ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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魚人ゲート3

「なにソワソワしてんだよ」

 

 こういった時着替えるのが早いのは男子の方である。

 ミズキとサーシャのことを更衣室前で待っているのだけどユウトはソワソワとして落ち着きがない。

 

「俺はよぅグラマラスなお姉さんが好きだ」

 

「……なんの宣言だい?」

 

 突然の告白にコウも引きつった笑顔を浮かべる。

 

「だがそれとは別に女子のプライベート水着を見られるって機会は全世界の男子の憧れだと思うんだ」

 

「それは言い過ぎだと思うけど……」

 

「なんだよ! マコトだって水着姿の女子見たいだろ? 興味ないって言ったら絶対嘘だ!」

 

「ま、まあ僕も男だから全く興味ないとは言わないけど……」

 

「だろぉ! ミズキもサーシャもお姉さんタイプに程遠いが見た目だけはいいからな」

 

「見た目だけで悪かったね」

 

「げっ……」

 

 明らかにユウトが調子に乗ったところで更衣室からミズキとサーシャが出てきた。

 

「おっ、二人とも似合ってるじゃないか」

 

「そ、そう?」

 

「褒められた」

 

 ミズキはワンピースタイプの水着で、サーシャはビキニタイプであった。

 

「ふふ、着痩せするの」

 

「あ、いや……すまん」

 

 思わずサーシャの胸に目をやってしまい、サーシャはそれに気づいてニコリと笑った。

 意外と胸があると思ったのだ。

 

 普段は割とスレンダーに見えていたので少し驚いたのであるが女性の胸を見てしまったのは確かなのでトモナリは耳を赤くして謝る。

 

「トモナリ君ならいいの」

 

 特にいやらしさを感じる視線でもなかったので不快感もなかった。

 いつもお世話になっているし水着姿を見たいというのならこれぐらい構わないとサーシャは思う。

 

 サーシャにおいてあまり体格的なことを気にしなかった。

 ただよく見てみるとサーシャは身長もそれなりにある。

 

 水着になると非常に均整の取れた体をしている。

 戦いにおいても体の均整が取れていることは理想的なことだ。

 

「にしても……トモナリ君も……良い体してんね」

 

「あんま見るなよ……恥ずかしいだろ」

 

 ミズキとサーシャの視線がトモナリに集まる。

 一年前は細くて鏡で見るのも嫌なぐらいだったトモナリの体もかなりがっしりとしている。

 

 見映えがするぐらいの体になっていて二人も思わず見てしまった。

 それどころか周りに女性でもチラチラとトモナリのことを見ている人もいる。

 

「行こうぜ。時間は有限だ」

 

「おし! 遊ぶか!」

 

 着替えたのならあとは更衣室にいる意味はない。

 トモナリたちは海遊びを始めた。

 

 それなりに人はいたけれど遊ぼうと思えばなんでも遊べるものである。

 

「ぶえっ!?」

 

「ふふ、楽しいね」

 

 ミズキが放ったビーチボールがユウトの顔面に直撃して倒れる。

 それを見てマコトはクスクスと笑っている。

 

「よっしゃ!」

 

「よっしゃじゃねーわ! コウ、やっちまうぞ!」

 

 今はコウとユウト、ミズキとサーシャでペアを組んで小さくビーチバレーのようなことをやっている。

 

「こうしたこと……初めてだからすごく楽しい。僕少なかったから」

 

「俺も似たようなもんだ」

 

 みんなでワイワイとしている様子を見ながらマコトは楽しそうに目を細める。

 トモナリのようにいじめられていたわけではないものの消極的で人との関わりを避けがちだったマコトもひとりぼっちでいることが多かった。

 

 最低限の付き合いはあっても外で会うようなことをする友達なんていなかったので海で遊ぶなんて考えたこともなかった。

 

「ありがとう、トモナリ君」

 

「急にどうした?」

 

「全部トモナリ君のおかげだから」

 

「俺は何もしてないさ。マコトが自分で前に進んだよ」

 

「そんなことないよ。僕にきっかけをくれた。僕を受け入れてくれた。僕を……ただ信じてくれた」

 

 理由は分からないけれどトモナリは全幅の信頼を置いてくれていたとマコトは感じている。

 周りのみんなが優しかったこともあるけれど、トモナリが信頼してくれているということが一歩を踏み出す勇気となった。

 

「僕は君の影になりたい」

 

「誰かの影になることなんかない」

 

「ううん、トモナリ君は大きなものと戦おうとしている。影は常に一緒だ。僕はもっと強くなって君の背中を守れる影となるんだ」

 

「そうか。じゃあマコトに背中預けるよ」

 

「あっ、でもそれは……もうちょっと強くなってから……」

 

「最後までカッコよく言い切れよ」

 

 まだ時折弱気なところが顔を覗かせる。

 しかしマコトも精神的に強くなった。

 

 嬉しいことを言ってくれるとトモナリと微笑む。

 

「ぶへらっ! お前ら……わざと狙ってないか!?」

 

 またしてもユウトの顔面にビーチボールが吸い込まれる。

 今度スパイクを放ったのはサーシャだった。

 

「……なんだ!?」

 

「女性の悲鳴?」

 

 急に叫び声が響き渡った。

 女性の悲鳴で周りにいた人たちも動きを止めて声の元を探す。

 

「トモナリ、ゲートだ!」

 

 海の家で買ってきたフランクフルトを咥えたヒカリが高く飛び上がって状況を確認する。

 離れたところに渦巻くような青白い光が見えた。

 

 浜辺にゲートが発生していたのである。

 

「モンスター見えるぞ!」

 

「……最悪だ。ブレイキングゲートか」

 

 通常ゲートはモンスターが中から出てくるまで時間の余裕がある。

 しかし時にゲートが現れた瞬間からモンスターが出てしまうものがある。

 

 モンスターが出てくることをゲートがブレイクしたなどと呼ぶために最初からモンスターが出てくるゲートのことをブレイキングゲートと呼んでいるのであった。

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