ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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十番目の試練ゲート6

「出ちゃうと能力は元に戻る。そうなったら今回の攻略からは外れてもらう」

 

「ふーん、分かった」

 

 外で待っているみんなとしてはヤキモキする事だろう。

 しかし出られない以上は報告することもできない。

 

「……昼食べて、そこから再開するぞ」

 

 トモナリは腕時計で時間を確認する。

 No.10の中は時間の経過が分かりにくい。

 

 なぜならNo.10の中は常に昼であるから。

 外で夜だろうとNo.10の中は一定の明るさが保たれてる。

 

 しかし太陽なんかはなくただ明るいという不思議空間である。

 そのために時間感覚が周りの環境から計ることができない。

 

 普通に時計があれば時間がわかるので時間を見ながら食事や休憩、睡眠など時間に沿った行動をすれば体の調子が狂うことも少ない。

 

「おっべんと〜おっべんとぉ〜」

 

 お昼ご飯はお弁当である。

 中で長時間攻略することが分かっていたので手軽に食べられるお弁当を持ってきていた。

 

 時にはゲートの中のモンスターを食べることもある。

 オークは豚肉みたいな味がして美味いのだけどお弁当があるのにみんなの目の前で解体して肉を焼く必要はない。

 

 トモナリが周りの警戒に当たってその間にみんなでお弁当を食べる。

 ゲート周りは安全であるが万が一がある可能性もある。

 

「食べ終わったら荷物インベントリに入れてみろ。入らなかったらこのままここに置いてけ」

 

 すぐに使えるように荷物はインベントリに入れて持っていく。

 お昼を食べ終えたトモナリたちは少し休憩して再びNo.10の攻略を再開する。

 

「はああああっ!」

 

「マコト君、ナイス!」

 

 見つけたオークをみんなで攻撃して膝をつかせた。

 マコトが影から飛び出してきてオークの喉を深く切り裂いて倒した。

 

 ナイフという武器は小回りが聞いて攻撃速度も速いが刃渡りの短さから攻撃距離も短く敵に接近しなければいけない。

 マコトはブルーホーンカウの時は及び腰で視界の外からの攻撃ばかりしていたが、正面から喉を切り裂くような勇気も出てきたらしい。

 

「どうだ、入りそうか?」

 

「いや、俺は無理だ」

 

「僕はいけたよ」

 

 インベントリの確認もざっくりと行っておく。

 枠数制限はインベントリを確認すればできるから簡単なのだが量的制限は確認が難しい。

 

 とにかく物を入れてみるしか方法がない。

 持ってきた荷物はみんなインベントリに入れる事はできたのだが、オークの死体を収容しようとすると差が出てきた。

 

 ユウトはオークをインベントリに入れられなかったけれどコウは入れることができた。

 ミズキとサーシャ、マコトもオークをインベントリに入れることができたので珍しい職業だとインベントリも大きいのかもしれないとトモナリは思った。

 

「ちょっとどんなもんか……試してみるかな」

 

 離れたところにオークを見つけた。

 トモナリはみんなに下がっていてもらってヒカリと共にオークに走り出す。

 

「おらっ!」

 

 飛び上がったトモナリはオークのことを殴り飛ばした。

 頭が弾き飛ばされてオークがぶっ飛ぶ。

 

「流石に強いな」

 

 トモナリは自分の拳を見ながらニヤリと笑う。

 力の数値も倍になった影響で100を超えている。

 

 さらにトモナリの場合は魔力の能力値も高く、魔力を体にまとっての自己強化も強いので数値よりも高い攻撃力を誇る。

 正直な話、トモナリが本気を出せばボスも一人でひねり潰せるだろうと思う。

 

「ほわー!」

 

「ヒカリ、いいぞ!」

 

「トモナリのことは僕が守るのだ!」

 

 起き上がってトモナリに棍棒を振り下ろそうとしたオークの腹にヒカリがライダーキックを決めた。

 再びオークが吹き飛ばされていく。

 

「一回……全力ってもんを出してみたかったんだ!」

 

 トモナリが剣を抜く。

 真っ赤な刃を持つルビウスに魔力を込めていくと赤い光がまとわれ、赤い炎に変わっていく。

 

「ヌフフ……ポッ」

 

 ヒカリが口を尖らせて炎を放つ。

 完全にコントロールされた炎は燃えるルビウスにまとわれていってルビウスが放つ炎と一つになる。

 

 もはやルビウスは柄から炎が生えているかのようだった。

 

「消えろ!」

 

 例えるならドラゴンのブレス。

 トモナリが起きあがろうとしたオークに剣を振るうと圧倒的な熱量が襲いかかった。

 

 オークから後ろの大地も深くえぐれて消し飛んで、あまりの熱に焦げたように黒くなっていた。

 

「け、消し飛んじゃった……」

 

 トモナリの前にはオークがいたはずなのに一瞬の火炎の後には小さな魔石しか残されていなかった。

 

「気分は悪くないな」

 

 多分今の威力なら回帰前の自分も余裕で超えているとトモナリは思う。

 

「ウヘヘ」

 

 トモナリは無言でヒカリの頭を撫でる。

 ヒカリとならば滅亡する運命を変えられるのではないかと思える。

 

『オークが全滅しました。二階への扉が開かれます!』

 

「あっ、あれ最後だったのか」

 

 どうやらトモナリが倒したオークが最後のものだったようで一階の攻略条件が満たされた。

 振り返ると天を突くような光の柱が伸びているのが見えた。

 

「あそこが二階の入り口か」

 

 トモナリは呆然としている仲間たちのところに戻る。

 

「二階に……」

 

「すごいじゃん、トモナリ!」

 

「なんか負けた気分……でも負けないんだから!」

 

「僕の炎の魔法よりも強いんじゃないかな?」

 

「ヒカリちゃんもすごかった」

 

「トモナリ君、さすがです……」

 

 みんなのリアクションはそれぞれだった。

 今は二階が、なんてことよりもトモナリの力の凄さに驚いている。

 

「ヒカリがすごいんだ」

 

「ぬんっ!」

 

 トモナリがポンと頭に手を乗せるとヒカリがドヤッと胸を張る。

 

「そうだよね、トモナリ君じゃなくてヒカリちゃんだもんね」

 

 ミズキはトモナリが強いなんて納得しないといった感じの顔をしている。

 

「まあそれでも俺はミズキより強いけどな」

 

「なにおぅ!?」

 

 謙遜でヒカリが強いと言ったけれどそう正面から実力を否定されるとトモナリもちょっとムカつく。

 

「負け越してるくせに」

 

「ぐぬぬ……!」

 

 トモナリに反論されてミズキは悔しそうな顔をする。

 まさしくぐうの音も出ないというやつである。

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