになら直談判すれば休みをもらえるだろう。少しくらい休め」
「悪い、2日間エフェメロイ」
閉口してこちらに鶴翼をぶっ放してくるけど避ける。苛ついたからって八つ当たりしないでもろて。
「では私にどうしろと言うんだ…キミは漬け込まれやすすぎる」
「それをどうにかしたいんですけどぉ…?」
「ならもう最初からオートガードで防げばいいだろう。モンハンの武具ならそれで事足りる」
やけくそではあるけど、相手の攻撃を避けるのは確かに有効的だ。
「ともかく、ここも悪夢であることには変わりないから夢の世界から出ていきたまえ。誰かに襲われたりしたら堪らないからな」
「ん、了解。道しるべに沿って帰るわ」
どうせ金魚を追えば帰れるのだろうし。
どんどんと遠ざかる金魚を目標に走り出す。
「行ったか。しかし、この世界には確か道しるべなどというものはなかったはずなのだが…?」
金魚が消えた小道の奥にカルデアの扉がある。ここが帰る場所なのは確実だろう。
「ふわぁ…花火様の罠に引っかかるなんてざぁこ♡罰としてちょっと夢の世界でしかできない経験、させてあげるね〜♡」
ゴツン。
上から降ってきた衝撃でまた俺はいつものように意識を失った。
エミヤに相談した日も体がとてつもなく怠かった。
解せぬ。
10周年おめでとう!
大事なことなので2回言いました。本来なら10回言いたかった。
ちなみに周年のオルガマリーは呼符で来ました。そしてオーバーザセイムスカイからオベロンが出たのでシャトーの管理人をもう一度決め直す羽目になってます。
ちなみにそんな理由もこみで8月中は基本はリクエストを書くつもりです。もし来たら10個は最低限でも答えるつもりです。
なお、ついでに高評価や感想をもらえると作者がむせび泣きます