ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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魚人ゲート7

「ああ、大丈夫だよ」

 

「武器さえありゃいけるのに防具まであんだ、いけるぜ!」

 

 みんなの表情に不安そうなところはない。

 いつも戦ってきたみんなならば、トモナリと一緒ならば乗り越えられると信じている。

 

「よし入るぞ」

 

「そのまま入って大丈夫なのかい?」

 

 トモナリがゲートに入っていこうとするのでコウが慌てる。

 ゲートはただ入って攻略すればいいというものではない。

 

 中に入って攻略し始める前にもやるべきことはある。

 ゲート周辺の安全確保や攻略のための情報収集など事前にしておくべきなのだ。

 

 安全確保はなされているのでまずゲート内の状況を把握する必要がある。

 ゲート周辺にモンスターが出ることは少ないが時に覚醒者を追いかけて近くにいたり、ブレイキングゲートの場合出ようとしているモンスターがいる場合もある。

 

 心配はモンスターだけではない最も大きな懸念事項はゲート内の環境だ。

 ゲートの中が草原や森であることも多いのだが、稀に過酷な環境が広がっていることがある。

 

 出てすぐ水の上だったとか毒の沼が広がっている、耐え難いほどに気温が高い、低いなど普通に活動することが困難な場合や死に至る環境なこともあり得るのである。

 そのために今はドローンで中を確認する。

 

 ゲートの外からドローンを操作することはできないが、中に入って様子を撮影してすぐに出てくるぐらいのことはできる。

 昔は死に番などといって最初に中を確認する役割を交代で行なっていたが、今は無駄に危険を冒す必要はほとんどないのである。

 

 ただトモナリたちはそんなドローンなど持っていない。

 中の様子が分からないのにみんなで入って危険な場所だったら全滅してしまうかもしれない。

 

「大丈夫だよ」

 

「えっ?」

 

 コウの心配はもっともなことである。

 でもトモナリがみんなをそんな初歩的な危険に晒すはずがない。

 

「中は安全だ」

 

「どうしてそんなこと……」

 

「俺にはもう一つ目があるんだよ」

 

 トモナリは冗談めかして笑う。

 

「信じて入ってこいよ」

 

「いくのだぁ!」

 

「あっ、トモナリ君……」

 

 そのままトモナリはヒカリを抱えてゲートの中に入っていく。

 

「トモナリがああ言うなら大丈夫だって」

 

「よし、いこー!」

 

 まだ少し疑いを持っているコウの肩に手を乗せて笑ったユウトがトモナリの後に続いてゲートに入る。

 ミズキも何も疑っていないように続く。

 

「コウ、行こ」

 

「工藤さん……」

 

「コウ君、きっと大丈夫だよ。だってトモナリ君だから」

 

「マコト君まで……まあ、でもそうか」

 

 サーシャとマコトもゲートに入る。

 コウは思わず笑ってしまった。

 

 トモナリが大丈夫というとみんなそれだけで大丈夫だと思ってしまう。

 そしてコウも迷いながらも心のどこかでなんだかんだ大丈夫なんだろうと思っているところがある。

 

「僕はもっと慎重派なはずなんだけどな」

 

 トモナリが攻略するというのならできるのだろうし、トモナリが大丈夫というのならきっと入っても大丈夫。

 コウは頭を掻きながらゲートへと足を進めた。

 

「……本当に入っていきましたよ」

 

 離れて見ていたミネルアギルドの覚醒者が責任者の男に声をかける。

 

「事前調査すらしない……正義感に駆られた素人集団だな」

 

「いいんですか? 帰ってこなかったり怪我でもしたら……」

 

「ゲートの攻略は自己責任だ。何を言われても俺たちは止めたと言えばいい」

 

「それに人を助けて出てきたら……」

 

「あんな連中にそんなことできるはずないだろう」

 

 責任者の男は鼻で笑う。

 

「ケツの青いガキが……正義感で命を投げ出すとはな」

 

 ーーーーー

 

「大丈夫だったろ?」

 

「もちろん信じてたさ」

 

 ゲートの中は浜辺になっていた。

 波が穏やかに打ちつける白い砂浜でゲートの外の海よりもいい海岸だった。

 

 ゲートは海の上でなく砂浜の上にあって無事に降り立つことができている。

 

「主よ!」

 

「あっ! さっきの赤いヒカリさん!」

 

 周りの確認をしているとルビウスが飛んできた。

 ゲートが現れて人がさらわれているのを見た時ルビウスを中に送り込んだ。

 

 その時にマコトはチラリとルビウスの姿を見たが、みんなの前で実体化するのは初めてであるのでみんなルビウスを見て驚いている。

 

「えっ……えっ!?」

 

 ミズキはヒカリとルビウスを交互に見ている。

 ヒカリが黒ならルビウスは赤。

 

 寮でご飯を食べる時にはルビウスも召喚して食べるために割とルビウスの姿を見ているトモナリにはなんとなく色以外の違いも分かるけれど、初見で見た時には色以外の違いは分かりにくいだろう。

 

「見るな」

 

「うぎゃう! 目がああああっ!」

 

 まじまじと見るものだからルビウスがミズキの目を突いた。

 相変わらずトモナリ以外の人には厳しい。

 

「この子は一体……ヒカリ君の分身?」

 

「こいつはルビウスっていうんだ。俺が契約しているもう一体のドラゴンだ」

 

「ええええー! おま……二体目のドラゴンかよ!」

 

 流石にみんな驚きを隠せない。

 

「二体目のドラゴンっていうと少し違うんだけど……まあ複雑だからそれでもいいか」

 

 ルビウスは剣に宿った存在である。

 何かと聞かれると精霊みたいなものであるのでドラゴンの精霊とでもいうべきか。

 

 普通のドラゴンとは少し異なった存在ではあるのでドラゴンと契約したと言えるのかは正直分からない。

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