ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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覚醒者もいい人ばかりではない3

「最初から全力で行かせてもらうぞ! ドラゴンズコネクト!」

 

 たとえ切り札的なスキルがなくともトモナリの方に余裕はない。

 トモナリ自身が消耗してしまう前に全力を尽くすことにした。

 

 トモナリはドラゴンズコネクトを発動させる。

 スキルに反応して光を放つのはルビウスではなく、身につけているエドの方。

 

 トモナリの体にエドが吸い込まれていく。

 同時にトモナリの体も淡く発光する。

 

「なんだ……」

 

 ルビウスとドラゴンズコネクトをすると武器を失うというデメリットがあった。

 ならばヒカリとドラゴンズコネクトすればいいと考えるかもしれない。

 

 しかしヒカリとのドラゴンズコネクトは上手くいかないのだ。

 これまで何回か試してみた。

 

 ヒカリがトモナリの中に入っていくとすぐに弾かれて外に出てしまうのである。

 物に宿ったドラゴンの意思と物理的な体を持つヒカリでは何か違うのかもしれない。

 

 ただ完全にできないという感じでもない。

 そのうちできるだろうと思っていたらエドが手に入った。

 

 ドラゴンの意思を宿した新たなる装備を手に入れたのだ。

 トモナリの体に変化が起こる。

 

 見た目のわかりやすい変化として髪の色や瞳が変わっていく。

 トモナリの黒髪が落ち着いた茶髪に、瞳は金に染まる。

 

「むひょー!」

 

 ルビウスの時には赤いウロコや翼も生えてきた。

 しかしエドにおける変化はルビウスとは違っていた。

 

 体から漏れ出す魔力がトモナリの体を覆う。

 そして魔力は黒く変化を遂げ、最終的には服のようになる。

 

 まるでアースドラゴンのゲートで見たエドが来ていたような、足元まである黒いコートに魔力は変わってしまった。

 ルビウスでのドラゴンズコネクトの姿は、ルビウスが男になったような姿だったといってもいい。

 

 対してエドでのドラゴンズコネクトはエドが若返ったような姿だと言えるかもしれない。

 ルビウスの時とはまた違った重厚な雰囲気をまとうトモナリにヒカリは大興奮である。

 

「せ、先輩、渋いっす……」

 

 顔つきもなんだかより大人びて、バリアの中からトモナリの姿を見ていた一年生もトモナリの変化に驚いてしまう。

 

「……何をした?」

 

 見た目が変化するスキルもある。

 だがコート姿になるスキルなんて聞いたこともない。

 

 リーダーの男としてはスキルというよりもインベントリから装備を出して変えたようにも見えた。

 

「不思議な感じだな」

 

 コートだけではない。

 手には黒い革製にも見える手袋まで装着されている。

 

 ルビウスとのドラゴンズコネクトでは、胸の中で炎が燃えているような感情の激烈さを感じずにはいられなかった。

 しかしエドとのドラゴンズコネクトではとても落ち着いていた。

 

 まるで大地と一つになったようなどっしりとした感覚がトモナリの中にある。

 手にはちゃんとルビウスも握られている。

 

 ただルビウスの時にあった翼はない。

 

「……なんだか知らねえが、そんなもので俺に勝てると思うなよ!」

 

 装備を変えたぐらいで劇的に強くはなれない。

 しかもコートなどふざけているのかとリーダーの男はトモナリに斬りかかる。

 

「いいのだ、トモナリー!」

 

 最初の一撃では完全に力負けしていた。

 しかし今度のトモナリはリーダーの男の攻撃をしっかりと受け切った。

 

 まだ相手の方が上回っているものの、足に根が生えたようにどっしりと力が入って押されてしまうことがなかったのだ。

 

『我々の力は大地の力。大地を動かすことは容易いことではない』

 

 頭の中でエドの声が聞こえる。

 落ち着いた低い声は戦いの最中にも心を鎮めてくれるようだ。

 

「隙があるぜ!」

 

 速度も相手の方が上。

 相手の剣を防ぐことにいっぱいいっぱいになって、トモナリの動きに隙ができた。

 

 リーダーの男はトモナリの脇腹を殴りつけた。

 

「ゔっ!?」

 

 顔をしかめたのはトモナリではなくリーダーの男の方だった。

 

「なんだ……まるで岩でも殴ったような……」

 

 思い切り殴ったリーダーの男の拳から血がにじむ。

 脇腹を殴ったのに、とんでもなく硬いものを殴ったような感触が返ってきた。

 

 柔らかくしなやかなコートに見えるが、トモナリが身につけているものはスキルによるアースドラゴンの力なのである。

 

「ボサっとしてていいのか!」

 

 攻撃してダメージを負うなんて、思いもよらない事態にリーダーの男に隙が生まれた。

 トモナリが剣を振り、リーダーの男は上体を逸らして回避しようとした。

 

「くっ!」

 

 かわしきれずにリーダーの男の顔が浅く斬られる。

 鼻の真ん中が横に斬られて、血が垂れる。

 

「この……クソガキ!」

 

 顔を押さえたリーダーの男はトモナリのことを睨みつける。

 

「ぶっ殺してやる!」

 

 上手くやれるなら痛めつけて人質にしてやろうと思っていた。

 だがもう許してやるつもりなんてつもりは、リーダーの男の中から消え去った。

 

「簡単にはやられないぞ!」

 

 襲いくるリーダーの男の攻撃をトモナリは防ぐ。

 

「トモナリ! ボーッ!」

 

 トモナリを援護しようとヒカリがブレスを放つ。

 

「そんなもの通じるかよ!」

 

 リーダーの男が魔力を込めて剣を振るとブレスが振り払われてしまう。

 明らかに力に差がありすぎる。

 

 トモナリも上手く防御しているようで、何回か斬られている。

 エドの強固な防御力に助けられているだけだった。

 

 斬撃こそ防げていても剣が体に当たる衝撃のダメージはいくらかある。

 エドも永遠と持つわけではないし、このまま攻撃され続けると流石にまずいとトモナリも思い始めていた。

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