ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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四十三番目、オートマタゲート3

「‘ご会場にお集まりの皆様、お時間となりましたのでオークションを始めさせていただきたいと思います’」

 

「始まるようですね」

 

 会場がうっすらと暗くなり、逆にステージ上が明るく照らされる。

 仮面をつけたスーツの男性がステージに上がり、オークションの開催を告げる。

 

「‘今回のオークションの形式ですが、どちら様がご入札なされたかを分からなくするために、お配りしております端末にて入札を行っていただきます’」

 

 黒服の男性が会場の客にスマホのようなものを配っている。

 トモナリには渡されなかったが、マサヨシが自分のものをトモナリに渡してくれた。

 

 端末には56とだけ表示されている。

 

「‘それではまず最初の商品から’」

 

 ステージに置いてある大きなモニターにオークション最初の商品が映し出される。

 同時に端末の画面も切り替わって、商品の情報が表示された。

 

「‘こちらは北アメリカのA級ゲートから見つかった短剣でございます’」

 

 最初の商品は短剣だった。

 モニターや端末に表示されているだけでなく、ステージ上には実際のものも運ばれてきている。

 

 一見すると豪華な飾りのある短剣だが、もちろん観賞用というわけではない。

 素早さと器用さに補正を得られ、刃には自動修復機能もあるらしい。

 

「‘ただの短剣ではなく、硬化スキルも備わっています!’」

 

 アーティファクトにはスキルを秘めているものもある。

 短剣には硬化というスキルを発動できる能力が備わっていた。

 

 短剣を使うような覚醒者は総じて防御力が低いことも多い。

 体が硬くなる硬化スキルは万が一の時の保険ともなりうるので探検と相性もいいスキルだろう。

 

「‘入札を開始いたします’」

 

 端末画面の下の方に表示されている入札ボタンがアクティブになる。

 ステージ上のモニターも商品の横に数字が表示された。

 

 ちょっとずつ数字は大きくなっている。

 あれが入札金額なのだなとトモナリは思った。

 

 金額もドル表示なので、トモナリにはやや分かりにくい。

 一万ドルからスタートして、入札額が吊り上がっていく。

 

 ただ、短剣という覚醒者の中でも使う人が限られるものだからか伸びはやや鈍く感じられた。

 

「‘91番様が34万ドルでご落札です’」

 

 それでもかなり値段になって短剣は落札された。

 誰が落札したのか周りの様子を見ていても分からない。

 

「‘続きましては……’」

 

 落札しても喜びを表すこともなく、オークションは淡々と進んでいく。

 中に入ってゲートから出たものではなく、人が作ったものもオークションにかけられている。

 

「‘続きましては……なかなか特殊な商品となっております。アイテムの名前はマルチキーオープーナー。どんな鍵でも開けられる……ただしゲートの中限定ですが’」

 

 ステージに運ばれてきた商品は鍵だった。

 今時見ない古いタイプの形をしているが、れっきとしたアーティファクトの一種である。

 

 どんな鍵でも開けられる。

 なかなかユニークな効果を持っているのだけど、ある大きな制限がある。

 

 それはゲートの中でしか使えないというものであった。

 鍵なんてどこで使うのだなんて疑問を抱く人もいるが、中には鍵が必要だったゲートの記憶がある人もいるだろう。

 

 草原や森といった環境で鍵が必要になることなどまずないが、建物があるという環境のゲートもある。

 そんな時扉に鍵がかかっていることもあるのだ。

 

 特定の条件を満たせば開くものもあるけれど、攻略に関係なく開かない鍵のかかった扉もある。

 中にお宝があるかもしれない。

 

 歯がゆい思いをしながらも扉を放置したなどという記憶を憶えている人も中にはいるはずだ。

 他にも古典的な宝箱に鍵が必要なケースも稀に存在している。

 

 鍵が必要なケースは全体から考えるとごくわずかであるものの、全く使えないアーティファクトではない。

 そして、トモナリが狙っているのはこの鍵のアーティファクトであった。

 

 まずは少し様子を見る。

 

「値段の上がり方は鈍いな……」

 

 鍵なんかなくてもいい。

 攻略に必要な扉は大体開いているか、攻略を進めれば開く。

 

 楽になるかもしれないが、鍵付きの扉が出てくるゲートを攻略する確率を考えて鍵を買っておくという人は少数派になってしまう。

 入札に参加する人が少なくて、入札額の上がり方はとてもゆっくりである。

 

 これはチャンスだとトモナリは思った。

 トモナリも入札に参加する。

 

 動き出したトモナリを横目で見ていたマサヨシは、改めてステージ上の鍵に目を向ける。

 あんなものが欲しかったとしたら意外だ。

 

 マサヨシもどうして鍵なんか欲しいのか理解ができない。

 

「未来予知……か」

 

 理由を考えて、この先どこかで必要になるのだろうと考えた。

 画面に表示される金額は学生には決して安くはない。

 

 しかしトモナリならば出せる金額だろうとマサヨシも口には出さない。

 

「誰かが競ってるな」

 

 じわじわと鍵の入札額が上がっていく。

 おそらくトモナリともう一人誰かが譲れずに、少しずつ入札額を上げていく形になっている。

 

「ここは……」

 

 トモナリはこれまでよりも大きめに入札額を上げた。

 変に争い続けると気付かぬ間に高額になってしまう可能性がある。

 

 買いたいという意思も込めて少し大きめに入札する。

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