ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

149 / 409
二つ目のスキル8

「大型新人はインベントリも大型だな」

 

「この場合分配はどうするべきかな……」

 

 勝手なことをしたので怒られるかと思ったけど、みんなは怒るような様子もなかった。

 レイジはガハハと笑い、テルはトモナリが持ってきたモンスターの死体をどうすべきか悩み始める。

 

 状況が状況だけにインベントリの余裕を確認してモンスターの回収をなんてやっている暇はなかった。

 一刻も早く移動しようという状況で一人、インベントリにモンスターを入れたことは多少の問題かもしれない。

 

 しかしトモナリは特に遅れたわけでもないし、トモナリの行為で誰かが迷惑を被ってもいない。

 

「まあいいんじゃない」

 

「ぐぬー! 放すのだぁー!」

 

 Aチームのリーダーであり全体のリーダーでもあるテルも怒っていない。

 Bチームのリーダーであるフウカもあっけらかんとしているので他のメンバーからも特に苦情はなかった。

 

「アイゼン君はどうしたい?」

 

 正直お金に関して困っている人はいない。

 戦闘訓練が目的であるので元々持ってくる予定のなかったレオンコボルトの分の報酬を強く欲してはいなかった。

 

「うーん……」

 

 トモナリも特にお金には困っていない。

 先日ゆかりのために家を買ったがそれでもまだ貯金はあった。

 

「じゃあこうしませんか? ボスレオンコボルトとレオンコボルト五十匹はみんなで分けて、残り百匹は俺がもらってもいいですか?」

 

「みんなはどうだ?」

 

「ん、私はいいよ」

 

「先輩方がいいなら言うことないな」

 

 トモナリの提案に反発する人もいなかった。

 

「んじゃ」

 

 トモナリはインベントリの中からレオンコボルト五十匹を出す。

 

「よし、一年、解体だ」

 

「ええーっ!」

 

「ほら、さっさとやる!」

 

 レオンコボルトの死体そのものはいらない。

 持ち帰るなら魔石だけ取り出したほうが持ち運びしやすい。

 

 どうせならサポートとしてついてこなかった一年生にも解体をやらせようとテルは思った。

 ミズキは露骨に嫌な顔をするけれどいつかはやらなきゃいけないことである。

 

 渋々ナイフを持ってきてレオンコボルトの解体にチャレンジする。

 二年生が付き添って解体のやり方を教える。

 

「ぎゃあ! 血が飛んだ!」

 

 騒がしいミズキだけでなくサーシャやコウたちも解体に挑戦している。

 

「残りの百匹はいいのかい?」

 

 どうせなら今出して解体すればいいのにとテルは思った。

 

「別の使い方があるんです。……あの解体した後の死体ももらっていいですかね?」

 

「燃やすだけだから構わないけれど……何に使うんだい?」

 

「スキルの解放に使うんです」

 

「スキルの解放に?」

 

「そうなんです。実はスキルの解放にも秘密があるんですよ」

 

 ーーーーー

 

 ゲートの攻略を終えたトモナリたちはそのままアカデミーに帰ってくることになった。

 まだギリギリ夏休み期間ではあるもののそれぞれ家に帰るような時間もなかったので仕方ないのである。

 

 帰ってきて少し懐かしさすら感じる部屋で休んで次の日部室に課外活動部のみんなが集まった。

 

「何か飲み物はいるかしら?」

 

「じゃあ、リンゴジュースお願いします、フクロウ先輩」

 

「アイゼンは?」

 

「ソーダがいいのだ!」

 

「ふふ、分かったわ」

 

 課外活動部の部室はかなり至れり尽くせりとなっている。

 ある程度の魔法や衝撃に耐えられる訓練室があるだけでなくお菓子にジュースまで完備されている。

 

 いつきてもちゃんと補充されているのでミクあたりが細かく管理してくれているのかもしれない。

 

「はい、ソーダ」

 

「ありがとうなのだ!」

 

 カエデからソーダのコップを受け取ってヒカリはソファーに座るトモナリの膝の上でチビチビと飲み始めた。

 

「それにしても今日は何の用なんですかね?」

 

 ミズキはカエデからリンゴジュースを受け取る。

 部室にみんなが集まっているのは偶然ではない。

 

 本来なら今日はお休みだったのだが部室にいるのはマサヨシが集めたからであった。

 

「みんな集まっているな」

 

 マサヨシとミクが部室に入ってきた。

 

「おはようございます」

 

「うむ、おはよう。本来ならゆっくり休んでもらうところ集まってもらって悪いな」

 

「今日は何の用でみんなを集めたのですか?」

 

 みんなを代表してテルがマサヨシに聞く。

 

「一つ聞いてもらいたい話があってな」

 

「話ですか?」

 

「そうだ。ただ重いものではない。くつろいだまま聞いてくれ」

 

 テルは会議室の方に移動するべきだろうかと考えたがのんびりしたまま聞いていいとマサヨシは軽く笑顔を浮かべた。

 

「今日聞いてほしい話はスキルに関するものだ。先日日本の覚醒者協会からとある論文が発表された」

 

「それがスキルに関するものなのですか?」

 

「その通りだ。論文のタイトルは上位スキル獲得可能性の向上方法だ」

 

「上位スキル獲得可能性の向上……ですか?」

 

「その通りだ。まだ未確認な部分が多く、広く一般には知れ渡っているものでもない。しかし内容は面白いものだった」

 

「どのようなものなのですか?」

 

「軽くかいつまんで話そう。スキルスロットが解放されるとスキルを抽選することができることは知っての通りだ」

 

 レベルが上がるとスキルスロットが解放される。

 ただしスキルスロットが解放されたからと勝手にスキルも解放されるわけじゃない。

 

 スキルスロットが解放されたら自らの意思でスキルを得ようとして初めてスキルがスキルスロットに入る。

 一般にスキルはランダムに抽選されるもので、運によって良いもの悪いものが選ばれるとされている。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。