ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

127 / 409
魚人ゲート10

「静かにいくぞ」

 

 トモナリを先頭にして洞窟の中に入っていく。

 洞窟の中は薄暗いものの天井が所々抜けていて外の光が差し込んでいて動けるだけの明るさはあった。

 

 少し進むと中に大きな空間が広がっていた。

 天井にはぽっかりと穴が空いていて明るい。

 

 そして光が差しているその下にマーマンとさらわれた人たちがいるのが見えている。

 

「あれがシャーマンか」

 

 さらわれた人たちを目の前にして立っている杖を持ったマーマンがいた。

 見た目上他の個体とはそんなに変わらないものの首から骨で作ったような装飾品をぶら下げている。

 

「まださらわれた人は生きてるな」

 

「良かった……」

 

 さらわれた人たちは怯えたような顔をしているもののまだ命はあった。

 生きているなら助けられるチャンスはある。

 

「ただ見つからずというのは難しそうだね」

 

 マーマンはさらわれた人たちを囲むようにしていてトモナリたちには気がついていない。

 たださらわれた人たちを囲んでいるのでこっそりと連れ出すことは不可能である。

 

「倒すしかない……けど思っていたよりも数が多いな」

 

 マーマンは軽く見ただけでも数十体はいる。

 見つからないように人を救出するのは不可能なのである程度の戦闘は覚悟せねばならないが想像よりもマーマンは多かった。

 

 正面から戦って勝てないことはない。

 しかし今はマーマンたちの中にさらわれた人たちがいる。

 

 ただ倒せばいいのではなくさらわれた人を守りながら戦わねばならない。

 呪術が命を代表にする以上下手に戦うとさらわれた人たちに手をかける可能性があるのだ。

 

「だけどここまで来たらやるしかない。俺とマコトとミズキとサーシャで突っ込む。コウとユウトは外から戦ってくれ」

 

 全員で中に飛び込んでしまうと脱出が難しくなる。

 いざとなったら外に助けを呼んでもらう必要もあるかもしれないのでトモナリたちはさらわれた人たちのところまで突っ込んでいき、コウとユウトには外から攻撃してもらう。

 

「俺はシャーマンを狙う。上手くいけば一気に統制が取れなくなるはずだ」

 

 トモナリはマーマンの中に突っ込みながらマーマンシャーマンを狙うつもりだった。

 倒すことができればきっとマーマンは動揺して動きが悪くなるしゲートのクリアにもなる。

 

 シャーマンが力を使う前に倒してしまえればかなり戦いは楽になるだろう。

 

「コウの魔法を合図に突っ込むぞ。ルビウス、お前はコウとユウトのフォローを頼む」

 

「任せよ」

 

「ヒカリは俺と一緒に行くぞ」

 

「もちろんだな!」

 

「もしあの人たちがすぐに動けるようなら囲みを突破して後退しながら戦おう。それが厳しそうなら覚悟して戦うぞ」

 

 トモナリが視線を向けるとみんなは力強く頷いた。

 

「コウ、頼むぞ」

 

「任せてよ。僕だって魔法じゃトモナリ君には負けないんだ!」

 

 コウはインベントリに入れてあった自身の杖を前に突き出す。

 意識を集中させて魔力を高める。

 

 派手に囲いを突破できるような魔法を狙うがさらわれた人が巻き込まれないように角度や威力の調整も必要となる。

 

「くらえ!」

 

 マーマンたちにもバレないようにと一瞬で魔法を発動させる。

 赤々と燃える炎が渦巻きながらマーマンたちに向かっていく。

 

 さすがは賢者だなとトモナリは思った。

 魔法を練習すれば分かるけれど高い威力を保ちながら繊細なコントロールを両立させるのは楽なことじゃない。

 

 しかしコウは持ち前のセンスと努力で魔法をしっかりと自分のコントロールしている。

 回帰前も魔法はほとんど使わなかったしドラゴンナイトも多分魔法メインの職業ではない。

 

 トモナリにはコウほど繊細に魔法をコントロールする技量はなかった。

 

「みんな行くぞ!」

 

 魔法の後ろに隠れるようにしてトモナリたちも飛び出していく。

 マーマンの何匹かは気づいたが反応が遅れたものは炎に飲み込まれて燃えていく。

 

「大丈夫ですか!」

 

 火がついて悶えるマーマンの横を抜けてさらわれた人たちのところまでトモナリたちは駆けつけた。

 

「ヒカリ行くぞ!」

 

 ミズキとサーシャがさらわれた人たちの容態を確認する中トモナリはさらに動く。

 狙うのはマーマンシャーマン。

 

「チッ!」

 

 トモナリが迫る中マーマンシャーマンが杖を振って一鳴きした。

 するとマーマンが立ちはだかるようにトモナリの前に飛び出してきた。

 

 トモナリがマーマンのことを切り裂くけれどマーマンはトモナリのことを行かせまいと食い下がる。

 

「ぬぅん! 邪魔なのだー!」

 

「くそっ……!」

 

 ヒカリがマーマンの首を爪で切り裂いて倒した。

 立ちはだかったマーマンを倒してマーマンシャーマンのことを見るともうすでに他のマーマンの後ろに下がって逃げていた。

 

 逃げ足が速い。

 

「トモナリ君!」

 

「ミズキたちの方が危ないぞ!」

 

 他のマーマンがさらわれた人たちに迫っている。

 ミズキたちが戦っているけれど迫っている数が多い。

 

「……ヒカリ、あっちを先にやるぞ!」

 

「分かったのだ!」

 

 まだまだミズキたちは戦いに慣れていない。

 さらに人を守りながらなんて戦ったことはない。

 

 トモナリがマーマンシャーマンを追いかけて追いかけている間に被害者が出てしまうかもしれないのでトモナリはミズキたちの方に向かうことにした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。