ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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個人戦7

「わははー! くらうのだー!」

 

 翼を広げたヒカリが火の玉を作り出す。

 ヒカリが火の玉を撃ち出した。

 

 エリオットに十数個の火の玉が降り注ぐ。

 

「‘これぐらいじゃやられないよ!’」

 

 エリオットはむしろ火球に突っ込んでいく。

 かわせない火球を薙ぎ払い、槍を回転させて炎を打ち消す。

 

「まだまだいくのだぁー!」

 

 ヒカリはさらに火球を放つ。

 あまり意識はしてこなかったけれど、ヒカリにもヒカリが持っている魔力がある。

 

 さすがはドラゴンというべきかヒカリの持っている魔力は意外と多く、魔法を連発してもへっちゃらなのである。

 

「‘俺を忘れるなよ!’」

 

 ヒカリが魔法を放つ間にトモナリはエリオットの後方に回り込んでいた。

 ルビウスに炎をまとわせ、火炎の斬撃を飛ばす。

 

「‘くっ!’」

 

 挟み込まれると分が悪い。

 エリオットは大きく飛び退いて状況を立て直そうとする。

 

「僕から逃げられると思うなよ!」

 

 ヒカリはエリオットが逃げることも分かっていたかのように火球を放っていた。

 

「‘はあっ!’」

 

 エリオットは魔力を込めた突きで正確に火球を突いて打ち消す。

 

「隙あり!」

 

「‘……油断した!’」

 

 ヒカリの火球の対処に気を取られている間にトモナリが一気に距離を詰めた。

 槍の間合いの内側、剣が届くところにトモナリが入ってきて、エリオットは険しい表情を浮かべる。

 

 トモナリの攻撃をエリオットはなんとか防御する。

 懐に入られたからと何もできない青二才ではないようだが、力も素早さもトモナリの方が上なので防戦を強いられている。

 

「僕もいるぞ!」

 

 ヒカリも加わって一気にエリオットを攻める。

 

「‘スキル一閃!’」

 

 このままでは押し切られてしまう。

 エリオットはスキルを使って状況を打開しようとした。

 

 槍を短く持ったエリオットがトモナリを突く。

 先端に魔力が込められていて、ルビウスでガードした瞬間に光がほとばしった。

 

「トモナリ君!」

 

 トモナリの方が力もあるのに、トモナリは大きく吹き飛ばされてステージ上を転がる。

 

「……シンプルが故に強い攻撃スキルか」

 

 回避が間に合わなさそうだったから防御した。

 しかし回避すべきだったなとトモナリは素早く立ち上がった。

 

 一閃は特別な効果もない攻撃スキルである。

 ただ普通の攻撃よりも強い威力を発揮してくれるもので、使用者の能力や技量、それに使う魔力によって一閃の威力は変わる。

 

 高い能力を持つ人が大量の魔力を込めて放つ一閃は、何者にも止めることができない必殺の一撃となるのだ。

 剣を扱う人でも一閃スキルを持っていることはあるが、槍の方がより一点に威力が乗る。

 

 ルビウスじゃなかったら剣が折れていたかもしれない。

 

「‘もう一度!’」

 

 今度は槍を長く持ったエリオットが再び一閃をトモナリに発動させる。

 きらめく槍先は先ほどよりも込められた魔力が多そうであった。

 

 ぶっ飛ばされたせいで後ろに逃げるような余裕はない。

 だからといって左右に逃げようにもリーチの長い槍の攻撃範囲は広く、逃げきれないだろう。

 

「‘なに!?’」

 

 ニヤリと笑ったトモナリは逆にエリオットの方に突っ込んでいった。

 何をするのか知らないけれど、来てくれるならありがたいとエリオットはそのままトモナリを狙う。

 

「ふっ!」

 

「‘飛び越えるつもりか! でもそうはさせないぞ!’」

 

 トモナリは大きく跳躍した。

 正面からエリオットを飛び越えて槍をかわそうというのだ。

 

 けれどもエリオットとて簡単にはトモナリを逃すつもりがない。

 むしろ空中ならばかわせないだろうと、飛び上がるトモナリの動きに合わせて槍の向きを修正する。

 

「‘なんだと!?’」

 

「ふぬー!」

 

 トモナリは空中で手を伸ばす。

 飛んできたヒカリがトモナリの手を掴んで翼を羽ばたかせるて体を支えた。

 

 トモナリはヒカリの支えを受けて足をスイングさせて、もう一段階高く飛び上がった。

 高く飛び上がったトモナリにエリオットの槍は届かない。

 

「惜しかったな!」

 

 エリオットのすぐ後ろに着地したトモナリはすぐにエリオットに斬りかかる。

 

「僕もやるのだぁぁぁぁ!」

 

「‘いない……上か!’」

 

 後ろからヒカリの声が聞こえてエリオットは振り返った。

 目の前に襲いかかってくるヒカリはおらず、ならば空中からだろうと視線を上に向ける。

 

「残念!」

 

 けれども空中にもヒカリの姿はなかった。

 

「‘下……’」

 

「どりゃー、なんだ!」

 

 ヒカリはエリオットの足元にいた。

 サイズの小さなヒカリがふと足元にいられると気づかないものである。

 

 一気に飛び上がったヒカリのパンチがエリオットのアゴに直撃する。

 目の前にチカチカと星が散るような一撃に、エリオットの体が少し浮き上がった。

 

「ヒカリと俺の連携、すごいだろ!」

 

 ルビウスに炎をまとわせたトモナリが隙だらけになったエリオットの胴に一撃をお見舞いする。

 アーティファクトが限界を迎えて派手にガラスが割れるような音がしてバリアが破壊された。

 

「‘そこまで! 勝者アイゼントモナリとヒカリ!’」

 

「ううぅ、やったのだ!」

 

 ヒカリは両手を突き上げて喜びを表す。

 

「やったな、ヒカリ!」

 

「ん〜ふ〜ふ〜! やったのだぁー!」

 

 ヒカリは嬉しそうな顔をしてトモナリの胸に飛び込む。

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