ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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一年生を護衛して3

「装備は身につけたな? これから班分けを行う!」

 

 一度に全員が入ると目も行き届かないし、攻略に入る生徒を分ける。

 

「やった! ナナちゃん一緒だね!」

 

 誰が一緒になるのか。

 これは大事なことである。

 

 班分けはくじ引きで行われ、一年生はくじに書かれた番号が同じ人で集まっていく。

 トモナリとして気になるのはやっぱり課外活動部の後輩であり、トレーニングを共にしているメンバーだ。

 

 鍛冶職人のサタケの娘であるナナの手を取ってハルカが喜んでいる。

 二人は同じ班になったようである。

 

「俺は七番だ。お前らは?」

 

「あれ、あなたも同じなのね」

 

「あ、そうなんだ」

 

「なんかリアクション違くないか?」

 

「そんなことあるわね」

 

 くじを片手にミヤマエがハルカとナナに声をかけた。

 数字の七と書かれたくじは二人が持っているものと同じであった。

 

 偶然にも三人は同じ班になった。

 

「偶数班は先にゲートに入る。奇数班はテントの設営だ」

 

 ゲートでやることは攻略だけじゃない。

 攻略以外の準備も怠ってはならない。

 

 テントや食事の準備、ゲートブレイクや邪な考えを持つ覚醒者への備えなどゲート外でもやることはある。

 インベントリが解放されたり、お金が手に入るようになれば楽になることも多いけれど、やれるようになっておいて損なことなどない。

 

「んじゃいってくるねー」

 

「いってらっしゃいなのだー」

 

 二年生も一年生と一緒にゲートに入るけれど、こちらもゲートに先に入る組と後で入る組で二つに分かれる。

 トモナリは後で入る組の方で、テント設営を手伝う。

 

 ミズキとコウとクラシマが先にゲートに入っていく。

 

「それではこちらはテントを張りますよ! 分からないことがあれば私や二年生の先輩方に聞いてみてください」

 

 一年生たちがワイワイとバスに載せて持ってきたテントを設営し始める。

 

「ヒカリせんぱーい! ここどうしたらいいですかー?」

 

 先輩として呼ばれたのはヒカリだった。

 

「僕なのだ? 任せるのだ〜」

 

 先輩と呼ばれてヒカリがニコニコで飛んでいく。

 

「ここはこうするのだ!」

 

「おーっ! ヒカリ先輩すごい!」

 

「ドヤァ」

 

 ヒカリもそんなに頭は悪くない。

 ちゃんとお手伝いする方なのでテントの設営も頭に入っている。

 

 ヒカリがテントの張り方を教えてやると一年生から賛辞の声が上がってヒカリは嬉しそうな顔をしている。

 

「ヒカリ先輩! こっちもお願いします」

 

「はいはいなのだ!」

 

「……出番ないね」

 

「まあ、ヒカリに任せとけばいいかな」

 

 トモナリはサーシャと待機しているが、ヒカリが大人気すぎて出る幕がなさそうだった。

 

「せ、先輩……いいですか?」

 

「ん? ヒカリじゃなくていいのか?」

 

「ヒカリ先輩、人気ですし」

 

 忙しく動き回るヒカリを見ていたらハルカがトモナリに声をかけてきた。

 テントの設営で困ったことがあるらしい。

 

「せっかく頼ってもらったなら手助けするか」

 

 もちろんハルカを拒否などしない。

 トモナリが七班の方に向かうとサーシャも無言でついてくる。

 

「先輩、お願いしまっす!」

 

 一つの班は五人。

 ハルカたち三人を除いた残りの二人は課外活動部ではなかった。

 

 ミヤマエはトモナリに対しており目正しく頭を下げている。

 後輩というか舎弟みたいである。

 

「ここはこっちを先にやってからやった方がいい」

 

 初めてのテントはなかなか難しい。

 

「あ、そうなんですね」

 

 トモナリがやりがちなミスを指摘してやる。

 

「こうっすか?」

 

「そうそう」

 

 多少のもたつきはあれど、最近のテントは設営も楽である。

 五人もいれば直接手を出さずともサッとテントは完成した。

 

「あの」

 

「なんだ? 何かあるか?」

 

 テント設営が終われば今度は昼食の準備に取り掛かる。

 野外なので手の込んだものは作れないけれど、温かいものを作るだけでもだいぶ戦いにおける気分も変わってくる。

 

 トモナリも基本は口や手を出さずに見守っていた。

 意外とハルカがリーダーシップを発揮しているなと感心していたトモナリにナナが声をかける。

 

 みんなが特に困っているような様子はない。

 なんだろうかと笑顔を向ける。

 

「その……」

 

 ナナは比較的クールな感じの性格をしている。

 サーシャのような無口というより余計な会話をしないといった感じである。

 

 でもハルカなんかと話している様子を見ると普通に女の子だ。

 今はなんだか珍しく会話を切り出しにくそうにしている。

 

「父と……何かありましたか?」

 

「父?」

 

「私の父は覚醒者の装備を作ってるんですが……」

 

「いや、知ってるよ。少し前に会ったことがある」

 

「そ、そうなんですね」

 

 ナナが口にしたのはサタケのことであった。

 

「サタケさんがどうかしたの?」

 

 名字も違うしあまり突っ込んじゃいけないかなと、ナナにサタケのことを聞いてはこなかった。

 

「ちょっと父が変なことを言っていたので」

 

「変なことを?」

 

「あっ! いえ! 何も聞いてないならいいんです!」

 

 ナナは顔を赤くして否定するように手を振る。

 サタケが何を言ったのかとトモナリは首を傾げる。

 

「トモナリィ〜疲れたのだ〜」

 

 サタケが何かをちょっと気になる。

 聞き出そうとしたタイミングでヒカリが戻ってきた。

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