TS長身コミュ障女は旅に出る   作:Revak

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第11話

 図書館に入ったエディスは蔵書の多さに感服した。

 前世の日本で通った事のある図書館に匹敵、ないしは上回る本の多さに呆気にとられる。

 

(さて、目的の本はあるかな)

 

 エディスが探すのは地理系の本。それも出来れば四季まで詳細に書かれている本だ。

 本の向こうの者との会話で相手の暮らしがどのようなモノだったのか把握できている。

 雨季の存在。街の産業。それらの情報から概算すれば何処の国か程度までは絞れるはずだとエディスは計算している。

 

 エディスはこの世界に来た当初からこの世界の文字が読めるし、会話も出来る。その為に本が読めるかどうか心配する必要は無い。

 

 てくてくと、エディスは図書館を歩く。

 目的の本棚を探して歩く事約五分。エディスは見つけ出す。

 

『よくわかる地理初級』『世界地図』『世界の地理学』

 

 並べられている本から自分が求める物に最も近いものを選んで取り、机へと向かう。

 椅子に座り、机に本を広げて本を読み始める。

 

 ぱらぱらと勢いよく本を捲り、五分も経たず本を一周する。

 

(よし、覚えた)

 

 エディスの記憶能力も城尾人に域ではない。

 魔法による強化も含めれば記憶力など人のそれを超える。

 席を立ち、本棚に向かい今度は数冊本を取る。

 そして席に座りまたも数分で一冊本を読み終える。

 

 それを数度繰り返し、一時間が経過した頃にはほぼすべての地域や地理に関する本を読み終えていた。

 

(よし、終わり)

 

 これで図書館での用事は終わりとばかりにエディスは本を棚に戻し、図書館を出る。

 今度向かう先は宿屋。街の地形に詳しくないエディスは周囲を見ながらゆっくりと今後の予定を考える。

 

(この後宿屋に行ったら魔法で位置を検索する。そのあと目的地に向かうとして……速攻で向かうのも味気ないよな。急ぐ旅でもあるまいし。道中の街とかにもよって観光でもしようかな)

 

 そんな呑気な事を考えながらエディスは宿屋へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 ■

 

 宿屋につき、一息ついたエディスは意識を集中する。

 魔法には情報系魔法という分類がある。

 名の通り情報に関する魔法であり相手の位置を探る占術や未来を見る魔法等が該当する。

 それ以外にも記憶に関する魔法等の情報っぽい魔法は一括して情報系魔法と分類される。そもそもとして使い手次第でどんな魔法も効果が変わって来るのでこれといった系統決めは出来なかったりするが。

 

 

 その魔法を使い、エディスは自らの記憶の海から本の向こうの相手に関する情報を会得していく。

 

 例えるならば検索エンジンだ。自らの膨大な記憶の中から該当する情報のみを抽出しそれに最も近いものを引き当てる魔法。

 

 エディスの卓越した──努力した訳でも無い転生で得たずるの力をもって行使する。

 

 そして一分と経たず、魔法は効果を発揮する。

 

 これまでの情報から推察される相手のいる場所は──デイヴィスという苦に。

 エディスが入る国からは遠く離れた別国家である。

 

 地図上で示すならばエディスが今いるガズンズの右上に位置する国であり、物理的にも非常に遠い。幾つもの国家を経由しないとたどり着けない場所にある。

 

 

(……どうしよう)

 

 困ったことになったと、エディスはため息をつく。

 どれだけ離れているにしてもせいぜ隣国ぐらいだろうと思っていたエディスは想定外の遠さに遠い目をする。

 その気になればエディスが全力で走れば正攻法で一週間程度で着く程度の距離ではある。たかが国二つ三つ分しか離れていないのだから。

 だがそれをするにも周囲の被害等を考えれば到底出来る行為ではないし、非常識な事ではある。

 

 そして今。エディスに新たな欲求が芽生えていた。

 

 ──冒険がしたい。

 

 剣を手に。馬車に乗って移動して、道行く先で人々と会話し、モンスターを倒し、感謝されれるような──冒険活劇をしたい。

 今いう事ではないがエディスは冒険小説が好きであった。

 

 日本に居た頃は小説から漫画まで幅広く読んでおり、異世界モノが好きであった。

 自分ではない誰かが苦難と困難を前にしてもめげずに前へ前へと突き進む──エディスの前世では有り得ぬ心のありよう。

 自分も、どうせ異世界にいるのだからそんな冒険をしてみたいという──少年のような心が戻っていた。

 

「よし。行くか」

 

 エディスは決めた。どうせ誰にも文句を言われる事は無いのだから、自分の心の赴くままに行動しようと。

 

(まずは、ルートだな。そのあとどの街に止まるかも考えて……)

 

 エディスは魔法で地図を立体映像にして出現させる。

 魔法で地図上にピンを立てて道を明瞭にし、道筋を考える。

 

 それはエディスにとって至福の時間であった。

 

 

 ■

 

 

 翌日。エディスは冒険者ギルドに赴いていた。

 内装は前の町と何ら変わりはない。酒場が併設されているし、受付の数だって変わりない。

 一瞬前の町に戻ってしまったのかと思える程に似通っているギルドは受付の人間が違うだけでほぼ同じであった。

 

 エディスはクエストボードに向かい、目的の依頼を探す。

 

 エディスがギルドに来た理由はただ一つ。護衛の依頼を受ける為だ。

 護衛とは言っても街から街へ向かう行商等の護衛だ。薬草採取時の錬金術師の護衛ではない。

 

(あった)

 

 数秒探し、目的の依頼を見つけ出す。

 

 クエストボードに張り付けられている紙を取り、受付へと持っていく。

 

「この依頼を受注したいのですが」

「かしこまりました」

 

 受付はエディスが持ってきた依頼を確認し、受注手続きを手早く勧める。

 エディスが持って言ったクエストはここから少し離れた街、公爵が収めるレンゲルという都市までの隊商の護衛依頼だ。

 この世界、街から街の移動は一般人には非常に危険な行為だ。

 所かまわず出現するモンスターに対する対処は常人では不可能。魔法も使えぬ一般人が旅をしようとすればまず死ぬ。死体も残らずに。

 故に別の街に行きたいとなれば高い金を払って冒険者を護衛として雇うしかない。雇わねば死ぬだけだ。

 更に言えばエディスはCランクであり、冒険者全体で見ても上から数えた方が速い程度の実力者。ならば隊商側も無下にする事は先ずない。

 

 

「依頼は明日の朝七時に東門に集合ですね。遅れる事が無いようにお気をつけてください」

「わかりました」

 

 取り合えず宿を探すか、とエディスは依頼の受注を済ませ宿を探しにギルドを出たのであった。

 

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