ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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美しき五人姉妹3

「とりあえず私の後ろにいてね」

 

「頼みますよ」

 

 フウカの役割はタンクである。

 まだレベル的にはトモナリも攻略にはふさわしくないので、大人しくフウカに守られておくことにする。

 

「なんか変だと思ったけど、ようやく分かった」

 

「何がなのだ?」

 

「奇妙な感じがすると思ってたんだ」

 

 屋敷の中を進んでいく中でトモナリは変なものを感じていた。

 その正体が分かった。

 

「窓がないんだ」

 

 洋館の外から見た時、窓があった。

 曇っていて中は見えなかったが確かに窓はあったはずなのに、今進んでいる廊下には窓が一つもないのだ。

 

 だから変な感じがしていたのである。

 

「ふむ、確かになのだ」

 

 窓がないからなんなのだと聞かれても困るが、屋敷の中は空間が歪んでいて外から見たよりも広いと言っていたことを思い出す。

 窓がないのもそうした影響かもしれない。

 

「開けるぞ、気をつけろ!」

 

 階段が剥き出してそこらにあるとは限らない。

 そして洋館にはいくつもの部屋がある。

 

 部屋の中も階段があるかどうか一つ一つ確かめていく必要があるのだ。

 盾を持ったタンクがドアまで待機し、横から別の覚醒者が手を伸ばしてドアを開ける。

 

「来たぞ!」

 

 ドアを開けるとオートマタが飛び出してきた。

 両腕が太い槍のようになっている個体で、タンクが攻撃を盾で受け止めるとドア横で待機していた覚醒者たちが一気にオートマタに攻撃を加える。

 

 攻撃が上手く魔石を破壊して、オートマタはその場に崩れ落ちるように倒れた。

 ただ部屋の中には他のオートマタもいる。

 

「奴らも待ち受けているのか……」

 

 狭い入り口から出てくるのを待っていたが、オートマタは出てこない。

 ちょっとずつ出てきてもらえれば楽だったのに、こちらから入っていくしかない。

 

「任せて」

 

 フウカが前に出る。

 スキルによって生み出された闇の手を出す。

 

 何をするのかと思ったら、拳を握った闇の手を部屋の中にねじ込んだ。

 

「入って」

 

「行くぞ」

 

 蝦夷ギルドは驚いているが、イガラシギルドは分かっていたかのように闇の手の中に入っていく。

 闇はフウカによって生み出されたものである。

 

 コントロールも自由自在。

 何かに触れるということもできるが、逆に何にも触れないというようなコントロールもできる。

 

 何もなく部屋の中に入ればオートマタの攻撃にさらされるが、闇の拳の中に入るようにして入っていけば複数人が同時に入ることができる。

 外ではオートマタが闇の手に攻撃を加えているけれど、多少の攻撃ではびくともしない。

 

「おっとっと、そんなのもいるんだね」

 

 闇の手の中からイヌサワが飛び出すと、手が大きな斧になっているオートマタが攻撃するところだった。

 剣で斧を弾き返すと指を上から下へと動かす。

 

 オートマタ周辺の重力が一瞬で増加して、オートマタは地面に押さえつけられる。

 

「魔石はどこかな?」

 

 立ちあがろうにも動けないオートマタの背中を切り裂いて開く。

 

「あったあった」

 

 青く透明な魔石が見えた。

 イヌサワは重力操作で魔石の重力だけ反転させて、オートマタの体から抜き取る。

 

「うんうん、他のみんなも大丈夫そうだ」

 

 イサキなんかは大きな剣を振り回して、オートマタをバラバラに吹き飛ばしている。

 

「トモナリ君も順調に強くなっているし、今のところいい感じだね」

 

 この調子で進めば攻略も成功しそうだとイヌサワは思った。

 あるいは少し順調すぎるぐらいだとすら感じる。

 

 我に帰った蝦夷ギルドが部屋に突入した時には、もう戦闘はだいたい終わっていた。

 

「ドアがあるけれど……開けられないな」

 

 部屋の奥にはドアがあった。

 豪華なデザインをしていて、いかにも何かありそうな雰囲気を醸し出しているのだけど、ドアには鎖がかけてあって大きな南京錠でロックしてある。

 

 何人かが鎖を切ろうと試してみたのだけど、鎖を切ることはできなかった。

 ただの鎖に見えるが、これもまたゲートの一部。

 

 簡単には破壊できないようになっているのだろう。

 そんなこともあって、ドアの向こうにはより何かがありそうな雰囲気がしている。

 

 ただ攻略に必要ならそのうち開くだろうし、必要ではないのなら無理に開くこともない。

 何かがありそうではあるものの、優先すべきはゲートの攻略である。

 

「待ってください」

 

「トモナリ君?」

 

「ここ……もし開けられたら中のものもらってもいいですか?」

 

 トモナリはドアの前に立ってニヤリと笑う。

 

「……ああ、構わない。そうした約束だし、こんな状況なら開けたものが手に入れるのが一般的だろう」

 

 基本的にゲートの中のものは手に入れた人のものである。

 みんなで倒して手に入れたものや、ふと落ちているものは後々話し合いで決める必要がある。

 

 ただ自分で倒したモンスターからドロップしたものなどは基本的に倒した人のものとなるのだ。

 こうして封じられたドアも開ける方法を持っている人がいるなら、その人に報酬の優先権は発生する。

 

 なんにしても時と場合によるところはあるのだけど、開けられるならトモナリに欲しいものを手に入れる権利はあるとシノヅカは答えた。

 

「じゃあ……」

 

 トモナリはインベントリから鍵を取り出した。

 古くて大きな鍵を見てシノヅカは一瞬驚いたが、大きな南京錠には合わなそうだと眉をひそめる。

 

 しかしトモナリが南京錠に鍵を近づけると鍵の形が変わっていく。

 トモナリはそのまま鍵を差し込んで回すと、ガチャリと南京錠が開いて床に落ちた。

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