ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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魚人ゲート6

「ユウトを盾にしなくてもいい方法か……」

 

「えっ、俺盾になること決まってんの?」

 

 トモナリはミネルアギルドの方を見た。

 ミネルアギルドはゲートに入る様子はなくただ周りを封鎖してモンスターの警戒のみを行なっている。

 

「トモナリ?」

 

 トモナリがおもむろにミネルアギルドの方に歩き出した。

 

「また君か……何の用だ? 我々はゲートを攻略しない」

 

 ミネルアギルドの責任者の男は近づいてくるトモナリを見て顔をしかめた。

 また何かの苦情を言いに来たのかとため息を漏らす。

 

「そんなこと分かっている」

 

「ならなんだ?」

 

 もはや言葉遣いさえ乱雑なトモナリに良い顔などしない。

 邪魔をするなら排除することも考え始めている。

 

「武器を貸してください」

 

「……なんだと?」

 

「あなた方が人を助けに行かないのなら俺たちが行きます。だけど俺たち武器を持っていないので貸してください。どうせ使わないでしょうし予備の武器だってありますよね?」

 

 トモナリはミネルアギルドに武器を借りようと考えた。

 もうゲートから新しくモンスターは出てきていないし危機的な状況は乗り越えたと言ってもいい。

 

 そのうえでミネルアギルドが動かないのであればもう手に持っている武器などいらないはずだ。

 ユウトたちの三人の分ぐらいなら武器を貸してくれてもいいだろうと思った。

 

 メインの武器でなくとも大きなギルドなら予備で武器を備えていることも多い。

 

「何をするつもりだ?」

 

「俺たちでゲートの中に入ります」

 

「お前たちで?」

 

 責任者の男はトモナリの後方を見る。

 高校生ぐらいの男女数人とちんちくりんな生き物が一匹。

 

「……誰か、予備の装備品を持ってこい!」

 

 責任者の男が声をかけると近くにいた覚醒者がどこかに走っていく。

 

「装備も持たずにゲートに入るのは自殺行為だ。だから貸し出してやる。だがゲートに入るのに子供も大人もなく自己責任だ。我々ミネルアギルドにはなんの責任も生じない」

 

「構いません。武器だけ貸してくれるなら」

 

「ふん、行き過ぎた正義感は身を滅ぼすぞ」

 

「俺はあなたが臆病風に吹かれて生きようと何も言わないのでこちらについても何も言わないでください」

 

「一々鼻につく言い方をするな」

 

「どうして鼻につくか分かりますか?」

 

「なんだと?」

 

「……あなたがやろうとしないから俺の行動が鼻につくんですよ」

 

 正義感だろうが義務だろうがなんだっていい。

 ゲートに入って人を救おうという気持ちがあればトモナリがこんなことを言うことはないし、鼻につくなんて苛立ち方ではなく普通に怒りを覚えるだろう。

 

 やろうとしないからトモナリのことが鼻につくのだ。

 自分の行動が契約にないからやらないのだと正当化しても道義的に正しくないことをどこかでは分かっているのだ。

 

「俺には妻も子もいるんだ。ここにいる連中にもだ。無茶はできない」

 

「さらわれた人にも家族はいるでしょう」

 

 なんと言おうと、たとえゲートからモンスターが溢れ続けて助けにいけなかったとしても見捨てたという事実に変わりはない。

 

「お前たちにも家族はいるだろう」

 

「そうですね。だから俺たちは死ぬつもりなんてありません。さらわれた人を助け出し、生きて帰ります」

 

 ーーーーー

 

「防具まで貸してくれるなんてな」

 

 ミネルアギルドが貸してくれた装備の中には防具もあった。

 壊したり無くしたら弁償してもらうなどと言われているが防具まで貸してくれるあたり多少の負い目のようなものを感じているのではないかと思う。

 

『ダンジョン階数:一階

 ダンジョン難易度:Eクラス

 最大入場数:100人

 入場条件:レベル5以上

 攻略条件:ダンジョンボスを倒せ』

 

「とりあえず入れそうだな」

 

 ゲートに近づいてゲート情報を確認する。

 意気揚々と武器を貸してくれなんて言ったのにゲートに入れないなんて恥ずかしいことにならずには済んだ。

 

 レベル5以上の入場制限ならばほとんど制限がないのと同じである。

 入場数も多く設定されていてゲートそのものとしては攻略しやすい方といえる。

 

「ただ難易度はEか……」

 

 ダンジョン難易度の判断は難しいところがある。

 一般に難易度がEクラスならば適正レベルは21から40ほどになると言われている。

 

 ただ適正レベルだって21と40では大きく違うし、レベルによる能力差も個々人によってバラバラである。

 だからEクラスであることだけでゲートを判断することはできないのである。

 

 それでも適正レベルだけで考えるとトモナリたちのレベルは足りていない状況なのである。

 

「大丈夫か?」

 

 ヒカリがトモナリの頬に顔をつける。

 真剣な目をしてゲートの情報を眺めるトモナリのことが気になったのだ。

 

「いや、俺たちなら大丈夫そうかなって思ってな」

 

 トモナリはフッと笑うとヒカリの頭を撫でる。

 仮にレベル40に近い難易度だとしてもみんなとなら大丈夫だろうとトモナリは思った。

 

「装備は身につけたか?」

 

 借りた装備なので馴染んだものと違う。

 体のサイズにも合わせたものでもない。

 

 少しばかり苦戦しながらみんな防具を身につけていた。

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