ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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本当の竜5

「なんでだよ!」

 

 なんとしてもトモナリを狙いたいようだが、今この場にいる中で一番弱いのがトモナリである。

 どう考えても狙う理由などないのだ。

 

「名前覚えててほしいとかいうなら狙うなよ!」

 

 今度は魔力を多く込めているのかイヌサワの重力を岩が突破してきた。

 イヌサワも岩を切り落としてくれるが、トモナリも必死に岩を回避する。

 

「弱体化させないと厳しいかもな」

 

 ミヤノの攻撃も効いている感じがない。

 背中にイガラシたちも攻撃をしているのだが、完全に無視していた。

 

 弱体化とやらしないと攻撃が通じないのかもしれない。

 もしかしたら回帰前も何かの偶然で弱体化が起きて倒せたという可能性もある。

 

「こんな話聞いてなかったけどな……!」

 

 弱体化の話なんてトモナリも知らない。

 これもまた突発的な起きたことだったり、弱体化を見つけた人が途中で倒れてしまって出てこなかった話なのかもしれない。

 

「伏せ」

 

 この際イヌサワに弱体化の装置のことを伝えて、行ってもらった方が早かったかもしれない。

 なんてことを思っていたら、イヌサワが足を止めてメガサウルスに向けて重力操作を発動させた。

 

 デカサウルスの爆発を防いだ時と同じような、少し空間が歪むほどの重力がメガサウルスにかかる。

 メガサウルスの巨大な体を支える足の下が陥没する力がかかっているのに、メガサウルスはそれでも重力に耐えている。

 

 ただ流石のメガサウルスも身動きは取れなくなっている。

 

「今のうちに早く。そう長くは持たないからね」

 

 イヌサワの能力も無制限ではない。

 魔力は使うし、使う力が強ければ強いほどにイヌサワ自身にも反動がある。

 

 今もメガサウルスは強い力で抵抗を見せていて、結構辛いなと感じている。

 

「ありがとうございます!」

 

 イヌサワがメガサウルスを抑えている間にとトモナリは走る。

 

「おっと! ヒカリ!」

 

「ほい!」

 

 地面から岩が突き出してトモナリを襲う。

 素早く魔法を察知したトモナリは飛び上がって手を伸ばす。

 

 ヒカリがトモナリの手を掴んで翼をバタバタを激しく動かす。

 トモナリはヒカリに支えてもらって勢いをつけると岩の上を飛び越える。

 

 そのまま向こう側まで走り抜けて部屋の入り口を探す。

 

「つってもどこに部屋が……」

 

 部屋があるとメガサウルスに聞いて、ひっそりと向こう側の壁に注目して見ていた。

 ただどこに部屋があるのか分からない。

 

 一見すると普通の壁にしか見えないのだ。

 

「トモナリ! ここに何かあるのだ!」

 

 部屋という以上は扉のようなものがあるはずと壁を探していると、ヒカリが何かを見つけて指差した。

 

「なんだこれ? スイッチか?」

 

 壁にあったのは小さなスイッチのようなものだった。

 何なのか、謎ではあるけれど他に怪しいものはない。

 

 トモナリはスイッチに触れてみる。

 

「ニンショウカイシ」

 

「うわっ!? なんだ?」

 

 スイッチの上がカパッと開いてレーザーのようなものがトモナリとヒカリに当てられた。

 ダメージのある攻撃ではない。

 

 まるでスキャンされているようだとトモナリは感じた。

 

「トウロクニアリマセン」

 

 レーザーが収まって機械音のような音声でどこからか聞こえてくる。

 この感じ、開かないかもしれないとトモナリは渋い顔をする。

 

「……ドラゴンノソンザイヲカンチシマシタ」

 

「なんなのだ、これ?」

 

 再びレーザーがヒカリのことをスキャンする。

 とりあえず攻撃ではないのでヒカリも首を傾げてスキャンを受けている。

 

「リセイテキ、テキセイドラゴンデハアリマセン。ユウコウテキドラゴンノトクベツニュウシュツヲミトメマス」

 

「むむむ?」

 

 何が言いたいのか分からないとヒカリは首を傾げる。

 

「むっ、開いたのだ!」

 

「結果オーライだな」

 

 スイッチ横の壁がスライドして開く。

 何なのかトモナリにもよく分かっていないが、開いたのならそれでいい。

 

 トモナリが部屋の中に入ってみるとパッと明かりがついた。

 

「モニター? それに……人骨か?」

 

 部屋の中は監視室のようになっていた。

 モニターのようなものがいくつもあるが、どれも何も映し出してはいない。

 

 モニターの前には椅子が置いてある。

 そして椅子には座ったままの体勢の人骨が安置してあった。

 

「緊急用の装置……あれかな?」

 

 モニターの下には色々ボタンのようなものも並んでいる。

 その中で一つだけガラスの蓋が付けられた赤い大きなスイッチがあった。

 

 いかにも緊急用といった感じである。

 

「……本当にこれか?」

 

 多分このスイッチなのだろうと思うのだけど、押しちゃいけないスイッチ感も強い。

 とりあえずガラスの蓋を外したものの、押すことをためらってしまう。

 

「ぽちっ!」

 

「あっ!」

 

 トモナリが悩んでいるとヒカリがスイッチを押してしまった。

 

「キンキュウドラゴンヨクセイソウチヲシヨウシマス」

 

「うっ!」

 

「ニュニュ!?」

 

 急に耳鳴りがしてトモナリもヒカリも頭を抱えた。

 

「なんだ……これ」

 

 ひどい耳鳴りにふらつきながら小部屋の外に出てみると、大部屋の天井一面に青白く光る不思議な模様が浮かび上がっていた。

 天井の模様からは強い魔力を感じる。

 

 メガサウルスもトモナリたちと同じように苦しんでいる感じがあった。

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