ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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デカヒカリ

「ひぃーまぁーなのだぁー」

 

「みんなも行っちゃったしな」

 

 今後どうするかということも不明瞭なままとなっていたが、ようやくドイツの覚醒者協会から呼び出された。

 これで先の方針がある程度判明することだろう。

 

 みんなは覚醒者協会に指定されたところに向かった。

 けれどもトモナリは後でみんなから話を聞けばいいやと思って、病み上がりなことを理由にして病院に留まっている。

 

 ドゥウェルと戦ったりかなり頑張ったのだから、少しぐらい休んでも文句は言われない。

 ただ誰もいない病室は広く感じられる。

 

 連日みんなして来てくれていたのだから当然といえば当然の話だ。

 人がいないと暇だとヒカリはトモナリの膝の上で丸くなる。

 

 こうなると少し猫みたいだと笑ってしまう。

 ヒカリもドゥウェルにやられたりしたが、大きな怪我もなく平気だった。

 

「なあ、ヒカリ」

 

「なんなのだ?」

 

「あのデカい姿、またなれるのか?」

 

 ヒカリはドゥウェルとの戦いで大きな姿になった。

 少し大きくなった程度ではなく、トモナリのことを背中に乗せられそうなぐらいには大きかった。

 

 慌ただしくてちゃんと確認していなかったが、みんなも見ていて夢でないことは確実である。

 ヒカリが大きな姿となり、その姿が能力の強化されたものだとしたら大きな戦力アップとなる。

 

 これからの戦略もだいぶ変わってくる。

 

「多分なれるのだ!」

 

 やっとそこに触れてくれたな、とヒカリは胸を張る。

 

「ちょっと見せてくれないか?」

 

 広い個室の病室に今はみんなもいない。

 記憶にあるヒカリのサイズなら病室の中でも大丈夫だろうとトモナリは思った。

 

「任せるのだ!」

 

 翼を広げたヒカリが部屋の真ん中に飛んでいく。

 

「むむむむ……」

 

 ヒカリは目を閉じて集中を高める。

 

「ヘン・シン、なのだ!」

 

「おおっ……」

 

 ヒカリの体が輝き始める。

 そして光るヒカリが大きくなっていく。

 

「ジャジャジャーン!」

 

 ヒカリは腕を組んで翼を広げ、ドヤ顔をする。

 広く感じていた病室が一気に狭く感じられるぐらいにヒカリは大きくなってしまった。

 

「ぬふふぅ〜ぬっふふぅ〜」

 

「ちょっ、おい!」

 

「どぉ〜なのだぁ〜?」

 

 ヒカリはご機嫌な声を出しながらベッドに潜り込む。

 ビッグサイズになったヒカリは、ヒカリだけでもベッドがミチミチになる。

 

 ヒカリが来ると、トモナリはベッドの端に追いやられる。

 

「おっ、うおっ!?」

 

「にひひなのだ」

 

 横を向いたヒカリはトモナリの体に手を回すと、ゴロンと転がる。

 抱きつかれていたトモナリは、そのままヒカリの上に乗っかる形になった。

 

「こんなに大きくなりました、なのだ!」

 

 ヒカリは笑顔を浮かべる。

 これまではヒカリがトモナリの上に乗っていた。

 

 それなのに今日ばかりは立場が逆転している。

 ヒカリのお腹の上はちょっと鱗が硬くて、でもお腹そのものの柔らかさがあって、そしてほんのりと温かい。

 

 いつも使うヒカリがお気に入りの高級ボディーソープの匂いもして、全身ヒカリに包まれているかのようだ。

 

「こんなに大きくなって」

 

 トモナリは手を伸ばしてヒカリの顔を揉むように撫でる。

 

「いつか大きくなると思っていたけど、まさかこんなタイミングでとはな」

 

「むにむにぃ〜」

 

 顔を揉んでチラリと見える牙もなかなか凶悪。

 それでも撫でられて嬉しそうにしている顔を見れば怖いドラゴンには見えない。

 

「むぎゅーなのだ!」

 

 お返しとヒカリがトモナリのことを強く抱きしめる。

 

「ふふ、苦しいぞ!」

 

 そうは言いながらもトモナリも笑顔である。

 

「でもまあ大きくなることが分かったな」

 

 回帰前に見たような大きな姿になるだろうとは思っていた。

 だがいつまでも大きくならないし、ある時急に巨大化するのかなと想像を膨らませていた。

 

 こんなふうに段階を置いて大きくなるのはちょっと驚きである。

 いきなり巨大ドラゴン化ということにならなくて安心は安心である。

 

「まあ今回はお前に助けられたな」

 

 ヒカリが大きくなって助けてくれなきゃ今はなかった。

 

「トモナリのためなら僕は何でもするのだ」

 

 トモナリとヒカリは見つめ合う。

 頼もしいパートナーがいてくれてよかった。

 

「のわっ!?」

 

「にょわっ!? ふぎゅっ!」

 

 ポフンッと音がした。

 突然体の下にあった支えを失ってトモナリはベッドに落下した。

 

 ヒカリがまた小さい姿に戻ったのだ。

 

「むにゅう〜……」

 

「ヒカリ、大丈夫か?」

 

「重いのだ……」

 

「ふふっ、じゃあこうするか」

 

 ヒカリはトモナリの下敷きになっていた。

 トモナリはヒカリが平気そうなことを確認して、ヒカリがやったように抱きかかえて体をくるりと反転させる。

 

 今度はヒカリがトモナリの上に乗る形になった。

 

「やっぱりこうしてる方が落ち着くのだ」

 

 ちょっと潰れるようにトモナリの胸に頭を乗せて、ヒカリはニコニコと笑う。

 

「いつかヒカリが完全に大きくなったらこうできなくなるのかもな」

 

「その時はまた僕がトモナリを乗せるのだ」

 

「そうか……頼むぞ」

 

「うむ! でも今は……こうしてるのだ」

 

 ヒカリはグリグリとトモナリの胸に頭を押し付ける。

 まったりとした時間。

 

 ヒカリが大きくなれることは確かめたし、あとはのんびりしようとトモナリはゆっくりとヒカリの頭を撫でながら目を閉じた。

 

「おやすみなのだ」

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