サーモン諸島海域を突破した艦娘たちは、
夕暮れ時の鎮守府に帰還してきた。
「提督ぅ! ただいま!!」
夕立が勢いよく走り込み、提督に飛びつく。
そのまま抱きつかれ、提督はバランスを崩しそうになる。
「うおっ、こらっ……!」
後ろで曙がため息をついた。
「バカばっかり……」
だが、その顔はどこか嬉しそうだった。
ヴァルキューレも、静かに艦娘たちを出迎えていた。
ほっとした顔、誇らしげな顔、緊張を解いた顔。
どの顔も、帰還できた者だけが持つ、温かい光を宿していた。
鎮守府の食堂。
提督たちがテーブルを囲み、
大量のご飯とおかずを嬉しそうに食べている。
「間宮さん!おかわりです!」
「ちょっとそれ何杯目!?」
「さすがです、負けていられません」
「い、電もたくさんたべるのです!」
「電、あの二人と張り合ったらだめだ、赤城と加賀は既に6杯目に入っている」
食堂中に、笑い声が響く。
鎮守府に、久しぶりに、
本当に穏やかな時間が流れていた。
──夜。
鎮守府の裏手、人気のない整備棟。
そこに、ヴァルキューレは明石と夕張を呼び出していた。
彼女はいつになく、真剣な表情だった。
「……お願いがあります」
ヴァルキューレは静かに言った。
「例のあれを……いつでも使えるように、整備しておいてください」
夕張と明石は顔を見合わせる。
「えっ……あれって、まだ……早いっていうか……」
夕張が戸惑い気味に言う。
「……本当に、準備していいの?」
明石も、慎重に尋ねた。
ヴァルキューレは、ほんの僅かに首を縦に振った。
「お願いします。…きっと必要なはずなんです」
小さな声。
けれど、確かな決意が込められていた。
二人は数秒だけ沈黙し、そして──
「……わかったよ」
「ちゃんと、準備しておくから」
夕張と明石は、真剣な顔で頷いた。
ヴァルキューレは、深く頭を下げた。
(ありがとうございます、これでやっと…私も…!)
翌朝。
まだ薄暗い司令室に、提督宛ての緊急電文が届いた。
「次作戦指令か……」
提督は静かに封を開く。
──そこには、次なる命令が書かれていた。
1:大本営 ID:G1Tuvk02b
各鎮守府に告ぐ。ルンバ沖海域への進撃を命ずる。敵主力艦隊、同海域に存在確認。
2:佐世保鎮守府 ID:/4egt8MZJ
了解。
3:呉鎮守府 ID:56PPKMb5g
わかりました、四大鎮守府の力を見せましょう。
3:横須賀鎮守府 ID:AfLP9Z7uu
最近は舞鶴も元の活気を取り戻しつつありますからね、負けていられませんよ。
4:舞鶴鎮守府 ID:BWw774oZR
ありがとうございます。これからも精進していく所存です。
(やっぱり、そう簡単にはいかないか)
提督は苦笑し、窓の外を見た。
そこには、まだ真っ暗な海が広がっている。
「感ジル…アノ方のノ力ヲ…待ッテイルゾ…」