万装の記憶消失の艦娘と新人提督。   作:snooze

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(久しぶりなので)初投稿です。


第十九話 サンタクロース諸島北方へ

サンタクロース諸島へ向かう直前のドック。

妖精たちが総動員で艦娘たちの装備を整えていた。

 

「ほいっ! 魚雷詰め直し完了! 次ぃ!」

 

「爆装3、艦載機4、補給良し!」

 

「高角砲、いつもより多めに積んでますー!」

 

……やたらハイテンションな妖精たちに、夕張がツッコミを入れる。

 

「テンションだけで全部済ませようとするなー!!」

 

その声が響く中、艦娘たちが次々に整備を終え、

準備区域に集合し始めた。

 

 

提督は作戦指令室で各艦隊の再編を確認していた。

 

第一艦隊:長門・陸奥・赤城・加賀・神通・吹雪

第二艦隊:高雄・愛宕・夕立・睦月・雷・電

旗艦:神通

支援艦隊として、ヴァルキューレが別行動で海域を展開予定。

 

彼女の艤装はまだ完全ではない。

空母形態も雷巡形態も封印中。

駆逐と戦艦形態のみ使用可能という制限付き。

 

それでも──戦わせる価値があると、提督は判断していた。

 

 

艤装室。

 

ヴァルキューレは無言で装着手順をこなしていた。

 

夕張がすぐ横でチェックをしながら言う。

 

「空母形態は一応動かせないことはないけど……出力安定せず。

 雷巡形態に至っては、安全装置解除できません。ごめんね」

 

「……構いません」

 

「筋肉痛は?」

 

「……踵に少し」

 

「そこっ!? ……いや、もーっ!」

 

夕張が頭を抱える一方で、明石がぽん、とヴァルキューレの肩を叩いた。

 

「安心して、みんながついてる。ちゃんと生きて帰るんだよ?」

 

「……はい」

 

ヴァルキューレは、その言葉だけには、小さく微笑みを見せた。

 

 

サイレンが鳴る。

 

舞鶴鎮守府の艦娘が、一斉に桟橋へ駆け出した。

 

提督は高台からその姿を見送りながら、

ひとつだけ呟いた。

 

「……全員、帰ってこいよ」

 

艦娘たちは振り返らない。

 

海に向かって、ただ前進していく。

 

蒼く、広く、そしてこれまで以上に深く重たい海が──

その先に待っていた。

 

 

現地時間:0430。

、第一接触。

 

偵察艦が敵艦隊を視認。

 

「敵、飛行甲板を展開中! ……艦載機、来ます!」

 

「くっ、全員、対空陣形に移行!」

 

第一波、深海艦載機が上空から殺到する。

 

赤城・加賀の艦隊が迎撃態勢に入り、

雷や電が必死に対空砲火を続ける。

 

「──敵艦載機、高速すぎます!」

 

雷が叫ぶ。

 

だがその瞬間、背後の空を切り裂いて、

新たな艦載機群が姿を見せた。

 

通常の深海棲艦とは違う、艶のある漆黒。

そして、驚異的な旋回性能。

 

その影の奥に、

一際大きな艦影が、ゆっくりと姿を現した。

 

 

長くなびく漆黒の髪。

異常な艤装量を誇る巨大空母型。

 

──装甲空母姫。

 

艦載機群が一斉に展開。

海面から空に、黒い雨が降るかのようだった。

 

第一艦隊がその砲撃圏内に入る直前──

 

「ヴァルキューレ、応戦可能か!」

 

司令部からの呼びかけに、ヴァルキューレは即答した。

 

「はい、──やれるだけ、やります」

 

 

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