ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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新たなるスキル、利用注意3

「まあ良いスキルはいくらあってもいいからな」

 

 経緯や理由はともかく、見た感じかなり有用なスキルを手に入れることができた。

 ディーニ由来だろう魔力物質構成やサントリ由来だろう魔力吸収高変換はちょっとまだ分からないところがあるものの、シテトラ由来だろう弱点看破やペンターゴ由来だろう怪力は分かりやすい。

 

 特に怪力だろうとトモナリは思った。

 実際にスキルとして怪力は存在している。

 

 力が強くなる単純スキルではあるが、単純であるが故に強力で扱いやすい。

 純粋なステータスアップ系を欲しいと思っていたので、すごくありがたい。

 

 あとでペンターゴに何か買ってあげようとトモナリは思った。

 

「あとは使ってみて……ってところだな」

 

 スキルの説明を眺めていても分からないことは多い。

 やはりある程度自分で使って感覚的に覚えていかねばならないという部分もあったりするのである。

 

「でもこれって……ディーニの能力じゃないんだな」

 

「何がでしょうか?」

 

「弱点看破……ディーニ、オートマタの魔石の位置、正確に見抜いてたよな?」

 

 トモナリはオートマタゲートでの戦いを思い出す。

 ディーニはオートマタの魔石の位置を見抜いて正確に抜き取っていた。

 

 ただスキルを見る感じではディーニから派生したのは魔力物質構成である。

 弱点看破はシテトラのスキルだろう。

 

「あれはシテトラから教えてもらったものです」

 

「あっ、そうなんだ」

 

「シテトラはオートマタの作製にも関わっていて、相手をよく観察していました。オートマタの弱点となる魔石もシテトラは正確に見抜いていました。そんなことを教えてもらったので、私もなんとなく位置が分かるようになったのです」

 

「なるほどな……」

 

 実際ディーニがそこまで正確に見抜いていたかというと、そうでもない。

 オートマタそのものが大きくないので、なんとなく魔石の場所が分かれば弱点攻撃も簡単だったという話であったのだ。

 

「とりあえず一つ試してみるか」

 

 この場で試せるスキルが一つある。

 

「怪力……」

 

 トモナリがスキルの発動を意識すると手の甲の紋章の一部が光り出す。

 

「おっ……」

 

 見た目的な変化はほぼない。

 しかし全身に力がみなぎっていく感覚は、ドラゴンズコネクトにも似たようなものがある。

 

「ちょっとぐらいなら大丈夫かな……?」

 

 感覚として力が強くなった感じはしているが、実際どうなのかは分からない。

 体を動かすためのトレーニングルームにはサンドバッグなんかのものはなく、試せるような相手がいない。

 

「私が受けてやろうか?」

 

「いや、ちょっとぐらいなら」

 

 サントリが立候補してくれるけれど、流石にサントリを殴ることはできない。

 トモナリは壁に近づく。

 

 戦ってちょっと壁が壊れるぐらいのことはある。

 少しぐらいへこんでも謝ればいいだろうと、壁に向かって力を試すつもりだった。

 

「ふっ!」

 

 右手に魔力を込めて壁に向かって拳を振り抜く。

 

「ぬわっ!?」

 

「にょー!?」

 

 大きな音がして壁が吹き飛ぶ。

 怪力というスキルを舐めていた。

 

 壁がへこむどころか、壁が粉々に砕け散ってしまった。

 ちょうど壁の向こうは外、飛んでいった壁の下にも人はいなかったが、とんだ大事故になるところでサントリもヒカリも驚いている。

 

「ヤッベェ……私が受けなくてよかった……」

 

 サントリが殴られていたら死んでいたことだろう。

 相手が壁でよかったとヒヤリとする。

 

「ご主人様!」

 

 ディーニがトモナリに駆け寄る。

 

「ぐっ……ああ、忘れてた……」

 

 壁が砕けた。

 一方でトモナリの方も無事では済まなかった。

 

 拳だけじゃなく、腕の骨も折れて酷い状態になっている。

 怪力には弱点がある。

 

 それは力以外の能力が上がらないことである。

 あまりに強い力は使用者にも反動があるものだ。

 

 怪力で上がった分の力を体が耐えきれなければ、ダメージを受けてしまうのは当然のことである。

 そのために五十嵐ギルドのイサキは、怪力スキルに剛体という体を頑丈にするスキルを合わせていた。

 

 舞い上がってそんなことも忘れていた。

 全力で壁を殴れば倍になった力がトモナリ自身の体に牙を向く。

 

「何があったのですか!」

 

 音を聞きつけて職員が飛んできた。

 

「これは……早く医務室へ!」

 

 トモナリの腕の状態を見て、職員は顔を青くする。

 怪力スキルのデメリットを忘れていて壁を殴りました。

 

 そんなことは言えず、スキルを獲得した時に暴走してしまってああなったということにしておいた。

 幸い右腕はミクがいたのであっという間に治してもらったが、スキルの使い方はもっと慎重に、注意が必要だなとトモナリは思ったのだった。

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