ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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素材集め2

「ええと……一階に出てくるのはなんだっけ?」

 

「ここに出てくるモンスターはケイブマンティスだよ」

 

 一応出てくる可能性のあるモンスターのことを確認しておく。

 

「マンティス……つまりはカマキリだね」

 

「カマキリかぁ……虫あんまり好きじゃないんだよね」

 

 ミズキはため息をつく。

 モンスターには虫が大きくなったようなものや、虫をベースにしたような見た目をしたものも少なくない。

 

 覚醒者は虫が嫌いだと若干キツいところがある。

 ミズキも戦えないほどに苦手ではないものの、虫は進んで戦いたい相手ではない。

 

「まあやるけどさ」

 

 できればモンスターがいなきゃいいなとミズキは思った。

 

「むむむ! 何かいるのだ!」

 

「えー……」

 

 少し先の曲がり角を覗き込んだヒカリが尻尾を振って合図する。

 何かが何かは分からないが、こんなところに人がいるはずもない。

 

 出てくるモンスターの種類も一種類しかないので、何かの正体はほぼ確定しているようなものだ。

 攻略済みだからとモンスターが出ないわけじゃない。

 

 時間が経つとモンスターが復活してしまうことがある。

 攻略前のように全てのモンスターが戻ることはほぼないものの、多少モンスターは戻っても驚くことではない。

 

「戦闘陣形だ」

 

 まだ相手の姿は見えていないが、ケイブマンティスな事は分かっている。

 戦闘の備えをする。

 

 縦一列だったところを戦うための隊形を移動する。

 サーシャを先頭にすることは変わらないけれど、最後尾にいたトモナリも前に出てサーシャの後ろでミズキと一緒に並ぶ。

 

 コウを一番後ろに置いて四人で四角を描くような配置となった。

 慎重に進んで、サーシャがヒカリと一緒に角から顔を出して様子を見る。

 

「背中向けてる。気づいてない」

 

 サーシャが簡潔な言葉で状況を報告する。

 曲がった先には大きなカマキリがいた。

 

 しかしただデカいだけじゃない。

 両手のカマは刃物のように鋭くて、人なんて簡単に切断できそうな大きさがある。

 

 さらには圧倒されるような魔力を感じる。

 ただケイブマンティスはちょうどトモナリたちがいる方に背中を向けていた。

 

 全くトモナリたちに気づいていないようで、カマをすり合わせるようにしてシャキシャキと音を立てている。

 

「先制攻撃できそうだな」

 

 気づいていないならチャンスだ。

 

「ミズキ、いけるか?」

 

「私?」

 

「ああ」

 

 ミズキの一撃の鋭さはトモナリにも引けを取らない。

 回帰前のミズキにはまだまだ及ばないけれども、もうすでに回帰前に到達、あるいは超えていきそうな片鱗は見せている。

 

 トモナリがやってしまうこともできるが、どうせならみんなの経験にもなった方がいい。

 幸い相手は一体しかいない。

 

 復活しているモンスターの数も多くないだろうから、戦って集まってくる可能性も低い。

 

「……やってみる」

 

「その調子だ」

 

 何事も挑戦だ。

 レベルを上げて能力を強化するだけでなく、経験も確かに人を強くする。

 

 どうせなら余裕があるうちに経験をしてもらう。

 

「サーシャもすぐに動けるように」

 

「ん」

 

 ミズキが角からそっと出ていく。

 足を広げてやや腰を下げ、腰の刀に手を添える。

 

「一閃!」

 

 ミズキは地面を蹴って、一気にケイブマンティスに近づく。

 刀を抜きながらケイブマンティスの背中を斬り裂く。

 

「浅い……!」

 

 刀はちゃんとケイブマンティスに届いた。

 しかし一刀で倒すには至らなかった。

 

「光の加護!」

 

 斬り裂かれて短く鳴いたケイブマンティスは振り返りながらカマを振る。

 刀を振り切った体勢のミズキは回避ができない。

 

 けれどそうしたものをフォローするのも仲間である。

 サーシャがスキルを発動させて、ほんのりと光りながらミズキの前で飛び出す。

 

「うっ!」

 

「大丈夫!?」

 

「相手もDクラスのモンスターだ! 正面から受け止めようとするな!」

 

 カマを盾で防いだけれど、サーシャはカマの力を受け止めきれず弾き返された。

 素早い振りのカマは鋭さを重視していて軽そうに見える。

 

 しかしケイブマンティスもDクラスゲートに出てくるモンスターなのだから、モンスターとしてもDクラスのモンスターである。

 たとえパワー重視のモンスターでないとしても、サーシャたちにとってはまだ強いのだ。

 

「はっ!」

 

 コウが炎を放つ。

 サーシャとミズキに追撃しようとしていたケイブマンティスは炎をかわして下がる。

 

「陣形を整えろ!」

 

 倒せはしなかったけれど先制攻撃はできた。

 ケイブマンティスが下がった隙にサーシャとミズキも下がって、サーシャを先頭にした戦闘陣形を取る。

 

「どうしても正面での戦いになる。もうダメージは負っていて相手も全力で動けないはずだから慎重に戦うぞ!」

 

 倒せなくとも背中の傷は決して軽くない。

 激しく動けばその分だけ傷は広がり、痛みもある。

 

「みんなで気を引きつけてコウの魔法で攻撃だ!」

 

「ん!」

 

「分かった!」

 

「任せてくれ!」

 

 トモナリが指示を飛ばしてケイブマンティスに向かっていく。

 

「僕は?」

 

「ヒカリも自由に動いて視線を散らしてくれ!」

 

「うむ! やったるのだー!」

 

 飛び回れるヒカリはウロウロするだけでも相手の注意を引きつけてくれる。

 トモナリたちと同じラインではないところで注意を引きつけてもらえれば、トモナリたちとしてもかなり戦いやすくなる。

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