ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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個人戦2

「注目はもちろん中国だけど……」

 

 カエデはトモナリとヒカリのことを見る。

 

「今はあなたたちも注目されているわね」

 

 団体戦において中国先鋒のハオレンをトモナリは倒した。

 メイリンを倒したことについては疑問があるので考えないとしても、ハオレンとの戦いでの勝利を疑う人はいない。

 

 やはり中国の覚醒者は注目株である。

 そんなハオレンを倒したのだから、今やトモナリも強さに注目されているのだった。

 

「ふふん、当然なのだな!」

 

 注目されていると知ってヒカリは胸を張る。

 ドヤ顔もまた可愛い。

 

「他だとカナダのエリオット・クラークが優勝候補になるな」

 

 トモナリはハオレンに勝ったのだが、勝てたのはトモナリ一人ではなかった。

 準々決勝で中国と対戦したカナダの先鋒であるエリオット・クラークという覚醒者がハオレンを倒している。

 

 そのために今のところはトモナリとエリオット、そしてハオレンが優勝候補と見られている。

 

「ただ油断はいけないぞ。戦っていない猛者がいるかもしれないからね」

 

 団体戦に出場できる十六歳組は最大三人まで、最低二人である。

 多くの国が十六歳組は二人を選抜し、二人のうち一人を先鋒として出していた。

 

 つまり団体戦において、ほとんどの国で十六歳組は一人しか出ていないのである。

 実力者を出すことが基本であるものの、全ての国である一番強い人が出ていたわけじゃない。

 

 先鋒はほぼ確実に十六歳組で戦うことになる。

 そのために経験を積ませるという意味で出場していた子もいる。

 

 団体戦におけるアーティファクトの効果はやや弱いことや闘いの相性といったものもあり、団体戦だけの戦いを見て結果を予想するのは難しいのだ。

 

「ちなみに優勝すれば賞品もあるから頑張りなさい。ただ怪我はないようにね」

 

「まあ、それなりに頑張りますよ」

 

 魔法で真ん中にバリアを張ってステージを二つに分ける。

 それでも人数から考えると足りないぐらいだ。

 

 日本の中で一番初めに戦うことになったのはミズキだった。

 対戦相手はオーストラリアの覚醒者。

 

 大剣を担いだオーストラリアの覚醒者は激しくミズキを攻めたけれど、ミズキは冷静に攻撃を受け流して一瞬の隙をついて勝利をもぎ取った。

 個人戦で勝ち抜く人を見ているとやはり動きがしっかりしている人が多い。

 

 アユムのようにすでに覚醒者として活動をしている人は強い。

 たとえ能力値やスキル的なところで劣っていたとしても動き方を分かっていれば、能力の差を埋めて戦うことができる。

 

 トモナリとトレーニングを共にするメンバーはトレーニングで能力値が高いだけじゃなく、トモナリや他のメンバーと戦う対人戦のトレーニングもしているので意外と強いのだ。

 

「運が無かったな」

 

「しょんぼり……」

 

「仕方ない、慰めてやるのだ。よしよしなのだ」

 

「ふふ、元気出るね」

 

 ユウト、アユム、ミレアは順当に勝ち上がった。

 しかしサーシャは負けてしまって落ち込んでいる。

 

 トーナメントで誰に当たるかは運である。

 サーシャの対戦相手はカナダのエリオットだったのだ。

 

 サーシャも結構頑張ったが、優勝候補の一人であるエリオットには及ばなかった。

 負けてもいいとは言いながらも、負けると悔しくて落ち込んでしまう。

 

 見かねたヒカリが頭を撫でてあげると、サーシャは小さく微笑む。

 

「俺たちの番だ。いくぞ」

 

「頑張るぞ!」

 

「頑張って」

 

 トモナリとヒカリはステージに向かう。

 視線が突き刺さる。

 

 団体戦で目立ってしまったので色々な人がトモナリに注目する。

 ヒカリという物珍しさに集まる視線とは違って、絡みつくような注目は少し居心地の悪さを感じさせる。

 

「くぅ……いきなりこれはないよな」

 

 トモナリの対戦相手であるクラシマは戦う前から落ち込んでいる。

 いきなり初戦から同国対決、しかもトモナリが相手ではしょうがない。

 

「やるだけやるけど……手加減頼むよ?」

 

「もちろんしないさ」

 

「うぅ……」

 

 クラシマはトレーニング仲間ではない。

 課外活動部や特進クラスとしては同じところにいるけれど、戦う機会はあまりない。

 

 いい機会だと思った。

 実は意外と実力あるんじゃないかと思っていたし、ここで一つ確かめておく。

 

「手加減むようなのだ!」

 

 試合が始まってヒカリがクラシマに向かって飛んでいく。

 ハンマーを武器とするクラシマはヒカリに合わせてハンマーを振り上げる。

 

「ほい!」

 

 ヒカリはハンマーをかわしてクラシマに爪で斬りかかる。

 

「くっ!」

 

 ハンマーの柄でヒカリの爪を防いで、そのままヒカリに向かってハンマーを振り回す。

 

「なかなか攻撃も速いな。それにあれって……支給品じゃないよな?」

 

 クラシマに対してずっと思っていたことがある。

 今のところよほどお金がない限り、基本的な装備はアカデミーが用意したものを使っている。

 

 しかしクラシマはハンマーから防具に至るまで自前で用意している。

 つまりお金持ちということになる。

 

 加えてハンマーからは魔力を感じた。

 ただの武器でもなさそうだった。

 

「おりゃー!」

 

「うぐっ!」

 

 ただクラシマはまだ経験不足感がある。

 攻撃力はありそうだけど、ヒカリの速度についていけていない。

 

 対処方法も持ち合わせていないようである。

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