ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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人類の敵1

『ゲートが攻略されました!

 間も無くゲートの崩壊が始まります!

 残り1:30』

 

 同族喰らいオークを二体倒した後に新しい表示が現れた。

 ゲート攻略と攻略されたゲートが閉じるまでのタイムリミットであった。

 

 崩壊まで2時間もあったので状態を確認しつつのんびりゲートの出口まで戻ってきた。

 

「は、早く出なくて大丈夫なの?」

 

 ゲートそのものには十分ぐらいでさっさと着いた。

 しかしトモナリはすぐにゲートから出ないでその場で水分補給したりと休憩し出した。

 

 出て休憩すればいいのに思いながらもみんなもトモナリに従う。

 しかしゲート崩壊のタイムリミットが近づくにつれてどうしてもソワソワとしてしまう。

 

「2時間もあるから大丈夫だって。だけど……そろそろ出るか」

 

 本当はもっと休みたかったけれどみんな気が気じゃなくて休めなさそうだった。

 ふっと笑ったトモナリは立ち上がってお尻の土を払う。

 

「みんな」

 

 トモナリが声をかけると一斉にみんながトモナリのことを見る。

 

「今回No.10を攻略できたのはみんながいてくれたおかげだ」

 

 一人だったらNo.10の攻略の許可は出なかっただろう。

 それにいかに力があっても一人で全てのオークを倒して回るのはキツい。

 

 みんながいてくれたから安全に攻略をすることができたのである。

 

「信じてついてきてくれてありがとう」

 

「トモナリ君……」

 

 レベル一桁台で誰も攻略できていない試練ゲートに挑むのは怖かっただろう。

 たとえゲート攻略を拒否したとしてもトモナリは批判するつもりもなかったけれど、みんなはトモナリのことを信じて一緒にゲートに来てくれた。

 

 トモナリが頭を下げてミズキは目を丸くした。

 傲慢な人ってわけでもないけどこんなふうに頭を下げるだなんて思いもよらなかった。

 

「人類が助かるために必要な99個のうちの一個を俺たちが攻略した。このことは誇ってもいいと俺は思う」

 

 トモナリは一人一人と目を合わせる。

 入る前の不安そうな様子とは違って今はみんな自信がある顔をしていた。

 

「本当に感謝してるよ」

 

「……そうだね。私たちがいないとトモナリ君危なっかしいからね」

 

「俺たちあってのトモナリだもんな」

 

「全然そんなことないと思うけどな……」

 

「ん、トモナリ君には私たちが必要」

 

「僕は……まだまだなので」

 

「これが8班か」

 

 ミズキとユウトが冗談で返し、苦笑いを浮かべるコウにサーシャがさらに冗談を叩き込む。

 マコトはトモナリに褒められて嬉しそうにしていて、クラシマは同じクラスなのにトモナリたちが一つ抜きん出た存在なことを感じて肩をすくめていた。

 

「お前にも感謝してるぞ、ヒカリ」

 

「友達だから当然なのだ!」

 

「じゃあそろそろ外に出るけど……」

 

「まだ何かあるのか?」

 

 トモナリの言い方にユウトは引っかかるものを覚えた。

 

「戦いはまだ終わってない」

 

「えっ?」

 

「ゲートは攻略したよ」

 

 トモナリの言葉にみんなは不思議そうな顔をする。

 

「その通りだ。だけど俺たちの敵はモンスターだけじゃない」

 

「どういうこと?」

 

「これから言うことを頭に留めておいてほしい。実は……」

 

 ーーーーー

 

「タケル、貧乏ゆすりはやめな」

 

「しかしお嬢。ゲートが攻略されたのにあいつら出てこないから……」

 

 カエデは苛立ったように足を揺らしているタケルを見た。

 睨まれてタケルは無意識に揺らしていた足を止めてゲートに目を向ける。

 

 ゲートの外では課外活動部の二、三年生がやきもきとした思いで待っていた。

 トモナリたち攻略隊は丸一日以上ゲートに留まっている。

 

 状況を見に行きたくとも二、三年生はすでにレベルが20を超えていてゲートに入ることもできない。

 大丈夫なのかという心配が大きく、待っていることしかできないことに苛立ちを覚える。

 

 さらにトモナリたちが入ったゲートが白くなった。

 これはゲートが攻略されたということであり外で待っていたみんなは喜んだ。

 

 しかし待っていてもトモナリたちが出てこなくて再び不安感が出てきてしまっていたのである。

 

 ゲート崩壊前に出てこなければゲートの中に閉じ込められて帰ってこられなくなってしまう。

 もしかしたらボスは倒したけれど相討ちになったとか、ダメージが大きくて戻ってこられないなんてことも考えられる。

 

「出てきたぞ!」

 

 トモナリに一度負けているタケルは勝ち逃げは勘弁してほしいと思っていた。

 そんな時にゲートの中からトモナリが出てきた。

 

 まさかトモナリだけが、という空気も一瞬で中から続々と他の子たちも出てくる。

 みんな無事そうで待っていた二、三年生やマサヨシの表情が明るくなる。

 

「みなさん、お疲れ様です。課外活動部一年全員無事に十番目の試練ゲート攻略しました!」

 

「僕たちの勝ちなのだ!」

 

 トモナリが笑顔を浮かべて高らかに宣言する。

 

「十番目の試練ゲートを……攻略したのか」

 

 無事に帰ってくるだろう。

 そう信じていたマサヨシだったけれどトモナリたちが怪我なく帰ってきてくれてほっと安心した。

 

 駆け出して一人ずつハグでもしたい気持ちになるけれどここはグッと我慢してトモナリに大きく頷いておいた。

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