ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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お泊まり会4

「でもさ、トモナリってホント不思議だよな」

 

 布団の上で横になったユウトがトモナリを見る。

 

「何が不思議なんだよ?」

 

「んー、何でも知ってて堂々してるし強いしさ。なんつーかさ、人生二周目って感じ」

 

「あー分かる」

 

 コウがユウトの言葉に同意する。

 コウはアカデミーのテストにおいて学年三位の成績をおさめていた。

 

 出来は良かったし一番あるだろうと思っていたのにトモナリに一問差で負けてしまったのだ。

 トモナリのことを馬鹿だとは決して思っていない。

 

 しかしトモナリよりも勉強を頑張っているというちょっとした自負があったので負けた時には相当悔しかった。

 トモナリは回帰前にガリ勉タイプで回帰前の知識があるので勝てただけなのである。

 

 実際人生二周目感はあるとコウだけでなくみんなも思っていた。

 

「そりゃ二周目だからな」

 

 トモナリは少し笑って答える。

 

「そっか〜二周目か〜ってんなわけあるかよ!」

 

 それっぽいというだけで本気で二周目だなど思うはずもなくユウトがツッコむ。

 本当に本当のことを言っているのだけどなんと言葉を尽くしてもすんなりと信じてくれる人の方が珍しいだろう。

 

「トモナリって中学時代どんなんだったんだ? ミズキ、同じ学校だろ?」

 

「トモナリ君は……その……別のクラスだったし」

 

「でも入学前から知り合いっぽかったじゃん」

 

「それは……」

 

 急にミズキの言葉のキレが悪くなった。

 ユウトは悪気もなく首を傾げる。

 

「俺は中学の時いじめられてたんだ」

 

「えっ?」

 

「馬乗りになられてぶん殴られて……それで三年の時はあんま学校にも行ってないんだ」

 

「そ、壮絶だな。……あ、変なこと聞いてごめん」

 

 ユウトがバツの悪そうな顔をする。

 

「いいって。もう気にしちゃいない。今はこうして泊まりに来てくれる友達もいるしな」

 

「……チェ、ずるいことゆーよな」

 

「学校行ってない時に体鍛えたくてな。そこでミズキの家の道場に通ってたんだ」

 

「それで知り合いだったんですね」

 

「まあその前にもちょっとあったけどな」

 

「なに? なんか良い話?」

 

「ふふーん、僕がミズキを助けた話だな!」

 

 ヒカリがドーンと胸を張る。

 ちゃんと挨拶交わして互いを認識したのは道場での出会いであるけれど、その前に廃校でのゲート事件の時に顔は合わせている。

 

 トモナリが覚醒しに行った場にミズキも迷い込んでいた。

 トモナリとヒカリの機転のおかげでなんとか無事にミズキも逃げることができたのである。

 

 その時にミズキも覚醒していた。

 

「そんなことあったんだ」

 

「むぅ……恥ずかしい……」

 

 軽くトモナリがミズキとの出会いを話すとヒカリがスケルトンをちぎっては投げちぎっては投げの冒険譚に格上げする。

 ミズキとしては猫を追いかけて廃校に入った挙句トモナリとヒカリになんとか助けられた照れ臭いエピソードなのである。

 

「さすがヒカリちゃん」

 

「そうだろう!」

 

 あの時のヒカリならスケルトンにも負けるぐらいだっただろうとトモナリは思うのだけど自慢げなヒカリに水は差さないでおく。

 

「……と、そろそろだな」

 

 トモナリはベッドの近くにかけてある時計を見た。

 

「そろそろ?」

 

「ああ、風呂だよ」

 

「お風呂?」

 

「部屋に雑魚寝で泊まるのはいいけど流石にこの人数風呂に入るのは厳しいだろ。飯の前に近くの銭湯行こうぜ」

 

 泊まるだけなら床さえなんとかなる。

 しかしお風呂までとなると結構厳しいものがある。

 

 ただ夏の時期で家まで来るのにも汗をかいたりしていた。

 そこでトモナリは夕飯の前に銭湯に行こうと考えていたのである。

 

「確かに汗かいちゃったもんね」

 

 お風呂はどうするのだろうという疑問は確かにちょっとあったとミズキは思う。

 流石に人の家なので聞けなかったがみんなで銭湯というのもまた面白い。

 

「銭湯……行ったことない」

 

「僕もだ」

 

「近くにいいところがあるんだ。いこう」

 

「さんせー!」

 

 ーーーーー

 

「うおー! すげー!」

 

「ふふ、いっぱい食べてね」

 

 銭湯に行って帰ってきたらリビングに出してあった低いテーブルいっぱいに料理が並べられていた。

 いつもは椅子に座るダイニングテーブルを使っているのだけどみんなが座る椅子がないので床に座って食べられるようにしたのだ。

 

 ゆかりがトモナリの友達のためにと用意してくれた料理にユウトは目を輝かせる。

 

「ちょっと作りすぎちゃったかしら? 残してもいいからね」

 

「いえいえ! 全部食べますよ!」

 

 みんなでいそいそとテーブルを囲んで座る。

 

「んじゃ! いただきまーす!」

 

「「「いただきまーす」」」

 

 我慢しきれなくなったユウトがサッと唐揚げに手を伸ばす。

 

「うまぁ!」

 

「そうだろうそうだろう! ゆかりの料理は絶品なのだ!」

 

 ゆかりの料理が褒められたことになぜなのかヒカリがドヤ顔をしている。

 

「うん! 本当に美味しいです!」

 

「うわー、トモナリ君のお母さん料理上手なんだね!」

 

「ありがとう、みんな」

 

 特別だけど、特別なことはない家庭料理。

 みんなでワイワイと囲む食卓ではいつもよりも美味しく感じられる気がする。

 

「羨ましいなぁ。うちの母さん……あんまり料理得意じゃないんだよな」

 

「そうなのか?」

 

「昔から得意じゃないらしくて今は開き直っててでっかい冷凍庫にたくさん冷凍食品詰めてあるんだよ。冷凍食品も美味いんだけどさ……こうした家庭感ってやっぱちょっとちゃうじゃん?」

 

「ゼータク言うなよ」

 

「いわねぇさ。でも時々羨ましくなるなって話だよ。それにこんなこと言って母さん料理作られたら俺が危険になる」

 

「どんな料理作るんだよ……」

 

 ユウトの母親もユウトに似て明るい性格の人だと聞いている。

 まさか料理できない人だとは思わなかったけどこうした話が聞けるのも面白い。

 

「ありがとう、母さん」

 

「どういたしまして」

 

 トモナリが感謝の言葉を口にするとゆかりはにっこりと笑って答える。

 たまにはこうした時間も悪くないものだとトモナリも思ったのだった。

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