ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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自前の装備1

「ひ……ひぃ……はぁ……」

 

「意外と根性あるじゃないか」

 

「へ、へへ……」

 

「ま、まだまだだな……」

 

「せめて立ってから言うのだ」

 

 強くなりたい。

 その気持ちは痛いほどに分かる。

 

 レベルアップするとか、戦い方を身につけるとか強くなるための方法はいくつかある。

 その中でも能力値を伸ばすことができれば確実に強くなったといえるだろう。

 

 能力値を伸ばすのにはレベルアップするのが手っ取り早い。

 というか、多くの人はレベルアップが能力値を上げるためのほとんど唯一の方法だと思っている。

 

 霊薬を飲むという方法もあるけれど、霊薬なんてそう滅多に手に入るものじゃない。

 自分の力でどうにかするというものでもないので、結局強くなろうと思えばレベルアップに落ち着いてしまうのだ。

 

 だけどトモナリはレベルアップによらない能力値アップの方法を知っている。

 体を鍛え、動かすことによって能力値は上がるのだ。

 

 地味で辛いトレーニングを繰り返してほんの少しずつ上がっていくので無視されがちだが、積み重ねてきた能力値は後々大きな差となってくる。

 低レベル、低能力値ほど能力が上がりやすく、上がってくると能力値も上がりにくくなる。

 

 トモナリはレベルも上がってきて、同レベル帯では並ぶものがいないほどに能力値が高くなってきた。

 もはやトレーニングで能力値が上がることもほとんどなくなってしまった。

 

 けれどそれでもトレーニングは続けている。

 たとえ目に見えて能力値が上がらなくとも、きっと少しずつでも成長していると信じている。

 

 朝は早めに起きてアカデミー構内をランニングするのは、入学したばかりの頃からの習慣となっていた。

 特進クラスの仲間であり、課外活動部でも活動を共にするみんなもトモナリとトレーニングを始め、朝のランニングを一緒に走るようになった。

 

 強制ではないので時々朝はゆっくり寝る、なんてこともありながらみんなの中でも習慣となっている。

 そして今は新たなメンバーがランニングに加わっている。

 

「タオルなのだ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ヒカリ先輩、俺には?」

 

「汗臭いからヤなのだ」

 

 今はいつもの二年生メンバーに加えて一年生も数人加わっていた。

 トモナリが誘ったものだけど、ミヤマエは二つ返事でトレーニングに来ることに決めた。

 

 ハルカも悩みながらも強くなれるというトモナリの言葉を信じて参加してみることにしたのだ。

 

「タンノさんは体力あるね」

 

「中学の時陸上部で。長距離の選手だったんです」

 

 そして少し予想外だったのはナナが参加したことだった。

 ナナはやや独特の雰囲気がある。

 

 どちらかといえばフウカやサーシャに近いような孤高っぽい感じがあるのだ。

 ただサーシャのような無口というわけでもなく、クールでおとなしく寡黙な性格なようである。

 

 とりあえずいつものようにランニングしてみたのだけど、ナナは多少息を乱しながらも余裕がありそうについてきた。

 ハルカは遅れながらも頑張って、ミヤマエは気合いでついてきて今は地面に倒れている。

 

「あっ……体力上がりました!」

 

 ハルカは体力が上がって嬉しそうな顔をしている。

 本当に強くなれるかもしれないと希望が持てた。

 

「くぅ……結構キツイな」

 

 一年生は何もなく走っていたが二年生も新たな段階に進んでいる。

 魔力抑制装置をつけて走っていたのだ。

 

 ユウトも久々に汗だくになっていて、ちゃんと魔力を抑制してくれる効果があったようだ。

 普段から魔力によって強化された状態が常になるので、魔力が抑えられた体は逆に久々になる。

 

 体力もついてきたなと思っていたが、魔力のない状態で走ると全然いつもと様子が違う。

 先輩の余裕を、など思っていたのにユウトを始めとしてミズキやサーシャも肩で息をしている。

 

 それでも遅れず走ったのだから体力も力もついていると言っていい。

 

「放課後はランニング以外のトレーニングだ」

 

「ひえぇ……まだやるんですね」

 

「ああ、慣れるまでは大変だと思うけど少しずつ慣れていけばいい」

 

「が、頑張ります!」

 

 ハルカはやる気を燃やしている。

 他の子たちはトレーニングまでやる必要があるのかと来なかった。

 

 それも選択の一つであり、とやかく言うつもりはない。

 しかしきっと努力を続けるものとそうしなかったものの差は出てくる。

 

「今なら寮に戻ってシャワーぐらい浴びられる。授業も大事だからしっかり受けるんだぞ」

 

「そうします! それじゃあまた放課後、よろしくお願いします!」

 

 朝のランニングを終えたので解散する。

 汗だくで授業を受けるのは嫌なので一度寮に戻って身を綺麗にし、制服に着替える。

 

「朝からステーキとは豪勢だな」

 

「ふふーん、お肉はいつでも美味いのだぁ〜」

 

「うむ、妾も肉ならばいつでも食べるぞ」

 

 大体トレーニングが終わる時間に合わせて食堂に朝食を注文しておいた。

 ヒカリの希望で朝からステーキ丼という素晴らしい朝ご飯である。

 

 ちなみに部屋で食べる時はルビウスも出ていることが多い。

 食堂など人目があるところでは騒がしいのが嫌だと出てこないのである。

 

「うままま〜」

 

 トモナリよりもはるかに小さいのに、ヒカリはトモナリの倍はありそうなステーキ丼をガツガツと食べていく。

 一体どこにそんな量が入るのかと不思議なものである。

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