ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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廃村を抜け出して

「ディーニとサントリがいてくれて助かったな」

 

「そうだね。特にバスは……二人がいなきゃ死んでたかもしれないもんね」

 

 バスもダメだし、廃村には電波も入ってこない。

 イリヤマたちの車もシマダたちの車もデビルアームに破壊されていた。

 

 デビルアームのゲートは攻略して、公民館で襲いかかってきたものを倒したが、村を出るための手段は結局徒歩で行くしかなかった。

 ゲートにもそれなりの数のデビルアームはいたらしい。

 

 公民館でボスと一緒に現れたデビルアームもそれなりの数がいたので、合わせると結構倒したことになる。

 残っていたとしてもそんなに多くはないだろう。

 

 村を出て道を歩いていても、行きの時のようなモンスターに見られている感覚はなかった。

 歩きながら色々あったなと思い返す。

 

 一番のピンチはボスに襲われた時よりも、バスの転落だったのかもしれない。

 トモナリとヒカリだけだったらかなり厳しかった。

 

 ディーニとサントリの力もあって、みんな無傷で降りることができたのである。

 その後の戦いでもちゃんと活躍していたし、ホムンクルスという割にモンスター感もない二人のことをみんな受け入れていた。

 

 みんなにはホムンクルスだと説明したが、今後会う人にわざわざディーニとサントリがホムンクルスですと説明して回ることもない。

 能力もディーニのものは多少特殊だが、スキルの範囲で納得してもらえることだろう。

 

 回帰前、サントリは不幸の最後を迎えた。

 今回は他の姉妹たちもいるし、上手くやっていけそうな感じもしている。

 

「すまほ……かぁ。これがありゃシテトラやペンターゴとも話せんのかな?」

 

「まだ兄妹いるの?」

 

「ああ、話してなかったな。下に後二人、妹がいるんだよ」

 

 ミズキにスマホを見せてもらっていたサントリは感心したような顔をしていた。

 確かにスマホが存在しない世界から来ればスマホというのはなかなかすごいものだろう。

 

 シテトラやペンターゴとは離れてしまった。

 けれども今の時代直接会わねば会話できないわけでもなく、スマホ一つあれば通話が可能である。

 

「へぇ、いつか会ってみたいな」

 

「私もみんなになら会わせてみたいよ」

 

 サントリは笑顔を浮かべる。

 ゲートがあったりモンスターがいたりと大変そうな世界である。

 

 だけど悪くない。

 ゲートから連れ出してもらってよかったと思う。

 

 もはやディーニもサントリもこの世界の一員である。

 自分の住まう世界を守るのに理由はいらない。

 

 いい人たちが住んでいるなら守りたい理由が増える。

 

「恩返し……できたかな」

 

 トモナリはすっかり周りと馴染んだサントリを見て、目を細める。

 サントリたちホムンクルスが未来においてどんな役割を果たしてくれるのかトモナリにも分からない。

 

 必要だから救ったのではなく、トモナリが救いたいから救った。

 だけど四人とも戦力にはなってくれそうだ。

 

 シテトラとペンターゴが家にいてくれれば、トモナリとしても安心して活動もできる。

 今のところ良い感じ。

 

「ご主人様、町が見えてきました」

 

「本当だ。はぁ……長い道のりだったな」

 

「ですがみなさんのことを知るいい機会になりました」

 

 ディーニは微笑む。

 サントリばかりが馴染んでいるように見えるが、意外とディーニも馴染んでいた。

 

「俺にもディーニのこと、教えてくれよ」

 

「私は……辛い物が苦手です」

 

「ふふ、意外だな」

 

「意外ですか?」

 

「僕はお肉と甘い物が好きなのだ!」

 

「ヒカリ様のこともたくさん知りたいです。この世界には私たちの世界にないものもたくさんあります」

 

「ああ、面白いよな! 姉さんには悪いが……鍋ん中で終わらなくてよかったよ」

 

 試練ゲートを一つクリアして、新たな仲間を得た。

 世界はそれでもまだ終わりに近づいている。

 

 やらねばならぬことは多い。

 でも一つずつでも前に進んでいる。

 

「次はアカデミーを紹介するよ」

 

「おっ、みんなが通う場所だな? 楽しみだ」

 

「私たちは入ってもいいのでしょうか……?」

 

「いいさ。もう二人も仲間だからな」

 

 ーーー第六章完結ーーー

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