ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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頼もしき学生たち1

「まずは状況の確認だ」

 

 倒したデビルアームはインベントリに回収して、血は魔法で燃やす。

 血の匂いやモンスターの死体は他のモンスターを引きつけてしまうからこうした処理を行う。

 

 逃げた個体がいるので無駄かもしれないが、多少の効果があるかもしれないならやっておく。

 ガソリンなどは漏れていないけれども爆発などの可能性がないわけではない。

 

 バスから荷物を持ち出して、少し離れたところで集まる。

 崖をよじ登って戻るのは難しい。

 

 スマホは圏外で連絡が取れず、デビルアームがこんなところにもいるところを見ると攻略予定だったゲートはブレイクを起こしてしまっている。

 崖下の森の中でどこに進んでいくのかも決めるのは困難である。

 

「ここからどうするか。目的の設定はどうする?」

 

 マサヨシは口を挟まず生徒たちで話し合う。

 部長であるカエデが中心となって話を進めていく。

 

 まずは進むか戻るかである。

 行ける行けないは別として廃村を目指すか、それとも一度帰ることを目的とするかで行動は変わる。

 

「廃村を目指すべきだ」

 

 タケルは進むことを提案した。

 

「村には先に先生たちが向かってる。ゲートのブレイクに気づいていないとは考えにくいが、連絡がなかったのは身動きが取れなくなっている可能性もある。助けに向かうべきだ」

 

 廃村には先に行った先生たちがいる。

 今の状況は分からないものの、ゲートのブレイクが起こっているのに連絡がないということは何かのトラブルがあった可能性が高い。

 

 デビルアームと戦った感じでは、今の戦力ならば十分にモンスターを討伐できる。

 ゲートの攻略や出てきたモンスターを倒してしまうかはまた別の問題として、先に廃村に向かった教員たちを助けるべきだとタケルは主張したのだ。

 

「帰って助けを呼ぶべきではないですか?」

 

 別の三年生からは一度戻るべきだという主張が出てくる。

 教員たちを見捨てるということではない。

 

 生徒よりも高いレベルにある教員たちならまだ持ち堪えられる可能性も高い。

 仮に教員たちが持ち堪えられないような状況だとしたら、課外活動部のみんなが駆けつけても事態が好転しない可能性もある。

 

 それなら一度町に戻り、助けを呼んだりして村に向かう方が結果的に助けられるかもしれない。

 行くも戻るも理由は納得ができる。

 

「多数決で決める」

 

 意見が割れることは予想していた。

 カエデの一声で決めてしまってもいいが、ここは多数決で決めることにした。

 

「手を挙げてくれ。このまま廃村に向かうに賛成の人。……じゃあ次は戻ることに賛成の人」

 

 それぞれどうするか、手を挙げる。

 トモナリは廃村に向かう方で手を挙げた。

 

 正確な人数は数えなかったがどちらが多いかは明らかだった。

 

「廃村に向かう方が多かったな。ではそうしよう」

 

 多かったのは廃村に向かう方だった。

 モンスターも倒せそうだし、教員たちを見捨てていくのはやはり気分が進まなかった。

 

「崖沿いに移動していけば廃村には着けそうだな」

 

 崖上の道を走ってここまできた。

 ということはこのまま崖に沿って進んでいけば廃村にも行けるだろうと考えた。

 

「緩やかに下りになっていたから、そのうち崖と合流するかもしれないな」

 

 村の大体の場所は確認していても地形まで確認して覚えている人はいない。

 ただバスは道を下っていっていた。

 

 崖に沿って進めば崖上の道が下ってきて合流する可能性は十分にある。

 

「食料や水も十分にあるし……このまま進むことにしようと思いますが、学長は大丈夫ですか?」

 

「ああ、少し休んだから楽になった。移動ぐらいは問題ないよ」

 

 廃村ということでライフラインや食料の期待はできない。

 長居するつもりはないが、不測の事態にも備えて食料や水、その他必要なものは余裕を持って持ってきている。

 

 だから進んで廃村に向かっても問題はないのである。

 マサヨシの体の調子もそれなりに回復した。

 

 生徒の判断に任せようと思っていたマサヨシも反対することなく、カエデの判断に従うことにした。

 

「なあ」

 

「なんだ、サントリ?」

 

「さっきのモンスターの魔石……いくつかもらってもいいか?」

 

「魔石? 何するんだ?」

 

「魔力の回復だよ。あのデカい車止めるのに魔力使っちゃったからな」

 

「みんなに聞いてみるよ」

 

 ディーニたちは普段普通に食事なんかをする。

 それによって魔力を回復させているのだけど、緊急的な方法で魔力を回復させることもできる。

 

 それがモンスターの魔石を利用することだった。

 魔石には魔力が溜め込まれている。

 

 これをディーニたちは吸収して自分のものにすることができるのだ。

 ただ効率はやや悪いらしい。

 

「いいってさ」

 

 カエデに聞いて、カエデがみんなに聞いた。

 別にみんなお金にこだわっているわけではない。

 

 ディーニとサントリが戦力として働いてくれることの方が大事なので、魔石を使ってもいいとあっさり同意してくれた。

 

「あんがと!」

 

 トモナリがインベントリに入れてあった魔石を取り出してサントリに渡す。

 サントリがぎゅっと魔石を握ると、魔石が淡い光を放ってサントリの手に魔力が吸収されていく。

 

「ディーニもいる?」

 

「ではお一つ」

 

 ディーニも同じようにして魔石から魔力を取り出す。

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