ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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しのゲート1

 何事にもタダというのはあり得ない。

 オウルグループに装備を作ってもらえるが、全部が全部タダで提供されるわけじゃない。

 

 お金はかからないのだけど、アカデミー側にも多少のやるべきこともある。

 それは素材集めだった。

 

 装備を作るのには素材が必要となる。

 作る量を予想して職人を集めることはできるが、何をどれだけ作るかも分からないのに素材を全て集めておくなんてできない。

 

 それぞれの生徒の希望を聞いて、必要なものを計算する。

 全部をお金で解決するのではなく、必要なものでお金を使わずに手に入れられそうならば手に入れるのだ。

 

 具体的にはゲートの攻略やモンスターの討伐を行うということになる。

 オウルグループでも素材のために覚醒者を派遣するのだけど、アカデミーからも素材集めのために生徒を派遣することになっていた。

 

 アカデミーとしては覚醒者としての経験も積めるし、オウルグループとしてはお金で素材を集めるより費用を抑えることができる。

 互いにウィンウィンな関係なのだ。

 

「まさか死のゲートに来ることになるとはな……」

 

 トモナリが依頼したアースドラゴンの精髄の加工は簡単なものではない。

 アースドラゴンの精髄があれば加工できるというものではなく、アースドラゴンの精髄の力を受け止められるような受け皿があってこそ加工できる。

 

 アースドラゴンの精髄は言ってしまえばエネルギーの塊のようなものである。

 それを受け止めて防具の形にしてくれるものが必要なのだ。

 

 アースドラゴンの精髄の力を受け止められるような素材がそこらへんに転がっているわけもない。

 どこかで入手しなければならなくなった。

 

 そこでオウルグループが探した結果、あるゲートに辿り着いたのである。

 とある石切場に現れたゲートは長らく攻略がなされていない。

 

 意図的に放置されているのではなく、攻略できなかったから放置されているのだ。

 

「なんかもうここがゲートの中みたいだね」

 

 今はもう使われていない石切場は幻想的な雰囲気がある。

 まるでもうゲートの中にでもいるような感覚に陥るが、まだゲートにも入っていない。

 

 ミズキは周りを見回す。

 石を切り取って四角くギザギザとした風景は面白いと感じる。

 

 トモナリは仲間を連れて石切場にあるゲートに向かっていた。

 

「わぁ……」

 

「なかなかすごいね」

 

「不思議なところなのだ〜」

 

 道を抜けるとトモナリたちは石切場の下の方に出てきた。

 石を切ってできた直角の渓谷を見上げてみると、光が入ってきている。

 

 すぐ横には湖のように水が溜まっているが、それは雨水が長年流れ込んで出来たものである。

 雨水の湖のほとりにゲートが見える。

 

「水の上? あそこまでどうやっていくの?」

 

 ゲートの下には水がある。

 どうやってあそこまで行けばいいのかとミズキは首を傾げる。

 

「水の上に見えるけど、ギリギリ地面はあるんだよ」

 

「……あっ、本当だ」

 

 ミズキは水の下に目をこらす。

 よく見るとゲートの下には石の地面があって、その上に水がうっすらと張られているようだ。

 

 離れたところから見ると光の加減で下の地面が見えなかったのである。

 

「こんなところにもゲートなんてできるんだね」

 

 コウが改めて周りを確認する。

 人里離れた石切場の底に人知れずゲートがある。

 

 時々鳥の鳴き声が聞こえるだけで後は非常に静かな環境。

 

「ゲートにとってはどこだろうと関係ないからな」

 

 海の底、空の上にだってゲートは出現しうる。

 むしろ人里離れたところこそ、ふと現れるゲートを警戒しなければならない。

 

「ここにキャンプを張って準備を整えよう」

 

 これ以上進むと水の上になってしまう。

 まだ水に浸食されていないところを選んで荷物を下ろす。

 

「設営は私たちに任せてお前たちはゲートの確認に行ってこい」

 

「分かりました」

 

 今回のメンバーはそんなに多くもない。

 三年生のカエデとタケルに加えてオウルグループからサポートとして覚醒者が二人。

 

 カエデたちにキャンプ設営を任せてトモナリたちはゲートを確認することにした。

 

「ギリギリだな」

 

 水は靴が濡れるギリギリの深さがある。

 

「足元、気をつけろよ」

 

 一歩踏み外すと溜まった雨水の湖に落ちることになる。

 底とは言いながらも湖の底はもっと深いところにある。

 

 トモナリたちは慎重に足元を確認しながらゲートに向かっていく。

 

『ダンジョン階数:4階

 ダンジョン難易度:Dクラス

 最大入場数:4人

 入場条件:レベル44以下

 攻略条件:全ての階を攻略せよ』

 

 ゲートの前までやってきた。

 ゲートの情報を確認してみる。

 

 今回のゲートは回帰前に死のゲートと言われていた。

 かなり長いこと攻略されずに残されていたゲートであるということに加えてゲートの情報も要因の一つだ。

 

「4階で4人で、44レベル……」

 

「なんか嫌な数字の並びだね」

 

 ゲートの情報には4が並ぶ。

 4と死をかけて死のゲートと呼ばれるのであった。

 

「レベルが44以下なのにDクラス……しかも4人しか入れないのか」

 

 コウは眉をひそめる。

 Dクラスゲートなら目安としてはレベル40以上ぐらいになる。

 

 しかし安心して攻略したいなら50、60ぐらいのレベルが欲しい。

 なのに44以下と上限が設けられている。

 

 Dクラスゲートを攻略するのにはギリギリのレベルだ。

 

「4人ってのもね……だからこのメンバーなんだね」

 

 ゲート前に集まっているのはトモナリとヒカリを含めてミズキ、コウ、サーシャの4人。

 なんでこれだけなのかとミズキは思っていたけれど、理由が分かった。

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