ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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廃村ゲートを攻略せよ3

「子供でもあるまいし、そんなに心配することはないと思いますよ」

 

 トモナリは小さくため息をつきながら笑ってしまう。

 

「お嬢……コホン、カエデはああ見えて猪突猛進なところがあるからな」

 

 カエデとタケルは良いコンビである。

 普段はカエデの方がストッパー役でタケルが暴走しがちに見える。

 

 しかし状況によっては役割が逆になる。

 暴走するカエデをタケルが必死に止めるなんてこともあるのだ。

 

 カエデが暴走しないか、なんてタケルは心配しているけれど、みんなもいるし暴走することなんてまずないだろう。

 

「今の状況では先輩がリーダーなんですから、しっかりしてください」

 

 タケルはカエデから公民館に残る組のリーダーを任されている。

 リーダーたる人が堂々としていなきゃみんなだって不安になってしまうかもしれない。

 

「どちらかというとアイゼン先輩の方がリーダーっぽいですよね」

 

「ねっ、確かに」

 

 同じく公民館に残る組となったナナとハルカの一年生コンビは意見が合って、お互いに顔を見合わせる。

 トモナリは落ち着き払っていて周りをよく見ている。

 

 タケルがリーダーぽくないわけではないが、全体のリーダーというより突撃隊長みたいな感じがあった。

 

「そうだな。俺はリーダーって感じじゃない。お前がやってくれた方がいい」

 

「先輩……」

 

「正しい判断をすることも必要だ。そうだな、リーダー命令だ、お前がリーダーやっとけ」

 

 いい考えだ、というような顔をタケルはしている。

 

「適材適所。俺もお前なら構わない」

 

 それでいいのかと呆れ顔のトモナリの肩にタケルは手を乗せる。

 自分の適性をタケルは理解している。

 

 それにトモナリの能力の高さも分かっている。

 一度負けたという過去もあるし、みんなもトモナリならば納得するだろう。

 

「それに俺は敵に突っ込むタイプだからな。周りを見て指示を出すのは苦手なんだ」

 

 タケルの職業は拳王である。

 名前の通り拳を使って戦うことを得意としていて、どうしても敵との交戦距離が近くなってしまう。

 

 周りを見るだけならともかく、細かく状況を把握して指示を出しながらというのはあまり得意ではない。

 本来なら一歩引いて戦う魔法職が、全体を見渡して指示を出すのがいい。

 

 だがやはりトモナリの視野の広さは指示を出すリーダーとして相応しい。

 

「そうだね。トモナリ君なら私も安心」

 

 同じく公民館に残る組のサーシャも小さく頷いている。

 二年生の中ではトモナリが群を抜いて能力が高く、リーダーとしての能力、資質を兼ね備えていると認めていた。

 

「まあ、戦いになることがあればな」

 

 トモナリも別に嫌だと拒否するつもりはない。

 みんながそれでいいのなら引き受けるつもりだ。

 

「さすがトモナリなのだ〜」

 

「ふふ、ありがと。ヒカリも周りをよく見て報告頼むぞ?」

 

「うむ! 任せるのだ!」

 

 リーダーとしてふさわしい理由の一つにヒカリの存在もある。

 自由に飛び回って上からも状況を見られるヒカリの強みはかなり大きい。

 

 ヒカリの情報も活かせるし、いざとなれば一瞬戦いをヒカリに任せてトモナリは指示を出すなんてこともできる。

 万能なパートナーがトモナリを支えているのだ。

 

「今頃ゲートの攻略始まってますかね」

 

「順調にいってればそれぐらいだな」

 

 外にいるデビルアームの妨害などがなければ、ゲートについて攻略を始めている頃だろう。

 

「このままこっちは何事もなきゃいいんだけどな」

 

 理想的な流れとしてはゲートを無事攻略して、再び合流、そして廃村から脱出だろう。

 ゲートを攻略されるとモンスターは慎重になる場合も多い。

 

 デビルアームがどうするかは分からないが、ゲームを攻略してデビルアームの数がこれ以上増えないなら脱出もさほど難しくはないだろう。

 

「お二人は大丈夫ですか?」

 

「ええ」

 

「こんなことになっているなんて知らずに……ご迷惑をかけて申し訳ありません」

 

 トモナリは一般人であるシマダ夫婦のことを気にかける。

 トモナリたちの雰囲気は悪くないが、シマダ夫婦の顔色は暗い。

 

 いつモンスターに襲われるかわからない状況なら仕方ない。

 しかしあまり精神的に病まれても行動に影響が出てしまう。

 

「そんな……ブレイクは予見できないことですしね。それにゲート出現情報もあまり確認はしないですからね」

 

 シマダ夫婦は申し訳なさそうにしている。

 少し調べれば村にゲートがあることはわかる。

 

 しかしゲートの情報を得るためには覚醒者協会のホームページにアクセスして、と自ら積極的に調べる必要があった。

 警戒が疎かになっていたと指摘されれば否定できない。

 

 けれども、いつも来ている場所だからと油断してしまっても仕方ないところはある。

 ゲートが出現していると知っていればシマダ夫婦がここには来ておらず、もう少し状況が良かっただろう。

 

 だがそんなもの仮定の話であり、今後悔したところでどうしようもない。

 もうちょっと天気みたいに気軽に確認できるようにしたらいいのになとトモナリも思っていたりする。

 

「もう少ししたら攻略も終わって……」

 

「トモナリ!」

 

「……ああ」

 

 今のところ何ともない。

 そう思っていたら公民館の屋根に何か重たいものが落ちたような音が聞こえてきた。

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