ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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魚人ゲート1

「それじゃあ母さん、行ってくるよ」

 

「行ってらっしゃい」

 

「行ってくるのだ!」

 

「はーい、楽しんでね」

 

「「お世話になりました」」

 

 一晩休んで、豪華な朝ごはんをのんびり食べて、そしてトモナリたちは家を出た。

 向かうのはミズキの家である。

 

「ああやって寝るのも楽しいものだね」

 

 スーパーで買ってきたお菓子とジュース飲みながらたわいもない話で盛り上がり、何となく眠くなってきたら布団に入ってまた少し話をしながら眠りについた。

 だらしないと怒られそうな時間だったけど、とても面白くて貴重な時間だったとコウは思った。

 

「トモナリ君のお母さんも優しい人だったね」

 

「うん、優しい人。それに料理上手」

 

「確かに朝ごはんも美味しかったね」

 

「ミズキんとこも料理上手いだろ」

 

「そーなんだよ、うちのお母さんも料理上手なんだよね〜」

 

 ミズキはドヤ顔で親指を立てる。

 トモナリも午前中テッサイと鍛錬してお昼もいただいていた。

 

 その時にお昼を作ってくれていたのはミズキの母であるユキナであった。

 和風な料理が中心でどれも美味しかったのはまだ記憶に新しい。

 

 時々ユキナがいないのかテッサイが何かを作ることもあったけれど、明らかな男料理でクオリティが下がったなと失礼ながら思うこともあった。

 

「かぁ〜みんな羨ましいな」

 

 ユウトが天を仰ぐ。

 

「お前のお母さんにお母さんの良いところがあんだろ。お前見てりゃ良い親だってのは分かるよ」

 

「おい……キュンとさせんなよ」

 

「キュンとすんなよ」

 

「んなこと言ったって俺も俺の母さんもまとめて打ち抜くようなこと言うからさ」

 

 トモナリの褒め方が子供っぽくないのもまた二周目感があるとユウトは思う。

 普通そんな言い方しないだろうと照れくさそうに笑った。

 

 トモナリとしても半分冗談だけど半分本気である。

 親の育て方が良いからユウトも気の良い男に育ったのだと感じる。

 

「俺はもうトモナリに惚れてるようなもんだからな」

 

「やめろ! 気持ち悪い!」

 

 ユウトは鼻の下を指で擦り、頬を軽く赤らめる。

 冗談なのは分かっているけれどトモナリの背中がゾワゾワとする。

 

「俺の愛を受け取ってくれよ〜」

 

「んなもんぶった切ってやるよ」

 

「むう、トモナリは僕のだぞ!」

 

「ぬっ……」

 

 ここまで黙って話を聞いていたヒカリが拗ねたような顔をしてトモナリの頭にしがみつく。

 ヒカリはユウトのことを睨みつけるように見ている。

 

「はははっ! 冗談だって! ヒカリからトモナリを奪ったりしないって!」

 

「むふー、当然なのだ!」

 

 流石に愛が大きくて勝てないとユウトは笑う。

 ヒカリは鼻を鳴らしてトモナリに頬擦りをしている。

 

「……歩きにくいぞ」

 

「このままがいいのだ」

 

「んじゃもうちょっと場所調整してくれ」

 

 視界の半分がヒカリで埋まっている。

 せめてしがみついている手を目からどけてほしい。

 

「仕方ないのだな」

 

 なぜかヒカリの方が仕方なくお願いを聞く形で手をどけてくれた。

 

「もうすぐミズキの家だな」

 

 ヒカリもトモナリと一緒に道場に通っていた。

 当時はヒカリを隠すためにリュックの中にいたけれど周りに人がいなければ顔を出していることも多かった。

 

 道ぐらいは覚えている。

 

「着いたな」

 

「着いた……?」

 

 ヒカリは周りを見て着いたと言うけれどそこにあるのは塀だった。

 

「えっ、まさか……」

 

「ここ……もうミズキさんの家なの?」

 

「うん、そうだよ」

 

「……おっきい家」

 

 まだ入り口にも辿り着いていない。

 しかし塀で囲まれた家などなかなか見るものでなくてみんな驚いている。

 

「ふふ、ここが私の家」

 

 正門前に着いてミズキはニコリと笑う。

 

「か、金持ちじゃん!」

 

 ユウトは驚きを隠せない。

 最初は道場として訪れたのでトモナリも驚きはしなかったが友達の家だと思って来てみたら確かに驚くかもしれない。

 

「あら〜みんないらっしゃい」

 

 中に入るとユキナが出迎えてくれた。

 ユキナとミズキは似ているがハツラツとしている感じのミズキに比べてユキナはおっとりとした感じがある。

 

 性格的なものの違いが見た目にも表れているのだろう似てるのだけど違うという印象が強い。

 

「トモナリ君も久しぶりね〜」

 

「お久しぶりです、ユキナさん。数日お世話になります」

 

「またこうして来てくれるのは嬉しいわ。お父さんもあなたに会いたがっていたわよ」

 

「俺も師匠に会いたかったです」

 

 お父さんとはテッサイのことである。

 そんなに長いこと一緒にいたわけでもなかったし、まだそんなに長いこと離れているわけでもない。

 

 それでも厳しくも優しいテッサイとは鍛錬の濃い時間を過ごした。

 アカデミーに行く寸前の最後には弟子として認めてくれていたとトモナリも思う。

 

「君たちがミズキの友達だね」

 

「お父さん!」

 

 テッサイにも挨拶行かなきゃなと思っていたら男性が出てきた。

 爽やかな顔をした中年の男の人でその人を見てミズキは嬉しそうな表情を浮かべた。

 

「お父さん……ということはミズキさんのお父さん?」

 

「はじめまして。ミズキの父です」

 

 名前を鉄心(テッシン)というミズキの父親は笑顔を浮かべてトモナリたちに頭を下げ、トモナリたちも慌てて頭を下げた。

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