万装の記憶消失の艦娘と新人提督。   作:snooze

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そろそろヴァルキューレを動かすかぁ…


第十三話 発令 鉄底海峡制圧作戦

 それから二ヶ月。

 舞鶴鎮守府は、かつての輝きを少しずつ取り戻しつつあった。

 

 新たに建造された艦娘たち。

 他鎮守府から戻ってきたベテランたち。

 

 訓練、整備、遠征、哨戒……

 日々の任務を積み重ね、今や舞鶴は、

「四大鎮守府の名に恥じない戦力」と大本営にも評価されるようになっていた。

 

 整然と並ぶ艦娘たち。

 眩しい朝陽の下、提督はふっと微笑む。

 

(……よくここまできたな)

 

 昼下がりの訓練場。

 

「にゃしぃー!! うわぁぁ!!」

 

「また転んだにゃしぃ!!」

 

 睦月が派手にこけて、妖精さんたちが小さな担架を持ってワラワラと駆け寄る。

 

「大丈夫にゃしぃー!?」「担架搬送用意!!」「モルモット、いける!!」

 

「モルモットじゃないにゃしぃー!!」

 

 ドタバタと駆け回る睦月と妖精たち。

 

 一方、

 夕張が「超兵器だよ!」と笑顔で持ち込んだ奇妙な装置が、天龍に思いっきり叩き壊される。

 

「んなもん持ち込むなぁ!!」

 

「科学の進歩には犠牲が必要なんですー!!」

 

 平和な日常。

 賑やかで、笑い声の絶えない鎮守府。

 

 ヴァルキューレも、その輪の中に、静かに混じっていた。

 

 夕立がぴょこんと跳ねながら、ヴァルキューレに近づいてきた。

 

「ヴァルキューレちゃん、なんか、夕立と同じ……なんて言うんだろ……」

 

「……私と?」

 

「うーん…… なんだろ、懐かしい感じがするっぽい!」

 

 無邪気な笑顔。

 

 ヴァルキューレは戸惑いながらも、

 心の奥に温かいものが広がるのを感じた。

 

(……懐かしい)

 

 理由はわからない。

 

 けれど、

 この子と一緒にいると、なぜか心が和らぐ。

 

「……そう、かもしれませんね」

 

 ヴァルキューレは、そっと微笑んだ。

 

 

 夜。

 

 誰もいない海辺。

 ヴァルキューレは、一人、静かに海を見つめていた。

 

 ──その時。

 

「……還れ……還ってこい……」

 

 風に混じって、聞こえた声。

 

 ハッとして周囲を見渡す。

 だが、誰もいない。

 

(今のは……)

 

 胸の奥が、冷たく震える。

 

 懐かしさと、恐怖。

 二つの感情が絡み合い、ヴァルキューレを揺さぶった。

 

(私……なにか、大事なことを……)

 

 しかし、思い出せない。

 手を伸ばしても、掴めない。

 

 ヴァルキューレは、

 深い深い闇の向こうに、何かが蠢く気配を感じていた。

 

 

 

 翌朝。

 

 司令室に、緊急電文が届いた。

 

 提督はそれを一読し、

 険しい顔で、艦娘たちを招集した。

 

 集まった艦娘たち。

 鎮守府に緊張が走る。

 

 提督は高らかに宣言する。

 

「──大本営より、作戦命令だ」

 

 提督の声が、静かに、しかし力強く響く。

 

「これより、全国鎮守府合同による総力作戦──“鉄底海峡制圧作戦”──を発令する!!」

 

 騒然とする艦娘たち。

 

 鉄底海峡──

 それは、深海棲艦が支配する、絶望の海。

 その昔、多数の艦船、航空機がその海の藻屑となったことから言われる、まさに死地。

 

「作戦目標は、敵の拠点制圧。我々、舞鶴鎮守府も、作戦に参加する!」

 

 提督は一歩踏み出し、拳を握った。

 

「生きて帰るぞ。必ず──誰一人欠けることなく!」

 

 ヴァルキューレは、ぎゅっと胸に手を当てた。

 

(私も……行かなきゃ)

 

 心の奥から、名前のない声が囁く。

 

(──あの海に)

 

 どこかで、必ず出会う。

 忘れていた何かに。

 

 そんな、確かな予感を抱きながら──

 ヴァルキューレは静かに目を閉じた。




ほら、そろそろヴァルキューレちゃん動かすから、今のうちにお気に入り登録をして追いかける準備を!!ね!?
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