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モンハンを攻略せよ【1/2】
「一狩り行きましょう、マスター!」
「えへへ、アルトリア・クラフトで鍛えたピッケルさばきを見せましょう!」
「ちょっと待って?俺モンハンやってたんだよな?」
モンハンの新作が出たのでプレイをしていた日。まだストーリーが終わってないのに寝落ちをかましてしまった俺は集会所の酒場で目覚めていた。
何が起こってるのかさっぱりわからん。なんでワイルズをやってたのにダブルクロスの酒場なんだよ。
せめてサンブレークにしろ。
「…そうじゃないんですか?私もオタクの端くれとしてプレイしていますし」
「ええ、どうやら炭鉱夫もやりやすいと聞きました!これはマイナーとしての勘として間違いないです!」
「…えっと、一応名前は?」
僅かな他人の可能性にかけてこの二人へと名前を聞く。
「アーチャー・インフェルノこと、巴御前です!弓はやっぱりやりやすくていいですね!」
「私はゴッホ・マイナーです!マスターが忘れてるなら、マイナスなマイナーになっちゃいますよ…ふへへ…」
「…やっぱりそうだよね、うん。まさかモンハンでも侵食されるとは思わなかったよ」
ジャンヌと別れた昨日の今日である。
せめてもっと悪夢の間隔を開けろ。恥ずかしいこと言った自信あるんだから。
「え、えっと…ごめんなさい?」
「謝らなくていいよ…俺が勝手にゲームやって罪悪感を覚えてるだけのことなんだからさ」
「それで、どうしましょう?ゴッホ的にはやっぱり地底火山に行きたいんですが…私、どれだけ叩いても壊れないピッケルですからいくらでも採掘できちゃいますよ!」
「いや、お待ちください…ここはやはり密林のほうがよいでしょう。あの何もないところで行う自身の体を躍動させての狩りこそこのゲームの醍醐味です!」
二人とも自分のやりたいことを勧めてくるけど、どっちがいいんだろう?
「…ホットドリンクとか必需品って…」
「在庫はたくさんありますよね、巴さん!」
「そうですね。少なくとも他と比べると…ね?」
「なんだその金欠っぽい言い方は?60万ぐらいは稼げてるんじゃないの?」
「桁が一つぐらい違いますね…」
「そ、そそんなもんですよ!」
こちらからの言葉に目を背ける二人。…この反応的にもっと溜め込んてるんだろうな。
「なので、マスターは何も気にせずにキャリーされてください。この世界では現実を参考にして使える武器が決まっているみたいです」
「だから私はピッケルなんです!どこでもいいので更に掘りたくなったりします!」
「…迷惑かけてそうだなぁ…」
絶賛かけられている側の立場ではあるが、そんな難しいとは感じない。…後ろに担いでんのはなんだろう?
「マスターは…弓と刀、ですか」
「大会が近かったからかな…あと結構なメイン武器だったし」
見に行っただけなのに弓を持たされるのってどんな苦行だよ。
刀なんて握ったこともないんだぞ?
「わぁ…マスターに似合いますね!」
「着ている防具との相性が凄いですよ、マスター殿!」
「褒めてもらって嬉しいけどさ…なんで浴衣なんだろう?巴が着たほうが似合うよね?」
防具は男なのに浴衣を着せられていた。ちゃんと防御ができるのか不安なんだけど…
「話は世界の裏側からばっちり聞かせてもらったぜー!というかそもそも私が考えたものなんだけどね!」
後ろから抱きついてこようとする物体を弾く。虚空からさらっと出てくんなや。
「なんでジャガーマンが来るのさ?そこまで交流はないでしょ?」
「ふっふっふっ…あまーい!青春でにゃんにゃんしたところでいきなりバッドエンドルート!その時にそぉっと優しく手助けする存在…それこそ私、ジャガーマンなのだ!」
「…モルガンみたいなバーサーカーよりも話が通じないんだけど」
「まぁまぁ、マスターも一旦落ちつきましょう?それでジャガーマンさんはなんで来たのですか?」
巴が促すと、こちらにビシっと猫の棒を向けてくる。
先生のくせに人を指さすんだ、シエル先輩に言ってやろ。
「同僚の先生の尻ぬぐいに来たんだよ!素直に想い伝えようとした矢先に君が眠っちゃうからあんなドス黒いライトなヤンデレが出来上がったんだよぉ?」
よよよと泣き真似をされてもこちらも困るのだ。
「それ不可抗力なんですけど…」
「マスター、昨日はお楽しみだったんですか?」
「何にもやってないよ?被害者面とかされる以前にこの悪夢から返せ?」
「あーんな本格カレーたくさん食ってさぞかし楽しんでたくせに?その前にもサイダー飲んでさぞや美味しかったでしょうね!」
「その後の事件わかってて言ってんだよね?喧嘩は買うぞ?」
身内に殺されたくないに決まってんだろ。
まだアルキャス持ってないんだからな?
