ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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乱入者1

 個人戦も割と順調だった。

 初戦でハオレンに当たって以降は、いわゆる優勝候補と呼ばれるような相手には当たらなかった。

 

 それでも楽とは言わないが、勝ち抜くことはできたのである。

 トモナリ以外の日本勢も頑張っていた。

 

 ベスト32までにトモナリを含めてミズキとサーシャ、それにコウまで残っていた。

 対戦相手さえ悪くなきゃ勝ち残る可能性も十分にあると思っていたけれど、トモナリの想像以上である。

 

 中でもコウは驚きだった。

 個人戦のような一対一の戦いを魔法使いタイプは苦手とするのに、こうした場で勝ち残るのは確かな実力の高さを感じさせる。

 

 コウもこれまでトレーニングをしてきた。

 魔法使いだからと手を抜かず、コツコツとステータスを上げた。

 

 魔法使いとして身体能力的な力や素早さが低めだったのは当然である。

 だがそのおかげでトレーニングによって意外と能力は伸びやすく、同レベル対の魔法使いとは比べ物にならないほどステータスが高くなっているのだ。

 

 ただの魔法使いだから近づけばいいだろう。

 そんな考えで戦って痛い目を見ることになった相手も少なくなかった。

 

 対戦相手も良かったのだろう。

 

「コウ……サーシャも勝ったのか」

 

 タンクタイプのサーシャが勝ち残ったのもちょっと意外だった。

 魔法使いタイプよりはタイマンの戦いを苦手としないが、防御向きのスキルやステータスで相手を倒すのも楽ではない。

 

 フウカのように攻撃型のタンクもいるが、サーシャは防御寄りのタンクである。

 確実に相手の攻撃を防いでチャンスを狙うというやり方で、相手を撃破してきたのだった。

 

「私も勝ち残ってるよん」

 

 ミズキは実力で相手をねじ伏せて、順当に勝ち上がった。

 団体戦でのミズキは副将を務めていた。

 

 それはトモナリに次いだ実力があるとみんなが認めたから副将を任されていたのである。

 日本の二番手として座していたのは決してお飾りではないと個人戦で証明してみせたのだ。

 

「そろそろ日本同士でも当たるかもな」

 

 相変わらず対戦相手はランダムで選出される。

 ただランダムと言いながらもある程度の作為的なところはあるのか、同国の覚醒者同士で戦うことはなかった。

 

 しかし流石に人数が絞られてきたので同じ国同士で戦うこともあるのかもしれない。

 

「まあ戦うことになっても全力だよ! もうトモナリ君にだって負けないんだから!」

 

 ミズキはやる気を燃やしている。

 入学前にもトモナリに散々負けた。

 

 負けた回数分お願いを聞くなんて約束もしている。

 いまだに何かのお願いをされたことはないのだけど、トモナリが必要だというのならどんなお願いだって聞くつもりである。

 

「僕も負けるつもりはないよ」

 

「私も」

 

 近くにいてトモナリの強さはみんな分かっている。

 けれども強いからと戦うことを諦めるつもりはない。

 

「俺も手加減してやるつもりはないから……みんなが相手でも倒してやるよ」

 

「ふふ、僕に勝てると思っているのだ?」

 

「ヒカリちゃん相手だと……やりにくい」

 

「私はヒカリちゃん相手でも容赦しないからね」

 

「やってみるのだ!」

 

 爽やかなライバル関係。

 こうした関係性も強くなる上ではいいものである。

 

「さて……対戦が決まるようだな」

 

 控え室のモニターに目を向ける。

 そこには会場のモニターの様子が映し出されている。

 

 ここまではステージを分割して同時に試合が行われてきたが、次の試合からは広いステージを使って一試合ずつ行われる。

 その一試合目の出場選手が決まろうとしていた。

 

「おっ!」

 

「サーシャだ」

 

 高速で名前が切り替わり、サーシャのところで止まった。

 顔写真と共にモニター一面にサーシャが映し出されて、会場が盛り上がる。

 

「緊張する……」

 

 さすがのサーシャも表情が硬い。

 

「次は……」

 

 MCが軽くサーシャの紹介をして、対戦相手の選出が始まる。

 

「……うそっ!」

 

「あー……」

 

「‘なんとなんと、選ばれたのはアイゼントモナリとヒカリ! 奇しくも日本同士での戦いとなりましたー!’」

 

 名前が止まってモニターに映し出されたのはトモナリとヒカリの写真であった。

 サーシャの相手はトモナリになってしまったのである。

 

 あるかもしれないなんて言っていたが、まさか最初からこんなことになるとは思いもしなかった。

 会場は日本同士の戦いというところで盛り上がっている。

 

 日本の控え室は微妙な空気。

 

「負けないよ」

 

「ああ、俺もだ」

 

 だけれどもサーシャの目は死んでいない。

 むしろ珍しくやる気に燃えていて、トモナリのことをじっと見つめている。

 

「行こうか」

 

「うん」

 

「やるのだー!」

 

 トモナリたち会場に向かう。

 

「なんだか熱気があるな」

 

 入場の直前に別れて、トモナリとヒカリは逆側の入り口に回り込んだ。

 トモナリとヒカリ、そしてサーシャが会場に入ってくると歓声が沸き起こる。

 

「こんなところで戦うことになるとはな」

 

 普段から戦ってはいるけれど、流石にいつもとは違うだろう。

 聖騎士はスキルが揃うほどに強力になるが、サーシャは今の段階でも油断できる相手ではない。

 

 トモナリの戦い方も知っているし、厄介な相手である。

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