ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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守りたいこの景色3

「おい、ここって……」

 

「えへへ」

 

「えへへじゃないぞ?」

 

「ふふーん、僕もここは覚えてるのだ!」

 

 ミズキに連れてこられたのは学校だった。

 

「ここなんかあるの?」

 

「ミズキとの思い出の場所だ」

 

「変な言い方しないでよ」

 

「僕とミズキの思い出の地でもあるな!」

 

 そこは廃校となった小学校である。

 かつてスケルトンのゲートが出現し、トモナリが覚醒することになった場所でもある。

 

 ついでに迷い込んだ猫を探しにミズキが迷い込み、トモナリとヒカリで助け出した場所だったりもするのだ。

 

「取り壊しになったんじゃなかったのか?」

 

 放置しておくのにも危険だし取り壊す。

 あるいはもう取り壊したぐらいの噂を聞いていたのにとトモナリは首を傾げる。

 

「取り壊しになる予定で本来ならもう更地になっててもおかしくないんだけど解体業者がモンスターの被害を受けたとかで延期になったの」

 

 ゲートが現れた廃校など放置しておけない。

 すぐにでも取り壊す予定で町も動いていたのだが解体を請け負う会社がその前にやっていた仕事でモンスター被害に遭って解体は延期された。

 

 トモナリが聞いたのは本来ならいつまでに解体されるという予定の話で時間的な経過から解体が終わっていてもおかしくないという思い込みのようなものだった。

 

「この小学校の上からだと花火がよく見えるんだって。解体される前の今が誰もいなくてチャンスってお母さんが教えてくれたんだ」

 

「ユキナさんもなかなかだな」

 

 大人しそうな人に見えて娘に廃校に忍び込むことを勧めるとはちょっと意外である。

 

「ダ……ダメだったかな? あはは……」

 

 夜の廃校に忍び込むなんて楽しそう!

 そんな風にミズキは思っていて意気揚々とみんなのことを案内してきたのだけどよくよくあまり良いことではない。

 

「みんな自分で乗り越えられるな?」

 

「えっ、行くのかい、トモナリ君?」

 

「もちろんだよ、コウ。今から他の場所移動してる時間なんてないしな」

 

 トモナリは立ち入り禁止と張り紙がされた門に手をかけると軽く飛び越える。

 覚醒者なのだから門などあってもなくてもそれほど変わらない。

 

「悪いことも一夏の思い出だ。バレたら謝ろう。ゲートがあったら逃げよう」

 

 トモナリたちは覚醒者である。

 一般人にとって危険なことでもトモナリたちにとっては平気なことも多い。

 

 仮にモンスターがいたりゲートがあってもトモナリたちなら対応することができる。

 それでも忍び込むのは悪いことだが花火を見るぐらいならいいだろうなんてトモナリは笑顔を浮かべた。

 

「よいしょ」

 

「ほい」

 

「うん……しょっと」

 

「みんなまで……」

 

 ミズキ、サーシャ、マコトも門を乗り越える。

 コウは少し困惑した顔をする。

 

「男だろ? 覚悟決めろよ?」

 

「ユウト君まで……」

 

「不法侵入は犯罪だよ?」

 

「コウ」

 

 真面目なところは美徳だがバカ真面目なのも戦いにおいてマイナスになることもある。

 真面目でありながら柔軟であることも求められる。

 

「なに?」

 

「なんか聞こえないか?」

 

「何かって何? 何も聞こえないけど」

 

「もしかしたらモンスターの声かもしれない。覚醒者として調べないわけにはいかないな。だろ?」

 

「えっ?」

 

「ほら、俺たちがこれからやるのは……怪しい音が聞こえたからモンスターがいるかもしれないっていう調査だ。法律は知らないけど緊急事態だから入っても仕方ない」

 

「行こうぜ」

 

 ユウトもぴょんと門を飛び越える。

 

「怒られても知らないからね」

 

 なんだかんだと言いながらもコウも門を乗り越えた。

 

「だーいじょーぶだって!」

 

 以前にトモナリが忍び込んだ時から廃校の様子は特に変わっていない。

 正面玄関もガラスが割れていて入り放題。

 

 ただスケルトンを片付けたからか床はとても綺麗になっている。

 壊す予定だったためか塞いだりはしてないようだ。

 

 屋上のドアも外れていて横にどけてある始末だった。

 

「誰もいないのだ〜」

 

 一度ゲートが出たら逆にしばらくはゲートなんか出ないものだが一度でもモンスターが出ると人はその場所を敬遠してしまう。

 花火スポットであっても入り込む人なんて他におらず独占状態であった。

 

「ねね、魔法で綺麗にしてよ」

 

「しょうがないなぁ……」

 

 屋上の床はかなり埃っぽい。

 そのまま座るとお尻が汚れてしまいそう。

 

 コウが渋々といった感じで水を出して床に広げる。

 汚れを巻き込んだ水をグッと一つにまとめて適当に校舎裏に流して捨てた。

 

「ありがとねー!」

 

 みんなで床に座り、そして買ってきたものをインベントリから取り出す。

 

「……しょうがないな。ルビウス」

 

「ふふ〜ようやく食べられるのじゃ!」

 

 ミズキたちはいるものの人混みを抜けたので出せと頭の中でうるさいルビウスを召喚する。

 

「ちょこばなななるものを寄越せ!」

 

「はいはい」

 

「おぉー!」

 

 色々なものを買い込んできた。

 トモナリはチョコバナナを出してルビウスに渡してやる。

 

「黒いヒカリちゃんも可愛いけど赤いルビウスちゃんも可愛いよね」

 

 トモナリを挟み込むように座るヒカリとルビウスをミズキは見つめていた。

 黒のヒカリと赤のルビウス。

 

 どちらもミニ竜姿で可愛らしい。

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