「いえ、この虎猫は放っておいてクエストを選んでリタイアしましょう。厄介なNPCは放置に限ります」
「むむっ、それはフラグのリセマラをするつもりかね?しかしそうはジャガーマンが降ろさない!このクエストを受注しろぉ!」
「ベリオロスと…イビルジョーの同時狩猟?殺すつもりか?」
しかも氷海だから寒いし。
果たしてなぜあんな苦手な奴らと戦わなきゃならないんだ。
「それはね、シエルちゃんの体調を治すために必要だからなの!」
「どっちかというより心のほうじゃ…いや、まあ言わぬが花か」
依頼主は兎も角、理由がシエル先輩関連なら行かないなんて選択肢は頭にない。
「…それじゃ、3人で行こうか」
「待て待てぇーい!なに?このビューティー女教師を置いていくのかい?」
「途中で抜けたりされると困る、正直3人でバランスは取れてる、依頼主を危険な目に合わせるわけにはいかない」
「もっともらしい理由をつけて遠ざけてるだけですよねそれー!?」
とはいえ、恐ろしすぎるんだよね。
「せめてジャガーマンよりはネコシエルのほうがアイルーっぽい。持ってくるならシエル先輩だな」
「そんなぁ…」
…なんか罠とかないよね?
タイガー道場出張編!同業者を救うのだ!
依頼主:ビューティー女教師
場所:氷海
環境:不安定
生態:未確定
メインターゲット
イビルジョーとベリオロスの狩猟
サブターゲット
ガララアジャラ亜種の捕獲
依頼文
さあさあ始まりましたタイガー道場!異世界の同業者を救うために働け弟子たち!
今回挑んでもらうのはイビルジョーとベリオロスの狩猟!本当は捕獲が嬉しいけれど文句は言えない!だって私が倒せないんだもの!
研究している人によるとここから取れるサメのフカヒレがよく効くらしいそう!待ってろフカヒレライフ!
冷え冷えとした空、限りなく寒い海。
完全にリアルな氷海である。
「久しぶりに寒いところきたな…ホットドリンクはあるよな?」
「もちろんです!今回の戦闘は長丁場になりますから…ゴッホ、張り切りますよ!」
「ベリオロス…えぇ、私の弓なら弱点属性をつけるので適任でしょう。イビルジョーはマスターが頑張ってください」
作戦を簡単に立て、とっとと狩りに行く。確か…ベリオロスはエリア1が初期地点だよな。
記憶にある通りにうろついているベリオロスがいてほっとする。もし違うのだったら手に負えないからな。
「先手必勝、ぶん殴ってスタンさせろ」
「お任せください。行きますよ!」
ぶん回して凸るのはゴッホ。炭鉱夫とはいえ英霊の気持ちの乗った一撃を止められるわけもなく、開幕から大きく怯む。
「グワァオオ!?」
「どっせい!」
怯んでいるからといって手を休めるのは二流の剣士。
刀を使って目玉を思いっきり貫く。ゲームとは違う悪夢ならではのリアルの一手だ。
欲を言えば脳破壊したかったけれど、時間が来たので離脱する。
「当たれぇぇえぇぇええ!」
鬼の力を使ってまで限界まで引いた弓から出た矢は、容易くベリオロスを倒れ伏させる。
「ん…まあ、首を切れば問題ないな」
動かない間にベリオロスの首を叩き斬る。サブターゲットがやばいからな、倒せる内に倒しておこう。
「怪我はしてないか?」
「ええ。イビルジョーがどこにいるのかは不明ですが、それ以外は気にしないで大丈夫でしょう」
「えへへ、ゴッホのつるはしも上手く決まりましたね!ホリホリする片手間にいいかもしれません!」
二人とも倒れてはいないが、いつ何が起きてもおかしくはないのだ。
イビルジョーが怒り喰らうなら面倒なことこの上ないからな?
