ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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ソロゲート1

「急に呼び出して悪いな」

 

「いえ、俺の装備のことだって聞いているので」

 

 ミスリルは想定したものを遥かに超える量をトモナリたちは持ち帰った。

 カエデも大喜びだったし、ミスリルもカニも高値で買い取ってもらえた。

 

 ミズキたちもミスリルを混ぜた装備を作ってもらえることになって、お金も含めてみんな満足な攻略となったのである。

 カニの一部はそのままもらってカニパーティーなんかもして、トモナリは装備の完成を待っていた。

 

 たとえ素材があるからとすぐにできるものではないと分かっていても、自分の装備の出来上がりは待ち遠しい。

 記憶にあるような大きな事件もないので、いつものようにトレーニングなどしながらのんびりと過ごしていた。

 

 そんな時にトモナリは急にサタケに呼び出された。

 車を飛ばしてオウルグループの会社まで連れて行かれたのである。

 

 会社というが、単にビルがあるというだけでない。

 広い敷地の中に研究のための施設や覚醒者のための訓練用の場所、加えて武器製造を行える工房のような場所まである。

 

 オウルグループの敷地内も車で移動して、隅にある新しめの建物にトモナリは案内された。

 そこは装備製作のための工房で、トモナリを呼び出したサタケがいた。

 

「ただ……急に呼ばれたので細かいことは何も聞いてないんですが……」

 

 トモナリは装備製作に関して問題があるとだけ聞いて呼び出されている。

 授業あるのになとか、そんな思いはあれど、ミスリルとアースドラゴンの精髄を使った自分の装備に問題が起きたと聞いては黙って授業なんか受けていられない。

 

 問題とは何が起きたのかずっと心配だった。

 

「これについては実際見てもらった方が早い」

 

 サタケは軽くため息をついて、立ち上がる。

 

『ふうむ……不思議な気配を感じるな』

 

 サタケについて歩いているとルビウスの声が聞こえてきた。

 

「奇妙な気配?」

 

『何かは分からんが同族……そんな気配を感じる』

 

 ルビウスの同族、ということはドラゴンの気配であろう。

 そうなるとやはりアースドラゴンの精髄に何かがあったのだと予想ができた。

 

「ここだ」

 

 主任製造室とプレートのある部屋の前でサタケは立ち止まった。

 ポケットから社員証を取り出すとドア横にある機械にかざす。

 

 ピッと音がしてドアがひとりでに開く。

 今時オートで開くことも珍しくはないけれど、工房というイメージよりもだいぶ近代的であるというギャップにはちょっと驚いた。

 

「これは……」

 

「ゲートなのだ」

 

「その通り。これが問題なのだ」

 

 ドアが開いてすぐ目についたのは、正面で青白く光るゲートの存在である。

 

「なんでこんなところにゲートが?」

 

 ゲートというものに場所は関係ない。

 空の上だろうと海の底だろうと出現する可能性はある。

 

 しかしこんなふうに部屋のど真ん中にゲートが現れる確率なんてどれほどのものだろうか。

 しかもできて間もなく、これから装備を作ろうという建物の中にである。

 

 それに不思議なことがある。

 オウルグループは自社で覚醒者を抱えている会社である。

 

 会社の規模にも負けないぐらいちゃんとした覚醒者チームで、質はかなりいいはずだ。

 たとえゲートが現れるという問題が発生したとして、オウルグループの覚醒者チームで対応できるだろう。

 

 なのにどうしてわざわざ問題があるとトモナリにゲートを見せる必要があるのか。

 

「これは急に現れた」

 

 サタケはまたしても深いため息をつく。

 

「近づいてゲートの情報を見てくれ」

 

「分かりました」

 

 ヒカリと顔を見合わせたトモナリはおそるおそるゲートに近づく。

 

『ダンジョン階数:二階

 ダンジョン難易度:EXクラス

 最大入場数:1人

 入場条件:資格ありし者

 攻略条件:認められろ』

 

「…………なんだ?」

 

 ゲートの情報を表示させる。

 不思議なゲート情報だとトモナリは思った。

 

 ダンジョン階数はいい。

 二階ならなんの変哲もないゲートである。

 

 問題はそこから下の情報だ。

 まずダンジョンの難易度がEXという見たこともない難易度になっている。

 

 難しいのか、簡単なのかも分からない。

 最大人数も一人となっている。

 

 ない、とは言い切れないものの、一人しか入れないゲートというものはかなり珍しい。

 トモナリが記憶している中でも一人しか入れないゲートのものはほとんどない。

 

 噂で聞いたことがあるというものが一つ二つである。

 次に入場条件も初めて見るものだった。

 

 資格ありし者という入場条件なんて、回帰前の記憶を含めても聞いたことがない。

 攻略条件もふわっとしている。

 

 認められろとはなんなのか。

 

「奇妙なゲートだろう?」

 

 トモナリが振り返るとサタケは険しい顔をしていた。

 

「資格ありし者……というのが何を指し示すのか分からない。オウルグループの覚醒者チームが挑もうとしたが入場条件を満たしていないのか入ることすらできなかった」

 

 攻略したくても攻略できない。

 まずは大きな問題が一つ。

 

「……まあ、ゲートがあることは分かりましたが……これがなんの問題に?」

 

 ゲートはいい。

 しかしオウルグループぐらいになれば別に工房も用意できるだろう。

 

 多少のスケジュールに遅れが出ても作れるはずである。

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