ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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戦うだけではなく協力も1

「やっぱり英語ぐらい必要はありそうだよな」

 

 個人戦十六歳組はトモナリとヒカリが優勝することになった。

 団体戦に引き続いての快挙であり、トモナリとヒカリの実力を疑う人はもういなかった。

 

 続いては十七歳組の個人戦だと思っていたのだが、その前に一つ交流を目的としたイベントが差し込まれた。

 

「そうだな。他の国と協力してゲートを攻略するなら話せると便利だそ」

 

 交流を目的としているのに互いに戦ってばかりではいけない。

 協力し合うことでも交流を深めることは大事である。

 

 覚醒者として協力し合うこととは何か。

 それはもちろんゲートの攻略、モンスター討伐である。

 

 十六歳組の個人戦が終わって、次にやることとなったのはゲートの攻略だった。

 三カ国から四カ国で一組になってゲートを攻略して交流を深めるのだ。

 

「覚醒者だからと体を鍛えていてばかりではいけないぞ」

 

 カエデは少し呆れたような顔をする。

 

「アメリカ相手はずるいですって」

 

 今回日本が一緒に攻略することになったのはアメリカ、ドイツ、ブラジルだった。

 それぞれ公用語として用いられている言葉が違う。

 

 ただやはり意思疎通を図ろうと思うと、使われるのは英語であった。

 アメリカはもちろん問題なく英語を話す。

 

 アルケスもいるドイツは、アルケスがそうであったように英語を話せる子も多い。

 英語が苦手な子でも簡単な意思表示ぐらいはできるので英語のレベルも高かった。

 

 トモナリたち日本は英語が話せる人は多くない。

 トモナリを始めとしてカエデやコウなど数人がスラスラと話せる他はあまり英語のレベルは高くなかった。

 

 比較的勉強ができるマコトが片言で話せたり、知ってる単語で押し切るユウトはいるけれど話せるとまでは言えない。

 ブラジルは日本に近い感じだった。

 

 数人の子が話せるようだけど、話せない子もいる。

 ただ日本よりも積極的な子が多い。

 

 話せなくとも何とか意思疎通を取ろうとする感じがあって、なぜかユウトと肩を組んでいるブラジルの子までいた。

 

「君のコミュ力なら英語を話せなくともいけそうだがな」

 

 ユウトとブラジルの子の二人で知ってる単語を言い合って、盛り上がっている光景を見ていたカエデはフッと笑う。

 あんなことできるのなら英語を話せなくともどこでもやっていけると思った。

 

「にしても……バスで丸一日移動は疲れたな」

 

 今トモナリたちはゲートの前にいる。

 ゲートを攻略するといっても、町の近くのゲートは基本的に危険なのですぐに攻略されてしまう。

 

 事前に幾つかのゲートを押さえていたが、どれも少し町から遠いところにあった。

 今回トモナリたちが攻略する予定のゲートはバスで丸一日走ってきてようやく着いたのである。

 

 座席で一日座っていたのでユウトが体を伸ばしてほぐす。

 

「今回アメリカが主導してくれるから楽だな」

 

 バスで移動している間にどこの国がリーダー的な役割を果たすかも話し合われていた。

 団体戦優勝の日本がいいという声もあったのだけど、アメリカのゲートなのでアメリカ式のやり方で攻略することになった。

 

 別にリーダーとして率いていきたいという感じはトモナリたちの中で低い。

 誰かが率いてくれるのならあまり文句もない。

 

「‘トモナリ’」

 

「‘アルケス? どうした’」

 

「‘何か手伝うことはある?’」

 

 ドイツが一緒ということはアルケス、そしてアルケスの魔獣であるキュリシーもいる。

 ヒカリに負けてアルケスもキュリシーも悔しそうにしていたが、嫉妬に塗れたりすることなはなくアルケスはトモナリと距離を近づけてきた。

 

 キュリシーも慣れてくれば大きな犬のように感じることがある。

 トモナリとしてはアルケスも時々そんな犬っぽい雰囲気があると思っていた。

 

 丸一日バス移動だったのですぐに攻略しないで休憩を挟む。

 ゲート前で食事を作るのだけど、食事作りの担当は日本になった。

 

 というか他の国はあまり自分たちで料理をすることはないらしい。

 日本だとゲート前で自分たちで何か作って食べることも多いのだけど、他の国はどこかで買ってくるとか携帯食料のようなもので済ませてしまうようだ。

 

 食にこだわる日本らしいなとトモナリは思った。

 

「これもなかなかいいのだ……」

 

 ヒカリはキュリシーの背中にしがみついている。

 もふもふとしたキュリシーの背中に半分埋まっている感じになっているが、ヒカリはもふもふを堪能しているのだ。

 

 キュリシーはちょっと困惑したような目をしている。

 それでもヒカリに負けたキュリシーは仕方なくヒカリによるモフられを受け入れていた。

 

「‘これの皮剥いてくれるか?’」

 

「‘分かったよ’」

 

 本日のメニューはこういう時にもありがちなカレーを作るつもりだった。

 トモナリがアルケスにニンジンを渡し、アルケスも加えてみんなで食材の下ごしらえをしていく。

 

「‘器用だな’」

 

 アルケスはニンジンの皮をスルスルと剥いていく。

 何も知らない手つきではない。

 

「‘僕は料理が好きでね。昔から母の体が弱くて……料理することも多かったんだ’」

 

「‘そうなのか’」

 

 アルケスは皮を剥いたニンジンをボウルに置いてニコリと微笑んだ。

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