ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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個人戦4

「アイツ……ムカつくのだ!」

 

「まあまあ……」

 

 トモナリの次の試合がハオレンの出番であった。

 ステージを降りてきたトモナリ、ヒカリとハオレンはちょうどすれ違うことになった。

 

 相変わらずハオレンの態度は悪い。

 すれ違いざまにひと睨みしていったのでヒカリもお怒りである。

 

 負けたなら受け入れて態度を改めるべきだろうとはトモナリも思う。

 しかしメイリンならトモナリを狙っていることを普通に言いそうだし、ハオレンは全くメイリンの眼中になさそうである。

 

 ハオレンがメイリンに気があるのだとしたら理解できなくもない。

 トモナリが意識していなくとも、ハオレンにとってトモナリはライバルになるのだ。

 

 トモナリにとっては、はた迷惑な話である。

 けれど恋は人を狂わせることがあるのも分かっている。

 

「ただ許さん」

 

 ハオレンがメイリンに恋をしていることは理解しても、睨まれることはまた別である。

 勝ち残ってきて戦うことがあれば、今度は強めにぶっ飛ばしてやるとトモナリは思った。

 

「惜しかったね」

 

「自分の実力は分かってるから、そんな慰めいらないよ」

 

 ミズキの言葉にクラシマはため息をつく。

 剣を手放させたところなんかは、見ていて惜しく感じられたかもしれない。

 

 けれども武器がなくてもトモナリは普通に戦えたのだろうなとクラシマは分かっている。

 わざとらしくクラシマは肩をすくめる。

 

「俺の次の相手は……」

 

 トモナリは大きなモニターに表示されているトーナメント表を確認する。

 次の試合の対戦相手はすでに決まっている。

 

 ザッと他も確認する。

 組み合わせの都合上、ハオレンと戦おうと思ったら決勝まで上がらなければいけない。

 

「ちゃんとヒカリの名前も書いてるんだな」

 

 トモナリの名前のところにはしっかりとヒカリの名前も併記されている。

 ヒカリという名前はトモナリがつけたものでもある。

 

 あまり広まるのも困るのかもしれないが、ヒカリという名前がヒカリのものになって定着していくことは少し嬉しい。

 

「勝ったか」

 

 トモナリがトーナメント表を眺めている間にハオレンの戦いも終わっていた。

 当然のようにハオレンが勝利を収めている。

 

 人数が多いから試合数も多い。

 ステージを二つに分けて二試合ずつ行っていても時間がかかる。

 

 どちらかが勝つまで試合は続くので、力が拮抗していると試合も長引いてしまう。

 実力を確かめるという目的や事故を防ぐためにも、全ての試合を一日で終わらせるなんてことはしないし、できない。

 

 日をまたいで二回戦、三回戦と行われて個人戦は進んでいく。

 やはり強いのは経験者である。

 

 すでに覚醒者として活躍している人は戦いにおいて一枚上手だ。

 才能がある人、もう覚醒者として活動している人が順当に勝ち上がっている印象がトモナリにはあった。

 

 トモナリを倒すと息巻いていたユウトは二回戦で負けてしまった。

 他にもミレアが三回戦で負けて、残るはトモナリ・ヒカリ、ミズキ、アユムとなっている。

 

 ミズキも勝ち残っている。

 さすがは未来で剣姫と呼ばれるぐらいの才能は侮れない。

 

「‘君とここで当たることになるとはね’」

 

「‘強いんだな’」

 

 第四回戦となると覚醒者たちも煮詰まってくる。

 組み合わせの妙があったとしても、ここまで勝ち残れば確かな実力があることは認めざるを得ない。

 

 トモナリの対戦相手はアルケスであった。

 隣にキュリシーという巨狼を連れたテイマーという職業の覚醒者である。

 

 食事会の時にトモナリとアルケスは同じく魔獣を連れているということで会話をしていた。

 正直アルケスの実力はわからない。

 

 ドイツの覚醒者であるアルケスは個人戦に出場していなかった。

 事前の情報もなくてトモナリの記憶にもない。

 

 アルケスの実力がどの程度のものなのか全く知らなかったが、勝ち上がっているということは少なくとも弱くない。

 

「‘日本の……君の友達も強かったよ’」

 

 実はユウトを倒したのはアルケスだった。

 ユウトが勝ち上がっていたらここで当たる予定だったのである。

 

「‘キュリシー’」

 

 アルケスがキュリシーの頭を撫でる。

 テイマーであるアルケスのメインの武器はキュリシーである。

 

「ふふふ……ここは僕の出番だな!」

 

 キュリシーが前に出てきたのを見て、ヒカリも前に出る。

 地面に降り立って腕を組むヒカリとキュリシーのサイズ差は結構大きなものである。

 

 ザワリとヒカリを心配する声も聞こえてくるけれど、ヒカリは自信満々に構えていた。

 

「ではいくのだー!」

 

 開始と同時にヒカリがキュリシーに向かって飛んでいく。

 トモナリもここはヒカリに任せるつもりで見守る。

 

 仮に負けたら試合に負けでもしょうがないぐらいで手を出さないことにした。

 

「どりゃ! ほっ! やっ!」

 

 ヒカリが爪で斬りかかり、キュリシーは巧みにかわす。

 会話している時にはヒカリに怯えていた感じがあったけれど、今のキュリシーに怯えているような雰囲気はない。

 

 キュリシーは素早くステージ上を走り回って、ヒカリがそれを追いかける。

 

「これはこれでいいな」

 

 人の戦いとはまた違った雰囲気があって見ていて面白いなとトモナリは思った。

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