「ほうほう、あれがイビルジョーですか。確かにゴーヤみたいな体つき…足を狙うほうが安全ですよね?」
「そうだな。頭付近に近づくと食べられる危険性があるから気をつけて。ゴッホはとりあえず叩いて柔らかくしておいて」
「もちろんです!あれの肉を食べるつもりなんですか?」
「…まあ、シエル先輩が食べるかもしれないからね。可能な限り試せることは試しておくべきだろ」
当然だがベリオロスは血抜きして放置してある。あんな殺し方をした以上ちょっと呪われそうだけど…なんとかなるだろ。
「とりあえず先手必殺で行くぞ。無理なら生肉を置いて離脱ってのを守れよ?」
「はい!」
ちゃんと連携がとれているのがありがたい。変にいがみ合ったりとかしないのは嬉しいなぁ…
「!?」
「ヴヴェガアァァァ!」
よくわからない発狂声を挙げたイビルジョーへと突撃をしてくる巴。
「最後の一撃まで近距離か!まぁいい、それなら全員死なないくらいでやればいい!」
足踏みでくる振動を気合いで耐え、比較的肉の多い尻尾の方に張り付く。
「木曽様…木曽様ぁぁぁ!」
「まっず…ゴッホ、無理そうなら退避して!」
なぎなたで胴体を狙うならまだしも定期的に首を狙いにいくのは頭付近のゴッホに危険がいく。
もしどちらかの攻撃がかすったとしても致命傷は避けれないだろう。
「……はっ!わかりました、マスターのお手伝いをします!」
こっちに寄ってくるゴッホだが、確実に狙いは俺の首だ。
「危ねえんだけど!?」
ある程度は予想できていたので、ツルハシの振るわれる方向に合わせて体を飛ばせる。
「え?待ってくださいよ、マスター〜…!」
「誰が待つかよ…!?」
氷海における一方通行を利用し、とっとと逃げる。
こんなところにいられるか。
「えへへ、待っててくださいね?ゴッホ、ちゃーんとやりますから!」
普段とは違う赤紫色の目が、こちらを爛々と覗いていた。
当たり前だが、人間は30メートルもあれば死に至る。
「やっぱりこうなるのね…」
危険すぎるが、無理やり足を使って衝撃を避けた。幸いセーフだけれど、こんな賭けはもう二度としたくない。
(そういや、なんで急に殺意が増してたんだろうか?)
少なくともベリオロスのときには異常な行動は見られなかった。考えられるなら狩猟していくごとに病みが深まるとか…?
「それなら部位破壊もしてないだろうし…依頼内容を確認してみるか」
少なくともこの状況を知るためには残りの情報を吟味するしかない。
「はぁ…!?今回ってそういうことかよ…!」
メインターゲットはそこまでおかしくはない。しかし、生態未確定が問題だった。
狂竜化と呼ばれるモンハン界屈指の地獄がある。病気にかかって凶暴化するやりたくのない戦闘だ。
そしてその感染したモンスターの中でトップクラスにヤバいのしかでない『極限化』を表すのが生態未確定である。
「今回の場合、ヤンデレ化が感染したら進むってことか…ベリオロスの死体で感染して発病したのか?」
あぁもう怖すぎるだろ。この感じだと俺も発狂してもおかしくないし。
「これを狩猟しろって頭おかしい依頼出してんなぁ…ってかベリオロスはなんでいるんだろうな?」
虎だからとかそんな理由なの?
まあそれはいいんだ、変にサブをメインにされても困るし。
「とりあえず俺がやらなきゃいけないのはイビルジョーを殺すことだけだ…」
極限化したやつを殺すには抗竜石がほしいが、そんなものはない。
「せめて何か使えればいいんだけど…」
空を仰ぎ見るけれど、そこには青い光しか…
(ちょっと待てよ青い光!?)
青いからバルファルクじゃないけれど、他に何も思いつかない。
しかもぐるぐる回った後、こっちに一直線で向かってくる。
(遮へい物はない…!逃げれ…は、しないか…)
どう見ても走る程度で逃げられる範囲でもない。
しかしまあ、ゴッホに殺されたりするよりはましな結末ではあるだろう。
そうして俺は、青い光に巻き込まれた。