ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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廃村ゲートを攻略せよ5

「ふっ、油断はダメなのだ」

 

 内心決まった!と思いながらヒカリはクールを装う。

 トモナリのようにカッコよく後輩を助ける先輩になれたはずだと油断全開でニヤつく。

 

 どうやらデビルアームはボスが倒されても逃げないようだ。

 

「先輩、サントリ、引いてシマダさんたちをお願いします! タンノ、キシ、お前ら前に出ろ!」

 

「ええっ!?」

 

「それはちょっと……」

 

「俺がフォローしてやるから」

 

 こんな状況でも経験は経験だ。

 ボスさえいなければ後はそれほど脅威ではない。

 

 タケルはほぼ一人でもボスデビルアームを相手にしていた。

 通常のデビルアームごとき相手ではない。

 

 サントリもいればシマダ夫婦に被害は及ばないだろう。

 一方でハルカとナナにとってデビルアームは格上のモンスターである。

 

 どうせならハルカとナナにも経験を積ませようとトモナリは考えた。

 ボスを倒して攻略組も戻ってくるだろうし、ちゃんとフォローに入ればそんなに危なくもない。

 

「ほら、やるぞ!」

 

「がんばれ、一年!」

 

「うぅ……」

 

「ハルカ、やるしかないよ」

 

「や、やる!」

 

 こういう時にサラっとしていて心を決めるのが早いのはナナの方である。

 ナナが前に出て、ハルカも勇気を出す。

 

「相手はリーチが長く、思いの外遠くから攻撃がくる。素早さはあるけど力はそんなに強くない。冷静に対処するんだ。俺がある程度攻撃引き受けるから二人で攻撃のチャンスを狙うんだ」

 

「わ、分かりました!」

 

「やってみます!」

 

 ハルカは魔法タイプでナナは接近戦闘タイプである。

 上手く立ち回れるようにトモナリが手を貸す。

 

「ヒカリ、サーシャ、他のやつが邪魔しないよう頼むぞ!」

 

「任せるのだ!」

 

「こっちおいで」

 

「私も暇なのでお手伝いします」

 

 ヒカリとサーシャ、それにここまで暇をもて余していたディーニで目の前のデビルアームに集中できるように、他のデビルアームを攻撃する。

 

「タンノ、狙われてるぞ! 気をつけろ!」

 

 デビルアームは前めにいるトモナリではなく、弱そうなナナの方を優先的に狙っている。

 まあちょうどいいとトモナリもいつでも助けに入れるようにしながら様子を窺う。

 

「くっ! ふっ!」

 

 ナナは小型の盾をうまく使ってデビルアームの攻撃を防ぐ。

 だがデビルアームのリーチを活かした攻撃になかなか接近できない。

 

「えと……えいっ!」

 

 ハルカが杖を振り上げて魔法を発動させる。

 一瞬いつも使う炎を出しかけたけれど、今いるのは木造の公民館の中である。

 

 火で戦うのはまずいと、とっさに氷に変更した。

 魔力が集まって氷となって、瞬く間に大きくなっていく。

 

 トゲトゲとした氷の塊は、ハルカが杖を振り下ろすと同時にデビルアームに向かって飛んでいく。

 

「今だ!」

 

 デビルアームは腕をしならせるようにして氷の塊を叩き割って壊して防御する。

 攻撃が氷の塊に向いた隙をついて、ナナが一気に飛び込んでいく。

 

 決断力は素早い。

 

「あっ!」

 

 しかしデビルアームも油断しているわけじゃない。

 ナナが飛び込んできたのを分かっていてデビルアームも攻撃を繰り出す。

 

 突き出されるデビルアームの爪に対してナナは反応が遅れる。

 

「もうちょっとだったな」

 

 トモナリは横から炎の斬撃を飛ばしてデビルアームの腕を斬り落とす。

 もう少し上手くやればトモナリの助けなしでもデビルアームに勝てたかもしれない。

 

「やっ!」

 

 腕を斬り落とされて痛みにうめくデビルアームの頭をナナが剣でかち割った。

 

「やりましたよ、先輩!」

 

 頬についた返り血を拭いながらナナはトモナリに笑顔を向ける。

 助けがあったとはいえ、格上のモンスターを倒した。

 

「よくやったな」

 

「みんな、大丈夫か!」

 

 デビルアームも残り数体というところで、攻略組が帰ってきた。

 

「ほんじゃ私がやるぜ!」

 

 人が来たならシマダを守ることもないとサントリが走り出す。

 

「……心配いらなかったようだな」

 

 残りのデビルアームはサントリによって殲滅されてしまった。

 

「何があったのか報告を」

 

「分かりました」

 

 トモナリがサッとカエデに起きたことを説明する。

 こいつリーダー役を押し付けたな? というカエデの視線にタケルは気まずい顔をして、そっぽを向いていたのであった。

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