ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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入学テスト1

 トモナリを殴ったカイトは転校する代わりに大きな騒ぎにしないという話になった。

 いつでも学校に戻ってきていいとトモナリは言われていたのだけど今更中学の勉強をするつもりもなければ、過去では仲良くしたこともなかったような同級生と仲良くするつもりもなかった。

 

 なので朝保健室に行って出席の代わりにしてもらって、すぐにそのまま学校を出て道場に行くことにした。

 柔軟な対応というよりは騒ぎ立てたくない学校側が渋々そうした形を認めたのである。

 

 そんな日々を過ごしながら日々体を鍛えていた。

 また手合わせしようなんて言っていたミズキは昼間学校に行っているのでほとんど会うこともなかった。

 

 学校がたまたま休みの時になんで学校来ないのよ! と怒られたことはあったけれど一応行ってはいると答えておいた。

 そんな感じで時間は過ぎていった。

 

「大丈夫? 忘れ物はない?」

 

「ないよ。ちゃんと確認もしたから」

 

 鬼頭アカデミーは希望すれば入れるというものでもない。

 覚醒者としての授業プログラムはあるけれどその他の授業は高校と同じである。

 

 そのために覚醒者となる意思の他に普通に学力が必要となる。

 入学テストを受ける必要がある、ということなのだ。

 

 鬼頭アカデミーは到底家から通える場所ではないので泊まりがけでテストを受けに行かねばならない。

 

「ゆかり、私にまかせろ! トモナリの面倒は見てやるからな!」

 

「ヒカリ、頼んだわよ」

 

「逆じゃないのか?」

 

 肝心のヒカリは連れていくことになった。

 置いていこうとトモナリは考えていたのだが、絶対についていくと言ってヒカリが譲らなかった。

 

 置いていくなら飛んで勝手についてくるとまで言うのでそれなら大人しく連れていった方が良さそうだとトモナリが折れることになった。

 おかげでヒカリを入れる用のリュックという荷物が一つ増えた。

 

「知らない人にはついていかないのよ? 困ったことがあったらすぐにお母さんに連絡しなさい」

 

「分かってるよ」

 

 小学生じゃないんだからとトモナリは苦笑いを浮かべる。

 でもそんなことまで心配してくれる相手がいるというのは嬉しいものだと思う。

 

「それじゃあ行ってくるから」

 

「いってくるぞー!」

 

「いってらっしゃい……トモナリ、ヒカリ」

 

 ゆかりは息子が行ってしまう寂しさと成長を感じる嬉しさの入り混じる目で息子の背中を見送ったのであった。

 

 ーーーーー

 

「ここが鬼頭アカデミーか」

 

 問題なく移動してトモナリは鬼頭アカデミーに着いた。

 大きな町の郊外にある鬼頭アカデミーは敷地も非常に広い。

 

 学校や覚醒者としての施設だけでなく運動のための施設や寮まで敷地内には完備されている。

 入学テストに際して希望者はアカデミーの寮に泊まることができる。

 

 無償で泊まれるのでトモナリとしてもありがたいのだけど広すぎてどこに行けばいいのか迷ってしまいそう。

 回帰前もトモナリは鬼頭アカデミーに来たことはなかった。

 

 覚醒したのはだいぶ年をいってからだし、その時には鬼頭アカデミーは機能を失っていた。

 

「入学テスト受験者で寮に泊まる方はこちらでーす!」

 

 鬼頭アカデミーの門をくぐってキョロキョロと周りを見ていると在校生だろう制服の人が“受験生コチラ”という看板を持って立っていた。

 キリッとした顔立ちの背の高い男子学生で静かな魔力を感じる。

 

 学生にしては結構強そうだとトモナリは思った。

 他の受験生と共に男子学生についていくと寮に案内された。

 

 男子女子別れていて、受験番号で部屋が割り振られていた。

 なんと部屋は一人一部屋。

 

 覚醒者が使う部屋になるので相部屋などにして問題が起きたら大変だし、勉強やなんかでちゃんと集中できるようにとなっているのだ。

 流石にキッチンのような場所はなくて一人暮らしの部屋というより家の中にある一部屋という感じではあるがトモナリにしてみればそれで十分である。

 

「ヒカリ、いいぞ」

 

「もが……んー! 疲れた!」

 

 ずっとリュックの中だったヒカリはモゾモゾと出てくると体を伸ばした。

 相部屋だったらどうしようかと思っていたが一人部屋なのでヒカリが出ていても大丈夫。

 

「トモナリチャージ!」

 

 リュックの中で隠れていて疲れたヒカリはトモナリの胸に抱きついた。

 これで元気が回復するというのがヒカリの主張である。

 

「すぅー、はぁー」

 

 なんか吸われてんなと思うけれどヒカリの好きにさせてあげる。

 ヒカリにしがみつかれたまま立ち上がったトモナリは部屋に備えてあった机に向かう。

 

 机の上には注意事項や試験の日程、食事として学食が解放されているなんてことが書かれた紙が置いてあった。

 

「テイクアウトもできるのか」

 

 混んでいたり周りの目が気になるなら本来のメニューよりも品数は少ないけれどテイクアウトできるものまで学食にはあった。

 まさしく至れり尽くせり。

 

 移動の疲れもある。

 ヒカリもいるしトモナリは混み始める前に食堂まで行って料理をテイクアウトし、ヒカリと一緒に食べて早めに休むことにした。

 

 ーーーーー

 

 いざ勝負の日と周りの生徒たちは緊張した面持ちだったけれどトモナリはいつもと変わらなかった。

 学力的には落ちることはないだろうと思っている。

 

「がんばれー」

 

「あんまり喋るなよ?」

 

「あい」

 

 トモナリはみんなよりも大きめのリュックで試験会場である教室に入った。

 リュックの中にはもちろんヒカリがいる。

 

「ムギュ……」

 

 椅子の下にリュックを押し込む。

 大きめのリュックなので少し無理矢理押し込む形になってしまった。

 

 窮屈だろうが部屋に一人でいたくないというのなら我慢してもらわなきゃいけない。

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