ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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学生覚醒者世界交流戦3

「自由の女神……か」

 

 アメリカも当然ながらゲートやモンスターの影響を受けている。

 破壊されてしまったところや日本と同じくモンスターに支配されてしまった土地もある。

 

 仕方なく放棄されて見る影も無くなった都市もあるけれど、自由の女神は無事であった。

 やはり自由の象徴なのだと言っている人も多い。

 

 今は安定していて大都市としての機能が戻っているが、町中をよく見るとモンスターの爪痕が残っているようなところもある。

 そんな中でも自由の女神は無事だったのだから、奇跡と言ってもいいだろう。

 

「腹減ったな」

 

「何食べる?」

 

「やっぱアメリカといったらハンバーガーだろ」

 

 流石に覚醒者といえど、見知らぬ海外は危険ということで課外活動部のみんなも含めて希望者全員で動いている。

 行かないという人も何人かいたので多少人数は減っているけれど、それでもそれなりの人数の集団となっている。

 

 二年のカエデやタケルは来ているが、アカデミー外から誘致された覚醒者は男子一人しかついてきていない。

 同じアカデミーの覚醒者の中に混じるのもちょっとしたハードルがあるのかもしれない。

 

 急に時間ができた形になったので、どこへいくかなど決まっていない。

 とりあえずハンバーガーを食べに行こうということでなんとなく話はまとまった。

 

「……なんだ?」

 

 どこかいい店はないかと調べて検討していると、いきなり周りが騒がしくなった。

 人が逃げていくように走っていく。

 

「ゲートのようだね」

 

 逃げる人たちの話を聞いていたカエデは、会話の中にゲートという言葉があることに気づいた。

 どうやら近くでゲートが発生したようだった。

 

「どうしますか?」

 

 生徒の経験になると教員はついてきていない。

 現場における最終的な判断は課外活動部の新しい部長であるカエデが下す。

 

 気にしないということは無理だろう。

 観光を続けるにしてもゲートによる影響はある。

 

 逃げるか、あるいは関わるか、である。

 

「モンスターが出たら一般人に被害が出るかもしれない。国が違っても私たちは一般人を守る覚醒者だ」

 

 大都市ならばすぐに覚醒者も駆けつけるだろう。

 しかしブレイキングゲートだった場合、覚醒者の到着を待っている間にモンスターの被害が出てしまうかもしれない。

 

 モンスターと戦い、一般人を守ることも覚醒者としての義務である。

 普段クールなカエデなら冷徹な判断を下してもおかしくないと思っていた。

 

 リスクを冒さずホテルに帰ることも選択肢としてあるのに、カエデはゲートに向かうことを選んだ。

 ちょっと意外だったなとトモナリは驚いた。

 

「みんな、装備はあるな?」

 

 海外に出るということで、アカデミーから貸し出される装備を事前にインベントリに入れてある。

 装備品は装備した状態でインベントリに入れると、出した時にはそのまま装備した状態で出すこともできる。

 

 パッとインベントリから出された装備が、トモナリの体に着た状態で現れる。

 

「ほれ、ヒカリ」

 

「うむ!」

 

 トモナリはヒカリに専用ヘルムを渡す。

 あまりつける必要もないのだけど、こうした公共の場では装備を身につけることで野良モンスターでないこともアピールできる。

 

 スポッとヘルムをかぶってヒカリもやる気を見せる。

 

「人の流れからするとあっちだ」

 

 逃げる人の動きからゲートの方向を予想する。

 

「‘あっちですね! ありがとうございます!’」

 

 装備を身につければ高校生でもちゃんと覚醒者に見えるのか逃げる人がゲートの方向を教えてくれた。

 走っていくと高いビルに囲まれた交差点のど真ん中にゲートが発生していた。

 

「モンスターは現れていないようですね」

 

 パッと確認した感じ、モンスターの姿はない。

 発生した瞬間からモンスターがゲートから出てくるブレイキングゲートではないようだ。

 

「一般の人も逃げているかな?」

 

「先輩! あっちの車に!」

 

 ゲートが現れたせいで車が同士でぶつかる事故が起きていた。

 見るとまだ運転席に人がいる。

 

 気を失っているようで動かない。

 ブレイキングゲートでない以上すぐにモンスターが出てくる危険は低いが、ゲートがいつブレイクを起こすかなんて分からない。

 

 ぶつかった車だって危険である。

 外国で勝手にゲートを攻略なんてできないから一般人の救出を優先しようとカエデは考えた。

 

「先輩、誰かが来ます!」

 

「ここらの覚醒者か?」

 

「あぶなっ!」

 

 てっきりアメリカの覚醒者かと思ってカエデが足を止めた。

 トモナリたちの後ろからきた覚醒者と思わしき人たちは、まるでトモナリたちのことが見えていないかのように横を通り抜けていく。

 

 相手がぶつかりかけてユウトはムッとした顔をしたけれど、ユウトが睨みつけた時にはもう相手はゲートの中に入ってしまっていた。

 

「なんなの、あいつら……」

 

「アジア系……に見えたけどね」

 

 ゲートに入っていった覚醒者たちは、アメリカの人というよりもトモナリたちと同じアジア系の人たちに見えた。

 

「おい、車から燃料漏れてるぞ!」

 

「早く救出だ!」

 

 ゲートに入っていったのが何者だったのかは気になる。

 しかし今はそんなことよりも優先すべきことがある。

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