ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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廃村ゲートを攻略せよ2

「公民館の近くにもモンスターの気配がずっとあって……こちらが動くのを待っていたのかもしれない。急にモンスターの気配がなくなって怪しいと思っていたが……みんなが来てくれたからだろう」

 

 イリヤマは安心したように息を長く吐き出す。

 二人でずっと気を張っていた。

 

 いかに手慣れた覚醒者といえど丸一日気を張っていれば精神的にも疲れてしまう。

 

「疲れているところ悪いな。何があったのか教えてくれるか?」

 

「ここに来るまでは異常はなかったんです」

 

 イリヤマは何があったのか思い返す。

 もう一人の教員と共に車で廃村を訪れた。

 

 トモナリたちと違って廃村に着くまでイリヤマにモンスターが襲いかかってくるなどの異常なことは起きなかった。

 村についたイリヤマたちは公民館を軽く見て回って、思いの外綺麗に保たれていることを確かめた。

 

 そして公民館の周りを調べていたら他に車が止まっていることに気づいた。

 それがシマダ夫婦であった。

 

 たまたま同じタイミングで村に来ていたのである。

 

「お墓参りをするというので、万が一を考えてついていった時でした……」

 

 廃村にゲートが出現したということをシマダ夫婦は知らずに、毎年恒例としているお墓参りに訪れていた。

 ここまででモンスターの姿はないし大丈夫だろうとは思いつつも、ゲートがあるので危険があることを伝え、お墓参りに同行した。

 

 その時にイリヤマたちはデビルアームに襲撃された。

 普段ならなんともない相手であるが、シマダ夫婦がいた。

 

 シマダ夫婦が元気な若者ならともかく、老齢の夫婦ではイリヤマたちも満足に動けない。

 仕方なく公民館に逃げ込んだのだった。

 

 その間に車は破壊されるし、携帯の電波は入らないしで状況は最悪だった。

 デビルアームは一度公民館にも入ってきたが、狭い通路を上手く使って撃退したら今度は公民館を監視するように囲んで膠着状態となってしまったのである。

 

「そちらは一体何が……バスもないようですし」

 

「こちらもデビルアームの襲撃にあったのだ。おかげでバスは崖から転落……生徒たちの機転でなんとか助かったので、こちらに合流に来たのだ」

 

「転落……よく無事でしたね」

 

「優秀な生徒が多くて助かった。とりあえず状況は分かったな。少し休め」

 

「すいません……少し寝かせてもらいます」

 

 交代で休んでいたとはいえ、いつ襲われるかも分からないと休むに休めない。

 イリヤマともう一人の教員は体を休めることにした。

 

「さて、状況は分かったな? これからどうする」

 

 あくまでも生徒に任せる。

 マサヨシはカエデのことを見る。

 

「ここまでのことからわかっていると思うが、ゲートはすでにブレイクを起こしている。モンスターはデビルアーム。戦った感じでは難しい相手ではないが、悪知恵を働かせるようだ」

 

 カエデがそのまま話を主導する。

 

「選択肢としてはゲートを攻略するか、このまま撤退するかだ。ただ私たちは今一般人を抱えている。どちらにしてもこのまま残していくことはできない。どうするのかみんなの意見を聞かせてほしい」

 

 このまま残って耐え抜いても助けが来てくれるわけでもない。

 みんなで逃げるか、ゲートを攻略してしまうかのどちらかしかない。

 

「ゲートを攻略すべきだ。このまま放置はできないだろ」

 

 三年生の男子から意見が出る。

 ゲートを放置すればするだけモンスターが外に出てしまうことになる。

 

 時間が経ってモンスターが遠くに広がれば、それだけ探して討伐することも大変になってしまう。

 ブレイクを起こす前に速やかにゲートを攻略することは大事であるが、起こした後も速やかに攻略することが求められる。

 

 現状の戦力ならばゲートの攻略は十分に可能である。

 ゲートを攻略してしまう方が後々のためでもあるのだ。

 

「……帰るという意見は…………ないのだな?」

 

 ここまで来て逃げ帰るという意見を口にする人はいなかった。

 

「ではゲートを攻略する方向で考える。ゲートはこの村から近くにある。ただ問題が一つある」

 

 シマダ夫婦もモンスターが近くにいては眠れなかったのか、いつの間にか眠ってしまっている。

 

「やっぱり何人か残してここで守るのがいいと思います」

 

 コウが手を上げて意見を出す。

 

「まあ……それが固いよな」

 

 ゲート攻略に連れていくわけにはいかない。

 だからと言って全員で攻略にいって残しておくわけにもいかない。

 

 となると公民館に何人か残して守るのがいいだろう。

 

「ではそうしよう。私たちたちも疲れているし、少し休もう。今のうちに攻略メンバーと残るメンバーを決めておこう」

 

 こうしてトモナリたちは公民館に残る組とゲートの攻略に向かう組に分かれて行動することになったのだった。

 

 ーーーーー

 

「先輩、落ち着いてくださいよ」

 

「ぬっ……悪いな」

 

 残るか攻略に行くか。

 それはくじ引きで決まった。

 

 各学年それぞれ二名ずつ残すことにして、くじを引いた結果トモナリは公民館に残る組となった。

 みんななら心配ないだろうと見送ったのだけど、同じく公民館に残る組になったタケルがソワソワとしている。

 

 なぜならカエデは攻略組になったからだ。

 基本的にタケルはカエデのそばにいて、カエデのことを守ってきた。

 

 大丈夫だろうとは思うものの、離れるとやはり心配なのだ。

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