ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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十番目の試練ゲート9

 一階のオークより二階の方がほんのちょっと強い感じはあったものの、戦い方が大きく変わることはないのでオークとの戦いに慣れたトモナリたち敵ではなかった。

 

「ドリャッ!」

 

 ヒカリがオークの顔を爪で切りつけて怯んだ隙にクラシマがオークの膝を横から殴りつける。

 オークの膝が砕けて足が折れて横倒れになる。

 

「トドメだ!」

 

 最後にユウトがオークの首をめがけて剣を振り下ろす。

 一撃でしっかりと決められた攻撃によってオークの首が地面を転がる。

 

「いっちょ上がりぃ!」

 

「おつかれ〜」

 

「オークの倒すのはいいんだけど同じ敵ばっかで飽きてきたな」

 

 ユウトが剣を振ってオークの血を払う。

 オークに慣れてきたのはいいけれど慣れてくるとどうしても飽きてくるなんてことが起きてしまう。

 

「飽きるほど慣れるのはいいけど油断はするなよ?」

 

 飽きるということで不要な油断を誘発してしまう可能性がある。

 トモナリはしっかりと釘を刺しておく。

 

「分かってるよ。今だって能力値倍だから何とかなってるんだしな」

 

 ユウトもトモナリの言葉に頷く。

 飽きてはきたが手を抜くことはしない。

 

 お調子者に見えるが意外とユウトは真面目である。

 

「トモナリ君、あれ」

 

「あれ? あれは……」

 

 オークの死体をトモナリがインベントリに収納して次のオークを探そうとしていた。

 その時サーシャが遠くにオークの姿を見つけた。

 

 何だか様子がおかしいとトモナリは思った。

 やや前屈みでノロノロと歩き、時々頭を振っていて奇妙な行動をとっている。

 

「あっ、目が赤いよ!」

 

 変なので少し様子を見ていたらオークが振り向いた。

 誰がどう見ても目が赤く染まっていてみんなすぐに同族喰らいのオークであると分かった。

 

「ボスだな。まだオークはいそうな気もするけど見つけたなら戦うか」

 

「よしっ!」

 

「あれ倒したらようやくオークから解放されんのか」

 

 見つけたら倒すと言っていた。

 ここで見逃してはまた探すのも面倒なので同族喰らいオークと戦うことにした。

 

「戦い方は基本的に変わらない。けれどこれまでよりも一気に決めてしまいたい感じはあるな」

 

 同族喰らいオークにバレないように後をつけながら襲撃のタイミングをうかがう。

 同族喰らいオークはやや不安定な感じがあっていつ振り向くかも分からない。

 

 同時に不安定さがあるモンスターは大体の場合すごく鈍いかすごく敏感になっているかのどちらかである。

 鈍い場合はそのまま襲撃できるだろうが敏感な場合は近づくとバレてしまう。

 

 バレたところで構いはしないのだけど、相手を見極めるということも覚醒者には必要なので経験だと思ってみんなで同族喰らいオークを観察する。

 

「あっちに普通のオークがいますね」

 

 鈍いのか敏感なのか観察じゃいまいち分からないのでそろそろ攻撃しようと思っていたら同族喰らいオークの進行方向に普通のオークが現れた。

 

「あっ……」

 

 普通のオークを見た瞬間同族喰らいオークが走り出した。

 持っていた棍棒を普通のオークの頭に向かって振り下ろす。

 

「オーク同士が戦ってる……」

 

 普通のオークも抵抗を見せるものの同族喰らいオークは反撃も気にしないように攻撃を続ける。

 同族喰らいオークは何度も何度も執拗に普通のオークを殴りつける。

 

 地面に倒れた普通のオークが完全に動かなくなって同族喰らいオークは雄叫びを上げた。

 

「うわ……」

 

「あれが同族喰らいってことだ」

 

 同族喰らいオークは膝をつくと普通のオークの肉を喰らい始めた。

 あまり気分の良い光景ではなくみんな顔をしかめる中でトモナリは平然としていた。

 

「さて、攻撃するぞ」

 

「え? 今?」

 

「そうだ。食事中周りのこと強く警戒しないからな」

 

 同族喰らいオークはかなり仲間を喰ったのかかなり正気を失っている。

 もはやオークを喰らわずにはいられないようで今も食事に夢中になっている。

 

 そうなると攻撃できる大きな隙があるということになる。

 同族喰らいオークの食べ方は汚くて血があちこちに飛んでいる。

 

 血に濡れた相手と戦うのは何だか嫌だなとミズキは思ったがそんなことで好きを逃すわけにはいかない。

 

「俺が腕でもぶったぎるからあとはいつも通りに行くぞ」

 

 今のトモナリの能力値なら同族喰らいオークのことを一撃で倒せる。

 しかしそうするとみんなの成長を阻害してしまう。

 

 一人じゃなくみんなで成長するのだ。

 

「いくぞ!」

 

 トモナリは未だに普通のオークを喰らっている同族喰らいオークに向かって走り出す。

 

「負けないよ!」

 

「私タンクだよ?」

 

「トモナリに続け!」

 

「僕は魔法使いだから」

 

「はぁ……トモナリ君さすがだ……」

 

「毎回こうなのか?」

 

「みんな行くのだー!」

 

 みんなもそれぞれ動き出す。

 

「よう」

 

 トモナリは同族喰らいオークの背中に迫り、剣を振り上げる。

 ルビウスがトモナリの魔力を受けて赤い炎をまとう。

 

「お前は俺の試練ゲート攻略の記念すべき最初のボスになるんだ」

 

 声をかけられて同族喰らいオークはようやく後ろにトモナリがいるのだと気がついた。

 

「光栄に思え」

 

 トモナリが剣を振ると同族喰らいオークの腕が切り飛ばされた。

 

「ほい!」

 

 飛んできたヒカリが同族喰らいオークの腕に炎を吐き出した。

 同族喰らいオークの腕は炎に包まれて燃えながら地面に落ち、同族喰らいオークは痛みにひどく醜い叫び声を上げた。

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