万装の記憶消失の艦娘と新人提督。   作:snooze

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ギャグを入れる隙はあるのだろうか


第十四話 出撃!鉄底海峡に向けて!

 提督室。

 

 作戦会議を終えた提督とヴァルキューレは、

 艦娘たちの出撃を見送るために整列していた。

 

「全艦、出撃準備完了しました!」

 

 ヴァルキューレが無線機越しに報告する。

 

「よし……行け。気を付けろよ、みんな──必ず生きて帰れ」

 

 提督は、厳しく、けれど温かく言葉を送った。

 

 艦娘たちは一斉に敬礼。

 

 それぞれの艦隊が、希望と覚悟を胸に、

 鉄底海峡へ向かって進発した。

 

 最初の作戦海域、サーモン諸島海域。

 

 青く広がる海。

 しかし、その下には、深海棲艦たちの影が蠢いていた。

 

 

 

 

 第一艦隊(長門・陸奥・赤城改・加賀改・高雄改・吹雪改)

 第三艦隊(神通改・那珂改・夕立改二・睦月改・雷改・電改)

 

 ──二つの艦隊が、連携しながら慎重に前進する。

 

 すぐに、敵影を発見。

 

「深海棲艦、駆逐艦クラス数隻接近!」

 

「上等だ!」

 

 長門の砲撃が火を噴いた。

 

 陸奥が続き、赤城と加賀の艦載機隊が空を裂いて飛ぶ。

 

 あっという間に敵艦隊を制圧。

 

「すごーい!」

 

 夕立が嬉しそうに跳ねた。

 

 だが──これで終わるはずがなかった。

 

「──警戒! 大型反応接近!」

 

 ヴァルキューレの声が無線に響いた。

 

 艦隊の前方、海面が不自然に泡立ち始める。

 

 そして。

 

 ズオオォォォン──!!

 

 水柱と共に、

 巨大な影が姿を現した。

 

 黒く鋭い艤装。

 紅く脈動する、異様なオーラ。

 

 ──戦艦ル級elite。

 

 しかし、通常個体とは違う。

 

 その身にまとった真紅のオーラは、

 まるで生き物のように海面を蠢かせていた。

 

「な、なんだあれ……!」

 

「気を付けろ! ただのル級じゃねえ!」

 

 提督も、モニター越しに息を呑む。

 

 その異様な姿を見た瞬間、

 ヴァルキューレの心臓が、ズキンと痛んだ。

 

(……あれは……)

 

 理由はわからない。

 けれど、本能が警告していた。

 

 ──あれは、普通の敵じゃない。

 

「でも、大丈夫……!」

 

「吹雪、睦月、雷、電、回避行動! 高雄は左舷から砲撃支援!」

 

「赤城・加賀、艦載機による制圧行動!」

 

 ヴァルキューレが冷静に指示を飛ばす。

 

 艦娘たちは迅速に対応。

 

 だが、ル級の砲撃は桁違いだった。

 

 轟音と共に、海面が爆ぜる。

 

 吹雪がギリギリで回避。

 睦月も必死で舵を切る。

 

「なにあれ、やばい!!」

 

 雷と電が互いに支え合いながら突進する。

 

 神通と那珂が駆逐艦たちを守り、

 夕立が一閃、魚雷を放った!

 

「いっけぇっ!!」

 

 魚雷がル級の艤装を掠め、

 一瞬赤いオーラが歪む。

 

「……チャンス!」

 

 高雄が砲撃。

 赤城・加賀・飛龍・蒼龍の艦載機隊が一斉に爆撃を仕掛ける。

 

 鎮守府の司令室。

 

 ヴァルキューレは、無線越しに艦娘たちを支援しながら、

 じっとモニターの奥、ル級を見つめていた。

 

(なぜ……私は、あれを知っている気がする……)

 

 深い、深い場所。

 誰も触れたことのない記憶が、かすかに蠢いていた。

 

「……還れ……」

 

 ふと、耳元に、聞こえた気がした。

 

(誰?)

 

 だが、今は──

 この戦いに集中しなければならない。

 

 

 

 長門と陸奥の主砲が、ル級eliteの胴体を撃ち抜いた。

 

 轟音。

 

 赤いオーラが一気に爆発する。

 

 ル級は呻くように、

 かすれた声を漏らした。

 

「──ワレラ、マダ……」

 

 そして、海の底へと沈んでいった。

 

 ──サーモン諸島海域、突破。

 

 艦娘たちは、歓声を上げた。

 

「やったぁー! 勝ったっぽい!!」

 

「生きて帰れた!」

 

 笑顔と安堵の声が飛び交う中──

 

 ヴァルキューレだけは、

 静かに、胸に手を当てた。

 

(……これからだ)

 

 遠く、海の向こうに。

 

 まだ見ぬ、さらに深い闇が待っているのを、

 彼女だけが、確かに感じ取っていた。

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